定説は見事に覆った!
鼻先を水の中に突っ込んでガブガブと水を飲む犬や、容器の周りが『ビチャビチャ』なってしまう様な飲み方をする犬など、犬によって水の飲み方が違う様に見えるかも知れませんが、実際のところどうやって犬が水を飲んでいるのかわかっているようでわかっていないですよね?
今までの説ですと、犬は舌を裏側に折り曲げて柄杓の如く水を掬い上げて飲んでいると考えられて来ました。
しかしある研究によって、その定説が見事に覆される事になったのです。
今まで考えられて来た飲み方ですと、水を掬い上げても殆ど舌から零れてしまい、飲み込む事など出来ません。
実は犬たちは驚くべき飲み方で水を『ガブガブ』飲んでいたのです!
因みに猫も犬と同じ飲み方をするそうですよ。
犬と猫は4300万年前に共通の祖先から分岐したと言われていますので、同じ飲み方をするのは当然の事と言えるかもしれません。
ただ、犬は猫に比べると飲み方があまり上手でありませんので、容器の周りをビショビショにしてしまうのです。
でも美味しそうに水を飲む犬の姿は、とても微笑ましい光景ですね。
水柱を作って飲んでいる?
犬の水の飲み方の研究を発表したのは米国ハーバード大学の研究者達です。
彼らが飼っている愛犬を使い、水を飲む姿をビデオ撮影して分析したそうです。
その結果を科学誌『Biology Letters』で発表しています。
それによりますと、従来の様に犬は舌を柄杓で水を掬い上げてはいるものの、それだけでは口に入らずに殆ど零れてしまいます。
そのため舌で『水柱』を作り、水柱が立っている隙に舌と口の上側の部分である『口蓋』に入れて閉じこめます。
そして閉じ込めた水を一口では飲み込まず、まるでベルトコンベアで運ぶかの様に3~4回移動させて喉の奥へと運び飲み込んでいるのです。
この飲み方が真実だったのです!
そのビデオがアップされていますので興味のある方はご覧ください。
↓ ↓
ビデオ映像→https://www.youtube.com/watch?v=63Ch2pNkZwU
X線映像→https://vimeo.com/19947631
如何ですか?
超スローでビデオ映像とX線映像で観ると良く分かりますでしょう。
これで今までの説が完全に覆った事になります。
ですが、どうしてこの様な飲み方をするのかは未だ解明できていないそうです。
犬は水を飲みながら呼吸が出来る!
人間は水を飲む時には呼吸ををしていません。
何故かというと、人間の場合、喉頭と喉頭蓋が巧みに機能して気管に蓋をして異物が入らない様にしているからです。
しかし犬の場合、水を飲む際でも呼吸をする事が可能なのです!
つまり、犬は呼吸をしながら水を飲んでいる事になります。
犬の喉頭は人間よりも口の奥にあります。
食物が通過する際は蓋が気管を塞ぐため一時的に呼吸を止めますが、水は喉頭の横をすり抜けて食道に進みます。
そのため喉頭蓋で気管を塞ぐ必要はありません。
だから犬は長時間水を飲んでも苦しくないのです。
しかし、水飲み容器を床に置いた状態で飲ませると、犬が首を下げて飲む事になりますので気道が圧迫され咽る場合があります。
ですから水飲み容器の下に台を敷いたりして、出来るだけ頭を下げない状態で飲ませるのが良いでしょう。
あまり下ばかり向かせていると『気管虚脱』になると聞いた事があります。
気管虚脱とは、気管が押し潰されて空気の流れが悪化してしまう病気です。
犬が飲む水の適正量
水を飲むと言う事は、単に喉の渇きを潤すだけではなく、体内の老廃物を尿や便と一緒に排泄したり、血液成分として体内に栄養を運んだり、また体温調節をする等の重要な働きがあるのです。
では犬に必要な1日の水分の適正量はどのくらいなのでしょう?
一般的には『1日に必要なエネルギー量と比例する量』と言われています。
つまり1日に500kcal摂取しているのなら500ml必要になります。
常に新鮮な水に交換して摂取させてあげて下さい。
まとめ
基本的に犬は、健康であれば自ら必要な量の水を飲みます。
夏場と冬場では飲む量も変わって来ますが、それ以外の季節で愛犬の飲む水の量が極端に変化した場合、何らかの病気にかかっている場合がありますので、一応獣医師に相談される事をお勧めします。
我が家の場合、万が一の事を考えて小型犬や短頭種に見られる『気管虚脱』を防ぐために、出来るだけ愛犬に下を向かせない様に頭の高さに合わせた循環式給水器と食台を使用しています。
食べる事はもちろん大事ですが、人間や動物にとって水は生命維持に最も大切なものです。
犬は舌を出して水分を舌から蒸発させて体温を下げていますので、そう言う意味に於いても毎日新鮮な水を飲ませる事は非常に重要です。
ですので常に新鮮な水を飲める場所を設けなければなりません。
命の源である水に感謝しながら、愛犬の健康管理をして長生きさせてあげて下さいね。