お出迎えの時に犬がスリッパを咥えるのはなぜ?犬の4つの本能と習性

お出迎えの時に犬がスリッパを咥えるのはなぜ?犬の4つの本能と習性

家族が帰宅した時にスリッパやおもちゃを咥えるワンちゃんはいませんか?咥えたスリッパを振り回しながら運んで行こうとするのはなぜなのでしょうか。今回は犬がスリッパやおもちゃを咥える本能と習性について一緒に学んでいきましょう。

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お出迎えの時に犬が物を咥えるのはなぜ?

スリッパを咥えるトイプー

こんなシチュエーションはありませんか?
飼い主さん家族が帰宅した際に、スリッパを咥えて首を左右に振りながら飼い主さんの元へ持ってくるワンコ。これはお出迎えの嬉しい合図!?…

わが家の愛犬は、帰宅すると玄関のスリッパを咥えて運ぶことが恒例で、犬が運ばないようにスリッパの置き場を変えても、必ずその場所を必死に探そうとします。

「遊んでほしいのかな?」と思うのですが、犬は首をブンブン振りながらお気に入りの場所に運んでいきます。

実はこれ、野生の犬が持つ「持来本能」から現れる行動です。

さらに、咥えたスリッパを左右に振るのは「とどめを刺す」という犬の狩猟本能から現れる行動なのです。

持来本能とは獲物を巣に運ぶ犬の本能のことで、物を咥えてくる持来欲を生み出すものです。

飼い主さんから見ると、「いたずらかしら?」と思われることがあるかもしれませんが、犬の隠れた本能が現れるもので、多くの犬に見られる行動なのです。

こんな時、犬が誇らしげな表情をしている場合は、持来欲が満たされている証拠なのです。

フリスビードッグ

フリスビーを咥える犬

人と愛犬が遊びながらコミュニケーションを図るアニマルスポーツのひとつにフリスビードッグがありますね。

フリスビーが獲物となって追跡する犬の習性や本能を応用したスポーツです。
犬は夢中になってフリスビーを追いかけ、大好きな飼い主さんと一緒に楽しみ、咥えたフリスビーを持っていけば誉められる競技です。

スリッパや靴を咥えれば叱られるのにフリスビーなら思う存分、獲物を追いかけ咥えることができるのですから、犬にとっては狩猟本能と持来本能を満たすことのできるドッグスポーツなのです。

追いかける本能

野生の犬は、獲物を追いかけようとする「追跡本能」と捕まえる「捕食本能」があり、通常2つがセットになっているものです。

狩猟犬でなくても獲物を追跡して捕食する欲求があり、家庭犬であっても捕食行動が現れるのは、犬の深層情動の中の衝動行為です。

とどめを刺す行為

室内履きを咥える犬

獲物を追いかけ回し捕獲した後に、首に食らい付いて振り回す・左右に振る、などの行為は、とどめをを刺す(息の根を止める)行為です。

近年の研究によると、獲物を殺す行為は“怒り”の感情を伴わないことが明らかになっており、一部の心理学者の間では「静かな噛みつき」と言われています。

犬が獲物を追いかけている時の心理は、怒りとは真逆のドキドキ・ワクワク感だといいます。

獲物を追うことが楽しい!

獲物を追う犬

犬が獲物を探索する行為は、犬の深層情動の中の好奇心を満たす行為です。
かつては犬の快楽中枢を刺激するといわれていた脳の探索回路が、近年になり好奇心を司る部位であると考えられるようになりました。

“感情神経科学”という言葉を作り出した米・ワシントン州立大学の心理学者ヤーク・パンクセップ氏はこう述べています。
「生活に必要な物を探し出そうとする強烈な衝動のおかげで人間や動物は生きていられる」

つまり物事への好奇心や興味は、人間をはじめとした動物にとって必要不可欠で、探索心があることで楽しく暮らすことができるのです。

野生の犬にとって探索欲を駆り立てられるのが「獲物」だったわけで、獲物を探す→獲物を追う→とどめを刺す、この3つの工程が犬にとっては楽しいのです。

人間と暮らす犬は、飼い主に毎日餌を与えられるため、獲物を追って捕食する必要がありません。しかし、犬には「追跡本能」と「捕食本能」があるため、おもちゃやボール、スリッパなどを咥えて離さない、振り回すなどの行為は、犬にとってはレクレーションのひとつといえるでしょう。

犬が捕食行動を誘発されて危険なことも!

子どもを追いかける犬

注意すべきことがあります。
ボールやおもちゃ、スリッパなどを追いかけてるうちは遊びやレクレーションのひとつといえますが、例えばお散歩の途中で、走り回る子どもや通行人、自転車や車など、犬の追跡本能を掻き立てられるターゲットとなるものはたくさんあります。

子どもや通行人を追いかけまわしてケガを負わせてしまったり、自転車や車に飛び込んで、交通事故を招くこともあり得ます。

こうした場面で、犬が衝動的に捕食行動を取らないように、「お座り」「待て」「伏せ」などをしつけておくことが飼い主としての責任ですね。

なお、子犬の社会化期に、人や他の犬と触れ合うことによって、無意味な追跡行動を抑えることができます。

犬の本能と習性

おもちゃを噛む犬

犬は犬種やサイズなどは関係なく生まれ持っての本能と習性があります。
大別される本能に、繁殖本能・社会的本能・逃走本能・運動本能・栄養本能・自衛本能、6つの本能があり、その中に分類される本能があります。

スリッパや靴、ボールやおもちゃを咥えるのは、犬の栄養本能に属し、その中に分類される4つの本能と習性は下記の通りです。

【持来本能】・・・獲物を巣に運ぶ習性。物を咥えてくる持来欲を生み出すもの。
【探索本能】・・・優れた嗅覚から獲物を探し出そうとする意欲。犯人の足跡を追う警察犬などに応用する。
【追跡本能】・・・逃げる獲物を追いかける。フリスビードッグにも応用されるもの。突然走り出したり、走り去ろうとする人にも咬捕しようとする。
【狩猟本能】・・・獲物を捕獲するための習性。狩猟犬に限らず強い狩猟意欲がある。

最後に

スリッパを咥えて歩く犬

いかがでしたでしょうか?
犬がスリッパを探すのは、探索本能から来る行動で、見つけたスリッパを咥えるのは持来本能から来る行動。咥えながらブンブン振り回すのは、とどめを刺す狩猟本能から来る行動だということが分かりました。

そして犬にとっては、ワクワク・ドキドキした好奇心に満ちた感情なのです。

スリッパやおもちゃを咥えるのは「遊んで~♪」のサインともいえます。雨でお散歩に行けない日や運動量が減少しがちな梅雨時は、スリッパやおもちゃ、ボールを投げて「取ってこい!」の室内遊びを愛犬と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?

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