犬は目の不思議
犬の視力は動物の世界の中では下の方だと言われています。
若干遠視気味で、人間の0.27倍しかありません。
33cm〜50cmぐらいまで近づいて、ようやく焦点が合うようになっています。
ただし個体差や犬種で差があるため、すべての犬が遠視というわけではありません。
また犬は見える色が2色となっています。
白黒だと思われがちですが、正しくは赤と緑が見えないようになっています。
そのため青や黄色付近の色しか認識できないということになります。緑と黄緑や、黄色、オレンジ、赤の色合いを判別できません。
単調な色合いで世界をみているのです。
目よりも嗅覚や聴覚に頼って生きていますが、目を疎かにしていいということではありません。
犬の目に異常があればそれはちゃんと対処しなければならないものです。それができるのは飼い主さんだけです。素人判断で放っておくことはとても危険です。
なにが原因になるのかを知っておくことを、犬の目を守ることにも繋がります。
目を痛がったり、かゆがったりと目に関する症状は様々ですが、今回は目を閉じられなくなった場合を見ていきましょう。
犬が目を閉じられなくなる病気
顔面神経麻痺
目が閉じられなくなる病気として真っ先に疑うのが顔面麻痺です。
何か環境が大きく変わったり、いつもと違うことをしたりしたとき、犬は大きなストレスを感じます。ストレスを感じた際に引き起こされるものは色々ありますが、その中のひとつに顔面神経麻痺というものがあります。
顔面神経麻痺とは顔面神経に異常が生じて、顔面の筋肉に麻痺が起こる病気です。
異常は顔面のみに起こり、他の神経には以上はないという特徴があります。
症状としては口が上手く動かずに食事をこぼしてしまったり、よだれがたれたり、目が閉じれなくなる、唇が垂れ下がる、といったものがあります。
対策はストレスをためないことです。急なストレスで一時的に顔面が麻痺してもストレスを解消してあげたりすると治ることがあります。
マッサージなどのリラックスできるものをしてあげましょう。
日頃からストレスを感じている場合は環境を改善する必要があります。
症状がひどくて治りそうにない場合は、早めに病院へ連れていきましょう。
中耳炎
犬の場合、中耳炎は外耳炎が悪化した結果起こります。
外耳炎の場合は耳の中が炎症を起こし、悪臭がするようになります。そして中耳炎になると顔面神経麻痺を起こしやすくなり、目が閉じないという症状も表れるようになります。
常に耳は清潔にするように心がけてください。特に耳がたれている犬種は耳の中が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなっているので、こまめな手入れが必要です。
耳掃除をしないときも耳の中の様子や臭いをチェックしてみてください。
またアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを持っている犬の場合は外耳炎になりやすいので、チェックをかかさないようにしてください。
犬の中耳炎を治療する場合、原因か菌類か耳ダニかで治療法や対処法が異なります。
顔面神経麻痺を伴う場合は細菌やウイルスによる神経の炎症の可能性も考えられます。
こういったものに感染しないように常に清潔な状態を心がけることが大切です。
脳炎
脳で感染症が発生すると、脳炎になる危険があります。
発症すると脳に障害をもたらし、歩行障害や発熱といった症状があらわれます。
顔面神経麻痺もその症状のうちのひとつで、目が閉じにくくなります。
脳炎は免疫機能が身体を傷つけてしまい起こる場合や原因がわからない突発性のものもあります。
はやめの対処が大切で、適切な治療を受けさせてあげましょう。
重い障害が残る場合もありますが、病院で適切な治療を受けることで症状が緩和されたりします。
目が閉じにくいようであれば、甘くみて自己判断せず、病院へ連れて行ってください。
感染症
突発的な顔面神経麻痺の場合、細菌やウイルス感染の可能性があります。
ウイルスや細菌を完全に防ぐことは難しいのですが、感染源となるダニや環境などは予防、改善することができます。
また症状が出たときに放置せずに、すぐに病院に連れていき治療を行えば回復する見込みはあります。
逆に放置してしまうと回復せずに失明してしまったり、他の部分の炎症をおさえるために眼球を摘出する場合もあります。
原因が本当に感染症なのか、他の病気が隠れていないか素人では判断ができないため、必ず獣医さんに診てもらうようにしましょう。
まとめ
犬が目を閉じられなくなるの原因は主に4つでしたが、それ以外にも原因は色々と考えられます。
全てに共通して言えるのは、自己判断をせず病院で診てもらうのが1番ということです。
眼が閉じられない状態が長く続くと角膜が乾いてしまい痛みを伴ったり、違和感から目をこすり角膜潰瘍を起こすことも考えられます。獣医師の診断を受け適切に対処してあげましょう。
手遅れになってしまうと失明や眼球の摘出などをしなければいけない病気もあります。
犬は目にあまり頼っていないといっても、大事な身体の一部であることに変わりはありません。
犬の目の変化に気づいたらすぐに病院へ連れて行ってあげましょう。