犬のうんちの回数は1日何回が目安?
犬の排便回数は、一般的な目安として成犬で1日に1〜3回程度ですが、個体差や年齢、食事内容、運動量などによっても異なります。
そのため、愛犬にとっての普段のペースを把握することが重要です。また犬種や生活環境によっても適切な排便回数には幅があります。
子犬の場合はやや多め
生後2〜6ヶ月程度の子犬は、消化器官が未成熟で食事回数も多いため、排便回数は多くなります。1日に4〜6回程度になることも珍しくありませんが、成長につれて徐々に回数は落ち着き、1歳を迎える頃には成犬と同じ回数に近づきます。
成犬は生活習慣で変動する
1歳〜6歳頃の成犬の場合、一般的には1日1〜3回が多いですが、食事を1日2回に分けて与えている場合は排便が2回になることが多く、食事が1回の犬は1回というように、食事の回数に連動する傾向があります。
また、小型犬は大型犬に比べて食事量の比率が高く、室内トイレ環境が整っている場合が多いため、排便の回数が増える場合があります。
シニア犬のうんちの回数は個体差が大きい
7歳以上のシニア犬では消化機能の衰えや筋力の低下により、排便回数や便の状態が安定しにくくなります。
回数が減って便秘気味になる犬もいれば、逆に便意をコントロールできず回数が増える犬もおり、個体差がより明確になります。シニア犬の場合、排便回数の変化だけでなく、便の硬さや色、排便時の様子も併せて注意深く観察することが大切です。
いずれの場合も、普段の回数から大きく変化した場合は、体調変化のサインである可能性があるため、日頃から愛犬の排便リズムを記録しておく習慣を持つとよいでしょう。
犬のうんちの回数が増える原因
犬の排便回数がいつもより多くなる場合、そのほとんどは腸内環境や消化機能に何らかの変化が生じているサインです。一時的なものから病気が潜んでいる可能性まで、その原因はさまざまです。
普段と比べて排便回数が増加し、下痢や軟便などが続く場合は、次のような要因が考えられます。
急激な食事内容の変化や食べ過ぎ
普段食べ慣れないフードやおやつを与えたり、一度に多量の食事を摂取したりすると、消化不良が起き排便回数が増える場合があります。
また、食物繊維の多すぎるフードや高脂肪な食事も消化に負担がかかり、下痢や軟便を引き起こす可能性があります。
急激な飲水や水分摂取の異常
通常の水分摂取量で便がゆるくなることはあまりありませんが、短時間に大量の水を摂取したり、不衛生な水を飲んだりした場合、消化器が刺激を受けて下痢を引き起こすことがあります。
普段より飲水量が明らかに多い状態が続く場合は、糖尿病や腎臓病など病気の可能性もあります。
環境の変化によるストレス
引っ越しや新しい家族の増加、留守番時間の増加など、犬にとって大きな環境変化はストレスとなり、腸の蠕動運動を乱して排便回数を増やすことがあります。犬が落ち着ける環境作りを心掛けるとともに、ストレスの原因となる要素をできるだけ取り除くよう努めてください。
消化管の感染症や寄生虫
ジアルジアや回虫などの寄生虫感染、パルボウイルスや細菌性腸炎といった感染症が原因で腸に炎症が起き、急激に排便回数が増えるケースもあります。
特に子犬は免疫が未熟で重症化しやすいため注意が必要です。定期的な駆虫やワクチン接種を欠かさず行い、症状が現れた場合は早めに動物病院を受診しましょう。
食物アレルギーや慢性的な消化器疾患
特定の食材や添加物にアレルギー反応を起こし、腸の粘膜が炎症を起こすことで下痢が続く場合があります。また、膵臓機能が低下する膵外分泌不全や炎症性腸疾患(IBD)などの慢性疾患も排便回数の増加を引き起こします。
慢性的な下痢や軟便が続く場合は自己判断をせず、必ず獣医師に相談してください。回数が増えた際は愛犬の様子や便の状態を観察し、異常が24時間以上続く場合は動物病院での診察を受けることをおすすめします。
犬のうんちの回数が減る原因
犬の排便回数が普段より減少する場合、多くは便秘気味の状態になっていると考えられます。
健康な犬でも稀に排便リズムが乱れることはありますが、便秘が数日間続く場合や排便時に苦しそうな仕草を見せる場合は、早めの対処が必要です。
排便回数の減少につながる主な要因は以下の通りです。
運動不足による腸の働きの低下
