睡眠のパートナーとしての犬と女性のペアの研究
自分以外の誰かとベッドを共有して一緒に眠る場合、人間のパートナーの他に犬や猫などのペットと寝るという人は珍しくありません。
誰かと一緒に睡眠をとることについての研究はいろいろと発表されていますが、特に女性にとって共同睡眠は睡眠の質に影響することが報告されているそうです。
このたびアメリカのカニシャス大学とオーストラリアのセントラルクイーンズランド大学の研究者による、女性と犬のペアの睡眠の質に関する研究結果が発表されました。
過去の研究ではどんな結果が?
今回の研究を発表したカニシャス大学の研究者は、2018年に聞き取り調査に基づいた女性の睡眠の質に関する研究を発表しています。
その調査では、ベッドを共有しているパートナーが人間、犬、猫の場合で睡眠の質を比較しており、犬と寝ている女性は「犬は人間のパートナーよりも私の睡眠を邪魔しない」と回答した人が多く、猫と寝ている女性は「猫は人間のパートナーと同じくらい私の睡眠を妨害する」と回答した人が多かったということです。
女性の飼い主は人間のパートナーよりも犬の隣の方が良く眠れるという調査結果
またアメリカのメイヨー・クリニックの睡眠医学の研究者による2017年の研究では、運動センサーを装着して睡眠中の動きをモニターして睡眠の質を検証したところ、犬とベッドを共有することは寝返りが増えるなど睡眠の質を低下させるという結果が発表されています。
今回の研究では、これらの一見矛盾する点を検証するリサーチが行われています。
女性と犬のペアの睡眠の質を検証
研究チームは、12組の成人女性と犬のペアに参加してもらって、睡眠に関するデータを収集しました。女性の年齢の中央値は50.8歳です。
参加者一人あたり10夜分のデータ収集を行い、参加者には体の動きを察知する運動センサーを腕に着けてもらって、1分単位で睡眠中の動きをモニターしました。これによって、睡眠中にどの程度体を動かしたかの統計を取ることができ、睡眠の質についての客観的なデータが計測できます。
一方、参加者は期間中の睡眠日記をつけてもらい、「熟睡できた」「犬が睡眠の邪魔になった」など、個人の主観的な感覚のデータも集められました。
運動センサーのデータからは、睡眠中の犬の動きは人間の動きの約50%に関与していたことが分かりました。また睡眠中に犬が動くことで人間が寝返りをうつなど体を動かす可能性は、犬が動かない場合に比べて約3倍になりました。人間の動きのせいで犬が動くよりも、犬が人間の動きに影響を与えるケースがより多いことも分かりました。
つまり客観的なデータが示しているのは、犬がいることで人間の睡眠は多少なりとも妨げられていたということです。
しかし面白いことに、主観的なデータでは人間は睡眠中の犬の動きにほとんど気づいておらず、犬によって睡眠が妨害されたという報告は大変少ないものでした。
実際には犬がいることで余分な寝返りなど、睡眠中の動きが増えて眠りが妨げられているはずなのに、自分の感覚では「全然邪魔されていない。よく眠れた。」と感じているのですね。これは過去の研究の矛盾すると思われた点を説明する結果となっています。
研究者は今後さらに人間と動物の共同睡眠の調査を継続して、ペットが人間の睡眠の質にどのように影響するかについて理解を深めていきたいと述べています。
まとめ
女性は誰かと一緒に眠ることで睡眠の質に影響を受けやすい傾向があるそうですが、女性と犬が一緒に眠った場合、実際には犬の動きが睡眠に影響しているはずなのに体感的には犬が睡眠を妨害したと感じる人がほとんどいなかったという研究結果をご紹介しました。
この客観的なデータと主観的な感覚のズレについては、今後さらに研究が必要とのことですが、大の犬好きの皆さんなら「何となくわかるな〜」と感じられるのではないでしょうか。犬と一緒に寝ることでベッドは狭くなるし、蹴られることもあるのに、心は満たされているという、あの感じですね。今後のさらに深い研究の結果が楽しみです。
《参考URL》
https://www.mdpi.com/2076-2615/10/2/278
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