犬が人間の足を舐めてくる心理
犬が人間の足を舐めてくる行動には、さまざまな犬の心理が隠されています。犬にとって舐めることは、大切なコミュニケーションのひとつです。
舐めることで、人間に気持ちや欲求を伝えています。犬が足を舐めてきたときは、なにを伝えようとしているのかを読みとり理解してあげたいですね。犬が人間の足を舐める心理には、どのようなものがあるのでしょうか。
心理1.人間と遊びたいから
犬は人間と遊びたいとき、「遊ぼうよ」「かまってほしい」と足を舐めます。犬に足を舐められると、くすぐったくて「やめて」と笑って反応していませんか?犬は、人間の足を舐めるとかまってもらえると知っているのです。
飼い主さんと遊びたい、かまってほしいときに足を舐めて催促します。犬が遊びたくて頻繁に足を舐めてくる場合は退屈しているのかもしれません。
遊んだりトレーニングをしたり、コミュニケーションの時間を増やしてみましょう。
心理2.体臭や有機物のニオイが好きだから
愛犬は、あなたの足のニオイが好きで舐めているのかもしれません。犬は、体臭や有機物が腐ったニオイを好むからです。
人間の足は汗をかきやすく、皮脂や垢がたまりやすいところ。運動後などの足を好んで舐めるのは、飼い主さんの体臭にうっとりしている証拠です。
人間にとっては臭いと感じるニオイでも、犬にはたまらなく好きなニオイなのでしょう。
心理3.飼い主さんが好きだから
犬が足を舐める理由は、飼い主さんが大好きだからです。犬にとって舐めることは大切な愛情表現の手段。飼い主さんに愛情や尊敬の気持ちを伝えようとしているのです。
犬は、親子や兄弟などで舐めあう姿がよく見られます。犬はお互いを舐めあうことで絆を強めているのです。犬が愛情を伝えようと舐めているのに、叱ったり拒否してしまうととても傷ついてしまうのです。やめてほしいときは叱らずに優しく伝えましょう。
心理4.飼い主さんに落ち着いてほしいから
飼い主さんが怒ったり落ち込んだりしているときに、足を舐めてくることはありませんか?
犬は、飼い主さんに「落ち着いてほしい」と伝えています。犬は相手を舐めることで「落ち着いてほしい」「敵意はありません、怒らないで」と伝えるからです。
これは、興奮している犬を舐めて「落ち着いてほしい」ときに犬同士でも見られる行動の一つ。犬は、飼い主さんに落ち着いてほしいと伝えるために足を舐めているかもしれません。
感情的になっているときは、深呼吸して気持ちを落ち着かせてから犬に接しましょう。
心理5.習慣になっている
飼い主さんの足を舐めることが、習慣になっている場合もあります。過去に不安やストレスを感じたとき、飼い主さんの足を舐めたら気持ちが落ち着いた経験があるのかもしれません。
それが習慣になって、不安やストレスを感じたときに舐めることで気持ちを落ち着かせようとします。愛犬が不安やストレスを感じていないかチェックしてみましょう。
犬が人間を舐める部位ごとの意味
犬は、伝えたい気持ちや感情によって人間の舐める部位を変えています。足だけでなく、顔や手などあらゆる部位を舐めてきますよね。舐める部位ごとに微妙に意味が変わってくるのです。
「うちの愛犬は顔や口をしつこく舐めてくる」「私の鼻が大好きで」と特定の部位にこだわって舐める犬もいますよね。なぜ犬は人間の体のいろいろな部位を舐めてくるのでしょうか。ここからは、部位ごとに舐める理由を紹介します。
「顔」を舐めてくる意味
顔や口を舐める理由は、飼い主さんに「大好き」「頼りにしています」を伝えたいからです。犬にとって顔や口を舐める行為は最大の愛情表現。外出先から帰宅した時に顔をペロペロ舐めてくる場合はあいさつの意味もあります。
顔を舐めるあいさつが犬は大好きです。犬同士でも顔や口をペロペロ舐めてあいさつします。身を低くして相手の犬の顔や口を舐めているときは、尊敬や愛情を伝えているのです。
「手」を舐めてくる意味
犬は飼い主さんの手が大好き。飼い主さんの手は、犬にとってうれしいことがたくさんある部位です。なでてもらえたり遊んでくれたり、ご飯やオヤツが出てくる魔法のような手。
犬が飼い主さんの手を舐めてくるときは、遊んでほしいときや甘えたいときです。手を舐めてきたときは、なでたり遊んだりして犬とコミュニケーションを取りましょう。
「指」を舐めてくる意味
食後や料理をしたあとに、犬が指をしつこくペロペロ舐めてくることはありませんか。それは、指に残っているニオイが気になっているのかもしれません。
犬の嗅覚は、人間の3000~10000倍とも言われています。きれいに洗ったつもりでも犬にはおいしそうなニオイがするのでしょう。指の間や爪は汚れが残りやすいので、きれいに洗って清潔な指で犬に接しましょう。
「腕」を舐めてくる意味
犬が腕を舐めてくるときは、かまってほしいからです。ソファーに座ると隣にやってきて鼻先でツンツン腕を突きペロッと舐めてきたりしませんか。
犬は「飼い主さんこっちを向いて撫でて」と甘えています。上目遣いでこちらを見ながら腕を舐めて甘える姿はかわいくて癒されますよね。そんなときは、撫でてかまってあげましょう。犬は喜んで満足してくれます。
「鼻」を舐めてくる意味
飼い主さんの鼻をしつこく舐めてくることはありませんか。夢中になって鼻をペロペロ舐めて止めなかったり、鼻の穴の中まで必死になって舐めてくることもあります。
それは、飼い主さんの鼻のニオイが好きだからです。人間の鼻は、鼻水や汗など分泌物が多い部位。飼い主さんの鼻水や汗が犬の好みの味やニオイなのかもしれません。
「耳」を舐めてくる意味
耳を舐めることが大好きな犬も多いですよね。鼻と同様に、耳も耳垢などの分泌物が多い部位です。耳の穴の中までペロペロ舐めてくるのは、好みのニオイなのでしょう。
耳を舐められると、くすぐったくて笑ったり声をかけたり反応していませんか?犬は、飼い主さんが喜んでくれたと思いますます耳を舐めてくるようになるのです。
犬が人間を舐めてくる時に注意したいこと
犬が人間を舐めてくる時に、注意しなければならないケースがあります。犬は、さまざまなものを口に入れたり舐めたりして情報を収集しています。散歩中に気になるものを見つけた時、ペロッと舐めて確認していませんか?
