犬は留守番ばかりだと良くないの?
仕事や予定などで飼い主が不在の際に犬を留守番させようとしても、慣れていないと無駄吠えでうるさくしてしまったりうろうろと落ち着きがなくなったりする場合があります。
日頃からトレーニングを行ったり、犬との接し方の見直しや環境を整えたりすることで徐々にお留守番が上手になるでしょう。ここでは、留守番中のトラブルや事故を防ぐためにも、重要なポイントをお伝えします。
留守番の練習や犬のケアができていれば大丈夫
基本的なトレーニングをしっかり行い、室内の環境を整えることや、犬のケアをきちんとしていれば、犬を留守番させることはできます。犬がひとりでいることに慣れてリラックスできるようになると、無駄に吠えたり家の中の物を壊してしまったりといったトラブルを防ぐことができるのです。
また、飲み水やご飯の用意、落ち着ける寝床を作るなどして安心できる環境を整える、留守番ができたら褒めるなど、犬の心のケアを行うのも重要です。これらの対策を取っている場合は、犬の年齢や性格にもよりますが、1日で8時間〜12時間程度の留守番が可能です。
犬の留守番中の問題行動は準備不足のサイン
犬が留守番中に問題行動を起こすのは、事前の準備が不足していてストレスを抱えているサインです。留守番中の問題行動は、
- 吠え続ける、無駄吠えする
- 暴れるなどして室内のものを荒らす、破壊行動をする
- 家電のコードを噛む
- トイレ以外の場所で粗相をする
- 留守番中だけ食欲不振になる
- 下痢や嘔吐をする
- 落ち着きがなくなる
などが挙げられます。犬自身もつらい思いをしている上に飼い主の負担にもなってしまうのです。最悪の場合は事故に繋がる可能性もあります。
このような行動は、飼い主と離れることで寂しい気持ちや不安を強く感じると起こる「分離不安」から引き起こされるケースもあり、改善するには根気のいるトレーニングが必要です。
犬が留守番時間ばかりになりがちな時の注意点
ペットとして飼われている犬の多くは留守番を経験します。週の半分以上が長時間になってしまうケースもあるでしょう。
ここでは、犬の留守番が多くなる場合に心身ともにしっかりと健康管理ができるよう飼い主が注意しておくべきポイントを解説します。
犬の留守番は短時間から慣れさせていく
いきなり長い時間の留守番に挑戦するのではなく、ごく短い時間から徐々に慣れさせていくのが大切です。トレーニングは生後3ヶ月過ぎの子犬の頃から始め、まずは30秒〜1分だけ飼い主が外に出て戻ってくるという流れを繰り返していきます。
慣れてきたら少しずつ外に出ている時間を長くしていきながら、「外に出てもちゃんと飼い主は帰ってくるんだ」と犬に認識させます。練習中に犬が吠える場合もありますが、すぐに戻ってしまうと「吠えれば帰ってきてくれる」と認識して無駄吠えが増えるので、問題がなければ、時間までは戻らないようにしましょう。
戻ってからしばらくして犬が落ち着いたらしっかりと褒めるのがポイントです。
留守番前と帰宅後の大げさなふるまいは避ける
家を出る前に、犬に対してかわいそうだからと大げさな挨拶をしたり触れ合ったりすることは、犬に「飼い主がいなくなる=寂しくて嫌なもの」と印象づけてしまい不安を煽る可能性があります。
かといって、留守番の時だけ犬にそっけなくしたり無視したりするのも良くないので、あくまでも普段通りを心がけるのがポイントです。また、帰宅後は犬が喜んで興奮している状態でスキンシップをするのはNGです。
一旦は軽く声がけをしたり撫でたりすることに留めて、犬が落ち着いてからたくさん褒めてスキンシップを取りましょう。飼い主がいる状態といない状態で大きなギャップが生まれてしまうと、ストレスの原因となり問題行動や分離不安を引き起こす可能性が高くなってしまうこともあります。
子犬や老犬の留守番は短時間に留める
子犬や老犬の留守番は、短い時間に留めておきましょう。月齢にもよりますが、子犬は食事の頻度が成犬よりも多く、1日に3〜5回与えます。一度にたくさん食べられない上、長時間の空腹状態が続くと低血糖で体調不良になることを防ぐためです。また、排泄も数時間おきにお世話をする必要があります。
