冬に犬をお留守番させる際に気をつけたいことについて現役獣医が解説

冬に犬をお留守番させる際に気をつけたいことについて現役獣医が解説

どんなわんちゃんも飼い主さんと一緒にいることが一番安心できて大好きでしょう。しかし、お仕事や予定による外出など、必ずしもわんちゃんが一緒にできることばかりではありません。しつけなどで普段から上手にお留守番をできることが理想的ですが、わんちゃんの性格や、お家の環境によっては難しい場合もあります。お留守番のトラブルはどんな時でも起こり得ますが、冬場に気を付けなければならないトラブルについてご存知でしょうか。

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記事の提供

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

冬のお留守番中に起こりやすいトラブル

布を被っている犬

どんなにわんちゃんのことを愛していても、飼い主さんの都合でお留守番をしてもらう時間を作らなければならないこともあるでしょう。

そんなときに予測できないことを起こすのがわんちゃんです。特に気を付けたいトラブルも多く、想定できることは対策をして未然に防ぐようにしましょう。

誤食

食べてはいけない食材や、おもちゃなどを食べてしまうことを誤食と言います。

誤食をしてしまうことで中毒症状を起こしたり、腸閉塞などの通過障害を起こしてしまうことがあるので注意が必要です。

食べやすい場所はわんちゃんが立ち入れないようにしたり、誤食してしまいそうなものは手の届かない場所に置くなどの対策を取ることをお勧めします。

誤食というと若齢のわんちゃんがいたずらで起こしそうなイメージがありますが、ホルモン疾患などで異常な食欲亢進が起こることで、誤食をしてしまうこともあります。

何歳であっても起こり得るため注意しましょう。

いたずらによる事故

好奇心旺盛なわんちゃんにとっては、自分の身のまわりにあるものがすべておもちゃに見えてしまうこともあります。実はどんなものでも事故の原因になり得るのをご存知ですか?

例えば、ペットシーツもびりびりに破いて飲み込んでしまえば閉塞や消化管トラブルの原因になり得たり、ペット用のヒーターもコンセントなどをかじって感電してしまったりする恐れがあります。

トラブルによっては死につながることもあり得る危険なものもあるでしょう。どんないたずらをするのか、おうちのわんちゃんの性格を把握することも大切ですが、うちの子がするはずないという思い込みは大変危険です。

逃走

わんちゃんも本来は野生の動物だった本能が残っています。好奇心に刺激されたり、ほんの少しの隙があれば逃走してしまう危険性もあります。

帰巣本能があると言われているわんちゃんですが、行ったことの無い場所であれば迷子になってしまう可能性は充分にあり、途中で交通事故に遭ってしまうこともあるのでとても危険です。

戸締りやケージのカギの確認はもちろんですが、備わった身体能力で乗り越えられそうな窓や高いゲートも念には念を入れて抜け出ることのできないよう対策しておくことをお勧めします。

冬のお留守番はこんなことに気を付けて!

ヒーターの前にいる犬

起こりやすいトラブルは前述のようなものが挙げられますが、季節特有のトラブルも注意が必要です。

冬場のお留守番も危険が潜んでいます。どんなことが起こり得るのでしょうか。

暖房器具のいたずらによる感電

体力が低下している若齢や高齢のわんちゃんのお留守番時のお供に欠かせないのがペットヒーターです。

近くに人間用のストーブなどを置く方法もありますが、暖かさが強い場合には低温やけどや乾燥による皮膚トラブルもあるため、ペット用のヒーターやエアコンを上手に使っていただくと良いでしょう。

ペット用ヒーターのコードなど、わんちゃんにとってはいたずらの対象になってしまうことも多いです。

特に子犬ちゃんなどは鋭い歯で噛んでしまい感電してしまったというトラブルもよく起こり、死につながる危険性もあります。

使用する場合は噛んでいたずらをすることの無いよう、普段からしつけたり、コードのガードをするものなどを使って工夫することをおすすめします。

中毒の危険性がある食材の誤食

冬の季節といえば、様々なイベントが行われ、美味しい冬の食べ物を食べることも多くあると思います。ですが、わんちゃんが食べてはいけない、中毒の危険性がある食材や、消化管を傷付けてしまう危険性のある食材などに注意をしていますか?

