大切な家族の一員だけれど、人間よりも寿命の短い犬たち。
そんな彼らに、できる限り元気で長生きして欲しいというのは愛犬家の永遠のテーマです。
この記事では、身体と頭脳の両方の面で犬の健康をサポートするアンチエイジングの方法をご紹介していきます。
食べ物でアンチエイジング
「若さを保つ」とか「健康でいるために」というと、やはり最初に頭に浮かぶのは毎日の食事のことですね。
ちょっと気をつけることで、脳や内臓の老化を予防することができます。
抗酸化物質を含む食品をプラス
抗酸化物質と言うのは、その名の通り酸化を防ぐ物質。代表的なものはビタミンCやE、ベータカロテン、ポリフェノールなどです。
身体の酸化=老化ですから、抗酸化物質を含む食品を摂ることは細胞の若さを保つのに役立ちます。
犬が食べても大丈夫なみかんやリンゴ、ブルーベリーなどの果物を少し与えたり、茹でたニンジンやカボチャをフードに少しトッピングという程度のことでOKです。
大抵の野菜や果物には抗酸化物質が含まれますので、それらを犬が食べても大丈夫かどうかをチェックして、おやつやトッピングで適切な量をあげてみてくださいね。
若さを保つオイル
オイルや脂肪分というのは悪者にされがちなのですが、身体にとっては大切な栄養素です。
中でも、必ず食品から摂取しないといけない必須脂肪酸のひとつオメガ3脂肪酸を含むフィッシュオイルには大注目です。
フィッシュオイルにはEPAとDHAという脂肪酸が含まれており、EPAは血液や血管の健康維持のために、DHAは脳の働きを活性化するために欠かせません。
犬も年をとってくると心臓などの循環器系の病気や認知症が心配になってきますので、フィッシュオイルはアンチエイジングのラインナップにぜひ加えたいものです。
他にもEPAとDHAは皮膚や被毛の健康のためにも大きな役割を果たします。
犬用のフィッシュオイルも市販されていますし、中型〜大型犬ならば人間用のフィッシュオイルサプリメントを体重換算して与えることもできます。
オメガ3脂肪酸を含むオイルでは亜麻仁オイルやエゴマオイルも代表的ですが、犬にとっては動物性のフィッシュオイルの方が、体内で効率よく活用できます。
もうひとつ、アンチエイジングの強い味方のオイルはココナッツオイルです。
ココナッツオイルの特長は消化管から直接吸収されて、肝臓ですぐにエネルギーに変換されること。
消化酵素を分泌する必要がないので内臓への負担が少ないんです。
ココナッツオイルに含まれるラウリン酸は抗酸化作用が強く、脳の認知機能を高める働きがあります。
小型犬なら1日に小さじ4分の1、大型犬なら1日小さじ1杯くらいからスタートして、体が慣れてきたら少しずつ増やして、体重5kgあたり小さじ1杯を上限にして与えます。
腸内環境は若さのキー
腸は食べ物を消化吸収するだけではなく、免疫機能や脳の働きとも密接に関連している器官です。
腸内環境を良好に保つことは全身を健康で若々しく保つために必要不可欠!