老犬の場合は、不安を感じやすく体調の変化も起こりやすいため、どうしても留守番をさせなければならない場合には、犬のケアをきちんと行い、室温や室内の環境気を配ることだけでなく、誤飲誤食や床ずれといったトラブルの対策も行いましょう。
子犬や老犬はもちろん、留守番の練習ができている成犬でも、あまりに長時間留守にする時や留守番させたくないと思う場合は、ペットシッターなどを利用して一時的に預かってもらうことを検討しましょう。
犬が留守番ばかりでも快適に過ごすための対策
犬を留守番させる時は、犬の健康を害したり思わぬ事故にあわないように、事前に行っておくと良い対策を紹介します。
快適に留守番ができるようになるために大切なポイントですので、ぜひ内容を抑えて実践しましょう。
クレートやケージに慣らしておく
犬を留守番させる時は、クレートやケージに慣らしておくと安心できる居場所が作れるだけでなく室内で起こるトラブルも防ぐことができます。クレートは1〜2時間など短時間の留守番に、ケージは長時間の留守番に適しています。
留守番中に部屋の中を自由に動けるようにしておくと、食べてはいけないものを誤飲してしまったり、電気コードを噛みちぎってしまうなど、愛犬が危険に晒される可能性もあるのです。
ケージの中に、十分なお水やご飯、トイレ(ペットシート)、噛んでも壊れない安全なお気に入りのおもちゃなどを用意して、長時間でも犬が落ち着いて過ごせるようにできれば留守番中の精神的負担を減らすことができるでしょう。さらに、水の飲み場は2箇所以上あると、万が一こぼしてしまった時でも安心です。
部屋を片付けて環境を整える
電気コードや食べ物、いたずらしてしまいそうな物など、トラブルに繋がりそうなものは片付けておきましょう。思わぬ事故に巻き込まれないようにしておくことが大切です。
また、部屋の室温を適温にしておくことも重要。夏場で最高気温が25℃以上になる日や、冬場はエアコンをつけて出かけましょう。エアコンの温度は夏場なら20〜25℃、冬場であれば20〜24℃が適温と言われています。
ヒーターやストーブは火傷の危険性があるので、寒がりな犬には噛んでも問題ない素材でできた湯たんぽもおすすめですよ。犬の性格によっては、留守番中にテレビやラジオを付けておくといつも通りの雰囲気になり安心できることもあります。愛犬に合わせて調整しましょう。
あらかじめしっかりと運動をさせておく
ひとりで遊ぶのが好きな犬であれば、留守番中に辛いとは思わないでしょうが、寂しがりやな犬やあまり遊ばない犬にとって、留守番は退屈で辛いものです。退屈さや寂しさは犬にストレスを与える原因となるので、事前に満足行くまで遊んだり散歩を長めにしたりして疲れさせるのも効果的です。
体力回復のために寝ている時間を利用すれば、リラックス状態で留守番ができるのでストレス軽減に繋がります。途中で起きてしまっても留守番が終わるまでの時間が短くなるので、普通に留守番するよりも比較的負担を軽減することもできます。
▼「犬の留守番の基本」を知りたい方はこちら
まとめ
犬が留守番ばかりになってしまう時の影響について解説しました。
犬の留守番は、留守番のしつけを行い慣れた状態であれば可能です。慣れていないのに留守番をさせようとしてしまうと、ストレスや不安を強く感じ、以下のような問題行動や症状に繋がってしまいます。
- 無駄吠え
- 室内のものに対する破壊行動
- 誤飲、誤食
- トイレ外での粗相など
まずは、1分程度から徐々に飼い主が離れる状況に慣らしていくトレーニングを生後3ヶ月過ぎから行っていくと良いです。また、留守番の前後で大げさにスキンシップや挨拶をすると「留守番は寂しいもの」と認識してしまうため、普段通りに振る舞うことも大切。
落ち着いて過ごしてもらうためには、あらかじめ運動をしっかり行い、室温を適温にして環境を整え、クレートやケージを利用すると効果的です。寂しい思いをさせることも多い留守番ですが、少しでも負担を軽くできるよう努めましょう。