階段が危険な理由①『転落の危険があるから』
第一の危険は、いわずもがな、『階段から転落する危険』です。
わんこの身体は下半身よりも上半身が重い構造となっているため、特に、重い上半身を支えなければいけない「下り」でバランスを崩しやすく、転落事故につながる恐れがあります。
人間が階段から転落した場合には、血が出たり意識を失ったりして、その場で大きなけがとわかりやすいとおもいまうが、わんこの場合は、階段から転落しても、一見何でもなさそうに振舞うことのほうが多いです。
ですが、実際にはわんこの身体に大きなダメージを与えていることがあるので、注意が必要です。もしわんこが階段から転落してしまったら、その後、数日間はわんこの様子をよく見てあげましょう。
骨折
変な体勢で転落してしまった場合や、骨を強く打ちつけてしまった場合、骨折している可能性があります。
人間であれば七転八倒するほどの痛みなので、痛がったり場合いよっては意識を失う事もありますが、わんこの場合は、骨折したからといっておおげさに痛がったりはしません。
転落した後、手足をかばったり、引きずったりしているような仕草が見られたら、骨折を疑ってみてください。
てんかん
頭から落下して脳に大きなダメージを負ってしまうと、てんかん等の神経障害を負ってしまう可能性もあります。
主な症状は全身や手足のけいれんですが、わんこが眠っている間に症状が出やすいといわれています。階段から落下した後は、睡眠中のわんこのようすにも気を配ってあげてください。
その他
転落してお腹を強く打った場合には、内臓にダメージを受けてしまっていることも考えられます。食欲低下や元気がないといった症状が見られないか注意しましょう。
また、顎を強打してしまうと、噛み合わせに影響が出てしまう場合もあります。不安な場合には獣医師の診断を受けましょう。
階段が危険な理由②『腰への負担が大きいから』
実は転落よりも怖いのが、日々の階段の上り下りで蓄積されていく腰へのダメージです。大型犬・小型犬を問わず、階段の上り下りは、わんこにとっては全身運動です。
木を登ったり、屋根に上がったりする猫とは違い、わんこの身体は上下運動することを前提に進化してきていないので、足腰への負担はかなりのものがあります。これをくり返していると、腰に疾患を発症してしまう可能性があります。
椎間板ヘルニア
階段の上り下りで発症しやすい疾患が、椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアとは、骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が、何らかの原因ではみ出してしまい、脊髄を圧迫することで起きる病気です。
手足の痛みやしびれ、散歩や運動を嫌がるといったことが初期症状としてあげられますが、症状が進行すると歩行が困難になったり、排泄障害が起きたりするので、とても怖い病気です。
椎間板ヘルニアは早期の発見と治療が大切なので、少しでも様子がおかしいと思ったら、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
胴長犬種は特に注意
ダックスフントやウェルシュ・コーギーといった足の短いわんこは、遺伝的に椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種として知られています。
胴長短足の体型の彼らにとって、階段の上り下りは更に大きな負担になります。そのため、椎間板ヘルニアの発症の危険性が他の犬種よりも高まってしまいます。
これらの犬種には、普段から階段を上り下りさせないように注意してあげたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?スムーズに上り下りしているように見えても、実は階段の上り下りがわんこに大きな負担を与えていることがおわかりいただけたのではないでしょうか?
アパートやマンションの上層階に住んでいたりする場合、階段の上り下りは避けられない場面もあると思いますが、その場合には飼い主さんが抱っこしてあげるなどの配慮があるといいですね。