この時期には注意!犬と梅雨を過ごす5つの注意点

この時期には注意!犬と梅雨を過ごす5つの注意点

春が過ぎると、やがて夏がやってきますが、その前に日本には「梅雨」と言う季節があります。愛犬家にとっては、おでかけや普段の散歩が出来ない憂鬱な季節ですが、実は梅雨は、犬にとって非常に体調を崩しやすい季節でもあります。今回は、愛犬が体調を崩しがちな梅雨時分に、どんな症状、病気に気を付けるべきか、その注意点を5つ、ご紹介したいと思います!

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

なぜ、梅雨時に体調が崩れやすいの?

黒いレインコートのコッカースパニエル

梅雨に限らず、お天気の悪い日が長く続くと、人間でも体調を崩しがちになることがあります。大気中に水気が増えた状態を、中国医学や漢方では、「湿(しつ)」といい、さらにこの状態が進んで、人の体に悪影響が出るほどになると、「湿邪」と言う状態になります。
そして、この「湿邪」は体が濡れたり、長時間湿ったところにいたために、体の外から入る「外湿」と、内側から生じて内臓の動きを鈍らせ、体から余分な水分の排出を妨げる「内湿」とは、お互いに影響しながら、体にさまざまな不調を引き起こす、と考えられています。
とすると、人間の体に起こることは、同じ哺乳類である犬の体にも起こるはずです。
ですから、梅雨時の愛犬の体調管理は、普段以上に気を配る必要があります。
では、梅雨を体調を崩すことなく、元気に過すためには、どんなことに気を付ければよいのでしょうか?

梅雨時に気を付けるべき症状 5つ

ːぐったりしているボクサー

  • 皮膚疾患の悪化
  • 運動不足
  • 膀胱炎になりやすい
  • 食中毒になりやすい
  • リウマチなど関節炎の発症、悪化

皮膚疾患の悪化

獣医さんと茶色と白のブチの犬

耳の垂れた犬種(コッカースパニエル、ダックスフンド、ビーグルなど)は、梅雨時期を始め、湿気の高い季節になると耳の中の環境が非常に悪くなります。
また、犬が皮膚炎に罹る時は、アレルギーやアトピー、細菌性などさまざまな要因がありますが、いずれも湿気が高くなると、悪化しやすくなります。
実は、この状態も漢方では「湿」の影響から、体内にあるさまざまな分泌物が潤滑に体を巡らなくなり、体内から排出されるべき老廃物が溜まっている「重濁」という状態になったことから起こる皮膚トラブルだと考えられています。

皮膚トラブルに対する注意点

耳の中、体の表面など、常に清潔な状態を保てるように心がけましょう。
この時期には、犬種ごとに最適な短めのカットをしてもらうように、トリマーさんにお願いすると、日ごろの手入れがしやすくなります。
耳が垂れた愛犬は、特にこの時期、マラセチアによる外耳炎にかかりやすいので、一日に一度は必ず、耳の中を見たり、耳の中のニオイを嗅いだりして、様子を見ましょう。
また、普段よりも明らかに痒がっていたり、被毛がベタついていたら、なるべく早くかかりつけの獣医さんに診て貰いましょう。
特に、マラセチアによる外耳炎は、あっという間に悪化します。
たった数時間で、耳の中が真っ赤に腫れあがって、掻きむしったせいで血が出てしまうことすらあります。そうなると、腫れが引くまでかなりの日数がかかるので、早めの発見、早めの手当てが欠かせません。

運動不足になる

犬と女性

雨が降っていたら、散歩に行けず、運動不足になる

雨で地面が濡れている時に、散歩に出かけると、肉球がふやけて怪我をしやすくなります。
また、体が冷えてしまい、体調を崩す原因にもなります。
愛犬が運動不足になってしまうし、外に出れないことでストレスが溜まるのでは?と飼い主さんは、心配になりますよね。

おうちの中でも発散できる

散歩に行けないストレスは、飼い主さんがいつもよりもたくさん遊んであげたり、なにか目新しい遊びをしてあげることで、解消できます。
大型犬なら、タオルでもひっぱりっこや、何か新しいトレーニングを始めるための勉強の時間にしてあげたり…と言った、ご自分の愛犬の犬種ならではの特徴、性格、おうちの広さなどを考慮しながら、独自の遊びを考えてみましょう。
咬犬さんも一緒に楽しんで遊んであげると、雨の中、わざわざ散歩に出かけなくても、愛犬は、十分満足してくれるでしょう。

膀胱炎になりやすい

「散歩に行く時間が減って、外でトイレをするタイプの子はトイレを我慢してしまい、そのせいで膀胱炎になりやすい」という意見もありますが、実は膀胱炎も、皮膚トラブル同様、「湿」と「重濁」が関係しています。
あくまで、人間の体に起こることなのですが、体が内側から「湿」の影響を受ける「内湿」によって、体内の水分の循環が円滑な状態ではなくなり、そのために尿が濁ったり、残尿感や排泄痛などが起こりやすいと考えられています。
人間なら、自分が行きたいと思った時にいつでもトイレに行けますよね。
しかし、梅雨時期に膀胱炎の症状が出やすくなる、ということはやはり、「湿」という気候が大きく関係しているのではないでしょうか。

食中毒になりやすい

口を開けている犬

犬は、人間と比べて、腐敗した食べ物を食べても、比較的食中毒にはなりにくい、と言われています。ですから、健康な大人の犬の場合は、さほど神経質になることはないと思います。

しかし、病後の犬、シニア期、離乳時期の子犬、出産直後の犬などが食中毒になり、嘔吐、下痢などの症状が長引くと、体力を奪うことになるので、気を付けてあげましょう。

食中毒を防ぐ注意点

まず、食器はいつも清潔に保って上げましょう。
ウエットタイプ、缶詰、手作りご飯などを与えている場合は、保存する時は必ず、フタかラップで食品を覆い、冷蔵庫に入れておきましょう。この時期は、鶏肉や馬肉など、愛犬に生食を与えている場合も、量を減らすか、加熱して与えた方が良いと思います。
また、お水も新鮮なものをいつでも飲めるようにしてあげましょう。

リウマチなどの関節系、呼吸器系、心臓疾患、脳疾患などの持病の悪化

雨の窓辺の子犬

気圧の変化によって、病気を発症したり、もともと患っていた病気が悪化することを「気象病」と言います。梅雨の時期は、まさにこの「気象病」が出やすい時期なので、特に注意が必要です。

持病の悪化を防ぐための注意点

脳疾患で、てんかんの発作が出るような場合は、気圧が低くなる日に備えて、しっかりと獣医さんと相談して、お薬などを処方してもらいましょう。
梅雨の時期は、食欲も落ちやすくなり、そのために体力が落ちることも考えられるので、愛犬の食欲がないときは、普段と違うフードにしてみたり、少量を何度かに分けて食べさせたりといった工夫をしてあげましょう。

まとめ

相合い傘をしている2匹の犬

梅雨時期は、人間も犬も、なにかしら体に変調が起きやすい時期と言えます。しかし、なんの対策もせずに、憂鬱に過ごすより、出来るだけ楽しく、健康に過ごせるように、新鮮な食材を使った食事を食べたり、ノミやダニが繁殖しにくいように、部屋をキレイにして、住環境に気を配れば、愛犬だけではなく、飼い主さんの健康も損なわずに、梅雨を乗り切ることが出来るかもしれませんね。

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