犬は定期的な散歩や運動を通して腸の蠕動運動を促しています。運動量が不足すると腸の動きが鈍り、便が腸内に長く留まって水分が吸収され過ぎて硬くなり、排便回数が減ってしまうことがあります。
特に室内飼育の小型犬やシニア犬は運動不足になりやすいため注意が必要です。
食物繊維不足や偏った食事内容
食事に含まれる食物繊維が不足すると、腸を刺激する便の量が減り、排便がスムーズにいかなくなる場合があります。
ただし、繊維の量が多すぎても便が硬くなることがあるため、適切なバランスのフードを与えることが重要です。ドッグフードの種類や量を見直し、適度な水分摂取を促すウェットフードやスープトッピングを併用すると効果的です。
トイレ環境への不満による排便の我慢
犬は清潔で落ち着いた場所で排便したいという習性があります。トイレが汚れている場合や、人通りが多く騒がしい場所にある場合には排便を我慢してしまうことがあります。
排便を我慢する状態が続くと便秘が慢性化し、排便回数がさらに減る悪循環につながるため、トイレの場所や清潔さを見直すことが大切です。
異物誤飲や腸閉塞などの疾患
犬がおもちゃや布、骨などを誤飲すると、消化管内で詰まって腸閉塞を引き起こすことがあります。
腸閉塞になると排便が完全に止まり、激しい腹痛や嘔吐、血便、元気喪失(虚脱)といった緊急性の高い症状が現れます。こうした症状が見られた場合は、速やかに動物病院で診察を受ける必要があります。
シニア期の筋力低下や消化機能の衰え
7歳以上のシニア犬になると、消化機能や筋力が低下し、排便時のいきみが弱まることで便秘になりやすくなります。便秘が頻繁に起こる場合は、獣医師の指導のもとで食事や生活環境を改善し、排便を促すサポートを行う必要があります。
便秘が疑われる場合は、運動や水分補給の工夫をして改善を図り、それでも24~48時間以上排便がない場合は獣医師への相談をおすすめします。
犬のうんちの回数と状態でわかる健康チェック
愛犬の健康状態を知る上で排便の回数や便の状態は重要な手掛かりとなります。犬は言葉で体調不良を伝えられないため、飼い主が日頃から排便時の様子を細かくチェックする習慣をつけましょう。
便の色、硬さ、においなどを確認することで、異常を早期に発見し適切な対応を取ることができます。
正常な便の状態とは?
健康な犬の便は一般的に茶色〜濃い茶色で、適度な硬さがあり、ティッシュや袋で拾った時に形が崩れない程度が理想的です。表面には適度なツヤがあり、異臭や強烈なにおいがないことも健康の目安になります。
注意が必要な便の色と考えられる原因
便の色は犬の体調変化を示す重要な指標です。例えば、便が黒っぽくタール状の場合は胃や小腸など上部消化管の出血(黒色便)を疑います。
一方、便に赤い血液が付着している場合は肛門や大腸付近での出血(血便)の可能性があります。また、便が灰白色や非常に白っぽい場合、膵臓や胆嚢の疾患、またはカルシウムを多く含む食事や生骨給餌が影響している可能性があります。
異常なにおいや異物混入にも注意
いつもと違う腐敗臭や酸っぱいにおいがする便は消化不良や腸内環境の悪化が考えられます。
便にゼリー状の粘液(粘液便)が付着している場合は腸炎などの炎症、草やおもちゃ、プラスチック片などの未消化の異物が混入している場合は異物誤飲の可能性があります。異物や寄生虫が混じっていないかを日々確認してください。
日々の便の記録で健康管理を
排便の回数、色、硬さ、においなど日々の記録を手帳やスマートフォンのアプリ、ペット手帳などのクラウドサービスを使って残すことをおすすめします。
記録があると動物病院受診時に役立ち、獣医師が迅速かつ的確な診断を行うことができます。異常な便は可能であれば写真を撮っておき、撮影の際は飼い主の個人情報や住居が写り込まないように注意しましょう。
このような便の変化や異常が見られた場合は、放置せず、必要に応じて動物病院を受診してください。
まとめ
犬の便(うんち)の回数や状態は、年齢、食事内容、運動量など様々な要因により異なります。そのため、普段の排便のペースや便の色、硬さ、においなどを把握しておくことが、健康管理の第一歩です。
排便回数が急に増えたり減ったり、便の状態が明らかに普段と異なる場合は注意が必要です。特に子犬で24時間以内、成犬で48時間以内に改善が見られない場合や、嘔吐・食欲不振など他の症状を伴う場合には、早めに動物病院を受診しましょう。