たとえば、腎不全につながる危険のあるぶどうや赤血球の破壊をおこしてしまう玉ねぎ、神経症状を引き起こす可能性のあるチョコレートなどをはじめ、ひどい場合は死につながるような中毒を引き起こすような食材が多くあります。

中毒だけでなく、消化管を傷付けてしまう危険のある、焼き鳥のくしや甲殻類の殻、閉塞を起こすかもしれない野菜の芯や果物の種なども、外科的な処置によって取り出す必要性が起こることもあるので注意が必要です。

ごみとして廃棄したつもりが、ごみ箱をあさって誤食してしまうことや、机の上にのっているものを盗み食いしてしまう危険もあるので、わんちゃんが口にできないようケージに入っていてもらったり、ゲートを付けて中に入れないようにするなどの工夫をしましょう。

若齢や高齢の子のお留守番時の低体温

冬場の室内は予想以上に冷え込むことをご存知ですか?体力の低下している若齢や高齢のわんちゃんにとって、体温を上げることは大きく体力を消耗することです。

昼間は日の照射によって暖かい部屋も、時間帯によってはとても寒くなり、低体温になり体力を低下させてしまうこともあります。

低体温による体力の消耗は全身状態によっては死につながる危険なトラブルです。特に体力の低下しているわんちゃんなどはエアコンやペット用ヒーターなどを使用し、保温できるよう配慮してあげてください。

お留守番時のトラブルを避けるために

服を着た2匹の犬

帰ってきてヒヤッとしたり、トラブルが起きてから後悔することを避けるために、どんなことをしたらよいのでしょうか。

わんちゃんの居場所の快適さを確保

まずは、わんちゃんが健康に快適に過ごしてもらうために、お留守番時以外でも、普段いる場所の室温や聞こえる音、振動などを時間帯ごとにある程度を把握し、精神的負担や身体的な負担になるものを避けてあげましょう。

例えば、日照時間などによって、普段わんちゃんがいる温度も変わります。何時ごろは何度くらいになるかということを把握することで、夏場の熱中症も防げたり、冬場に寒くて体調を崩してしまうということも避けられます。

性格に個体差もありますが、怖がりのわんちゃんにとって、外の音が大きく聞こえる場所であることや、大きな振動が伝わりやすい場所であれば、精神的な負担にもなり、場所の移動や対策を考えることがとても大切になります。

負担が少ない状態で過ごせるよう配慮してあげましょう。

お留守番カメラなどを使用

お留守番中は、わんちゃんも思いもよらない行動をしがちです。飼い主さんの前ではおとなしい子でも、いなくなればチャンスに感じて大胆ないたずらをしてしまう場合もあるでしょう。

カメラから飼い主さんの声が出るようになっているものや、おやつが与えられるものまで、様々なお留守番カメラが販売されています。

物理的に離れていても、飼い主さんはカメラを通して確認できることで、わんちゃんも声や存在を感じられることで安心感からいたずらを防げる可能性もあります。

短時間の預かりなどできる預かり先を探す

どんな対策をしても、いたずらをしてしまったり、不安から破壊行動や自傷行動をしてしまい、お留守番が苦手なわんちゃんもいます。

また、目を離すことが不安な持病を持っているわんちゃんも多くいるでしょう。そんなときは短時間の預かりをしてもらえるペットホテルやお家にお世話をしてくれるペットシッターさんに頼ることも選択肢の一つです。

飼い主さんがお家にいることが一番安心かもしれませんが、すべてを犠牲にしてわんちゃんに寄り添うことで飼い主さんにも大きな負担となってしまう危険性があります。

かかりつけの動物病院やペットホテル、信頼しているトレーナーさんなどの専門家に相談することで解決できる可能性が高いです。

安心してトラブルを防ぎながら、飼い主さんも用事が済ませられるよう、専門家に頼ってみることもお勧めです。

まとめ

冬場に限らず、お留守番に心配はつきものだと思いますが、特に行事の多くなる冬は、わんちゃんにお留守番をしてもらわなければならない機会も増えて、悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

これらの対策方法や具体的なトラブルはほんの一例であり、わんちゃんの性格や行動パターンによっても異なります。大きなトラブルにつながってしまい、後悔することの無いように、対策がとれると安心ですね。

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