犬の健康に必要な運動とは?
私たち人間が健康的な生活を送るために適度な運動が必要であるのと同様に、犬にも適切な運動をさせることが必要です。体が小さいから運動は不要、などと考えている人もいますがそれは違います。体が小さくても犬は私たち人間以上に歩いたり走ったり飛んだりする運動能力に優れ、心肺機能も高いため運動に適した体をしているのです。
犬の心臓は対体重比で人間の約4倍もあるため非常に持久力がありますし、筋力にも優れているため瞬発力も高いと考えられます。それぞれの犬種で体の作りや筋量などは異なりますが、一般家庭で飼われている犬であれば毎日1時間程度の散歩をしていれば適度な運動をしていると言えるでしょう。もちろんスポーツドッグとしてさまざまな競技に取り組んでいる場合は、それぞれに適したトレーニングなども必要ですが通常の家庭犬の場合は、極端な走り込みや筋力アップトレーニングなどは必要ありません。
運動をさせたいと意識している場合は、毎日の散歩をしている時も歩く速度に変化をつけたりジョギング程度に軽く並走したり、ボール投げなどで瞬発力を引き出すなど遊びの中で取り入れられる運動をすれば十分でしょう。
犬が運動をしないことによるリスク
犬種に関わらずどんな犬にも適度な運動が必要ですが、運動が不足した場合はどのようなリスクがあるのでしょうか?犬の体は筋力や心肺機能の面から見ても運動に適した体ですが、運動が不足した場合はそれらの機能も衰えてしまいます。筋肉は使わなければ細くなっていき、体を支えるために必要な筋力が不足して足腰などを痛める原因にもなります。また、心肺機能についても同じで機能低下は体の代謝などにも影響を与えます。
特に体の衰えが目立ち始める老犬にとって筋量や心肺機能の低下は命取りにもなりかねません。何らかの病気にかかった時、体を回復させるための体力がないと悪化したりそのまま命に関わる状態にまで陥ってしまうことも考えられます。また、肥満予防のためにも運動は必要不可欠。肥満は全ての病気の元とも言われているため、適度な体重管理を行うためにも毎日の散歩をはじめとした運動を欠かさないようにしましょう。
肥満気味の犬は運動する時に注意が必要
犬の健康のためには歩いたり走ったりという適度な運動が必要であることは説明しましたが、ただがむしゃらに運動をさせればいいというものではありません。走らせるにしてもアスファルト上でボール投げなどをしているとストップをかけた時に足裏が傷ついて肉球を痛めてしまう犬もいます。特に走るのが早い犬、俊敏で急なストップがかけられる犬、体が大きく体重が重い犬ほど肉球への負担も大きくなりがちなので注意しましょう。
また、ダイエットのために運動をさせようとする飼い主さんもいると思います。しかし体重の重い犬はひざや股関節、腰などの関節に負担がかかりやすいため過度な運動は行わないようにしましょう。特に走ったり、階段の昇り降りをしたり、ジャンプをさせたりなど関節に負担がかかりやすい運動は出来るだけ避けるようにし、早歩きなどでしっかりと有酸素運動をしたり、関節の負担が軽減される水中での運動をするなど工夫が必要です。もちろん太ってしまう前に運動することで体重管理を行うことが理想的ですが、運動によって体重減少を目指す場合には体への負担を考えながら取り組むようにしましょう。また、どのような運動がいいかわからないという場合は獣医師やドッグトレーナーなどに相談するといいでしょう。
犬の健康と運動の関係について
ペットショップなどで子犬が販売されている時、小型犬の場合「散歩は必要」「体が小さいから家で遊ぶだけで十分」などという説明をされることが少なくありません。特に体の小さなチワワやトイプードル、穏やかで運動量がそれほど必要でないと言われがちなマルチーズやシーズーなどの犬種にその傾向が強く見られます。しかし、どんなに体が小さくてもどんなに穏やかな性格でも犬に散歩、運動は必要です。健康上に問題がなく、医師などから散歩を禁止されていない限りはどんな犬でも必ず散歩、運動をさせるようにしましょう。
ちなみに散歩は運動という身体的な問題だけでなく、自然に触れ合う、外部の刺激を受けるという精神的な面でも必要なものです。適度な運動をすることが出来る上、精神的に充実した時間を得ることが出来る散歩は心身ともに健康的な生活を送るために必要不可欠なものなのです。