他にも、犬は排尿や排便のあとに自分のお尻を舐めてきれいにします。尿や便を舐めた口で人間を舐めるのはちょっと抵抗を感じますよね。じつは、犬に舐められて病気になる場合もあるのです。
犬に舐められると病気になることがある
犬に舐められることで、細菌が感染して病気になることがあります。犬の唾液にはさまざまな菌が含まれているからです。犬は無症状でも人間が感染すると重大な健康被害を引き起こしてしまう場合も。
とくに注意が必要なのは「パスツレラ菌」です。この菌は、犬の約75%が口腔内に保有しているといわれ、人間が感染するとパスツレラ感染症を発症する恐れがあります。
パスツレラ菌は粘膜や傷口から感染します。手や足を舐めているだけでは感染の心配は少ないといわれていますが、傷がある場合などは注意が必要。手や足などを犬に舐められたあとは、石鹸などできれいに洗いましょう。
赤ちゃんは犬に舐められると病気になる恐れがある
泣いている赤ちゃんを犬がペロペロ舐めてなぐさめる姿は見ていて癒されますよね。
犬が赤ちゃんを舐める理由は「泣かないで」「落ち着いて」と伝えています。しかし、このかわいい行動には危険が潜んでいるので注意が必要です。
犬の唾液には細菌が含まれています。免疫力や抵抗力が少ない赤ちゃんは、犬に舐められると病気になるリスクが高くなってしまいます。小さいうちはとくに、愛犬が赤ちゃんを舐めないように飼い主さんが注意するようにしましょう。
犬が人間の足を舐めてくるのをやめさせる方法
犬が愛おしそうに足をペロペロ舐めてくる姿は、かわいくて幸せな気持ちになりますよね。愛情や信頼を伝えているとわかるとなおさらです。
しかし、外出先や来客時など日常生活のなかでは足を舐められては困る場面もあります。舐めることが習慣になってしまう前にやめさせたいものです。ここからは、犬が足を舐めてくるのをやめさせる方法を3つ紹介します。
舐めてくる時は遊ばない
犬が遊んでほしくて足を舐めてくる時は、遊んだりかまったりしないようにしましょう。舐めてくる理由が遊んでほしいなどの欲求からくる場合、無視するのが効果的です。
感情的になって「ダメ」などと大きな声を出すのは逆効果。犬はかまってもらえた、遊んでもらえたと勘違いしてますます舐めてきます。無視して犬が舐めるのを諦めたときにほめて遊んであげましょう。
やめるように指示を出す
犬が足を舐めてきたら「おすわり」「まて」の指示を出し、舐めるのをやめさせます。犬が落ち着いて指示に従い、おすわりができたらしっかりと褒めることが大切。褒めながらおやつををあげるとより効果的です。
「おすわり」「まて」の指示は、他にもさまざまな場面で使えます。犬が従えるように日ごろから練習しましょう。足を舐めることが習慣になってしまうとやめさせるのはとても時間がかかります。根気よくくり返し教えましょう。
犬と遊ぶ時間を増やす
犬が「遊んで」「かまって」と舐めてくる場合は、遊ぶ時間や散歩の時間を増やしましょう。犬は退屈して飼い主さんの足を舐めることがあります。
遊ぶ時間が少ない、運動不足などで退屈しているのかもしれません。犬が満足するまで遊んだり散歩に行くなど、コミュニケーションの時間を増やすことが大切です。
まとめ
犬が足や人間の体を舐めてくる心理は、愛情表現や信頼を伝えるかわいい理由だとわかりましたね。犬の気持ちを理解して信頼される飼い主になりたいものです。
ただし、舐める部位によっては感染症のリスクや、舐めることが習慣になってしまうことで日常生活に支障が出る場合もあります。飼い主さん以外の人や赤ちゃんの顔や口を舐めてしまうのは危険を伴う場合もあるのです。
飼い主さんの「待て」や「おすわり」の合図で舐めたい気持ちを押さえられるようになることはとても大切。愛犬とコミュニケーションを取りながら、ゆっくりと時間をかけて日々のトレーニングを行いましょう。