毎日の便を観察してフードがお腹に合っているか確認しておくことはもちろん、ヨーグルトなどの発酵食品を与えるのがおすすめです。
ヨーグルトは無糖のプレーンタイプを選びましょう。
味をつけていない納豆も犬のお腹に良いものです。
犬用のプロバイオティクス(善玉菌)のサプリメント、ビール酵母なども含めて、愛犬のお腹に合うものを見つけてくださいね。
運動とトレーニングでアンチエイジング
アジリティやディスク競技などのドッグスポーツは、身体と脳の両方に刺激を与え、飼い主さんとの絆も深まると言ったアンチエイジングの要素がいっぱい詰まっています。
本格的な競技までしなくても、運動は犬の健康のためには欠かせません。
「筋肉量の維持は健康と長生きにつながる」というイギリスの獣医師による研究も発表されています。
気軽にできる運動やトレーニングを見てみましょう。
散歩の時間を利用
普段の犬の運動と言えば、やはり毎日の散歩ですね。
犬の体力に合わせて、散歩の後に犬が少し疲れて自主的に休むくらいの距離と時間を目安にしましょう。
いつもと違うコース、違う場所に行ってみることも大切です。
散歩中も、段差や坂道、飛び越えられそうな障害物があれば、積極的にそちらを選ぶようにすると運動量が増やせます。
回り道をする時にコマンドを出しながら行うことで、犬が飼い主さんに注意を払い絆を強める効果も期待できます。
関節など体に負担のない範囲で工夫してみてください。
また、危険のない場所では歩きながらのゲームもできます。
散歩の途中立ち止まって「おすわり」のコマンドを出し、しばらくして「行こう」と指示を出して歩き出すというのを何度か繰り返します。
きちんとできたらたくさん褒めてご褒美もあげましょう。
さらに進んで、「早く」などのコマンドを出して徐々にスピードをあげてジョギング程度の速さで走ったり、「遅く」のコマンドでスピードを落として普通の歩行に戻ったり、また止まったりと変化をつけます。
行動を変える時には必ずコマンドを出します。
犬が「次は何かな?」と飼い主さんに注目して指示を待つことで、絆を強くする効果があり、犬が考えることと関連して体を動かすことが脳への良い刺激になります。
おもちゃやツールを利用
おもちゃは子犬や若い犬だけのものではありません。
シニア犬にとってもおもちゃで遊ぶことは脳への大切な刺激になるのです。
おもちゃを投げて”モッテコイ”遊びをしたり、コングの中に入ったおやつを取り出すのに頭を使ったりという当たり前にしている行動も、アンチエイジングの大切な一環です。
犬用のバランスボールやバランスディスクは、室内での運動に最適で、シニア犬や病後の犬も無理なく筋肉の強化ができるツールなので、できれば上手に取り入れたいものですね。
嗅覚を使ってトレーニング
犬にとって一番大切な感覚である嗅覚を活用することは、最高の脳への刺激になります。
逆に言えば、嗅覚を積極的に使うようにさせないと、犬の脳は早く衰えてしまうということです。
散歩の時に、オヤツを紙に包んだものをいくつか用意しておき、公園のベンチなどに置き「探して」とコマンドを出して見つけさせるというゲームは手軽な嗅覚トレーニングです。
最初は目の前にポイと置いて、「探して」でOKです。
紙に包んでおくのは、犬が見つけたら飼い主さんが手にとって、それからオヤツを与えるようにするためなのですが、これは、犬が「拾い食いOK」と勘違いしないようにするという意味があります。
外の世界は色々な匂いが溢れているので、最初は室内や自宅の庭でオヤツ探しゲームを始めるのも良い手です。
道路や公園には思わぬものが落ちていることもありますので、何かをさがさせているときにはほかのものを拾い食いしないか注意してみてあげましょう。
嗅覚をフル回転させた後は脳が心地よく疲労するので、室内の嗅覚ゲームは雨の日など格好の遊びになります。
生活の中のアンチエイジング
食べ物や運動というのは足し算のアンチエイジングですが、生活の中で見直したい引き算のアンチエイジングもあります。
有害物質を避ける
当たり前と言えば当たり前なのですが、健康で長生きするために意識しておきたいことです。
犬は自分で食べ物や環境を変えることができませんので、飼い主が気をつけてあげないといけません。
具体的には、フードやオヤツの合成着色料や合成保存料を避ける、床掃除の洗剤やワックスも犬に安心なものを選ぶ、タバコの煙に近づけないといったことです。
生き物として本来あるべき生活リズムを
アンチエイジングと切っても切れないもののひとつが、『ホルモン分泌のバランス』です。
朝起きたら太陽の光を浴びて、昼間は運動と食事と休息を繰り返し、夜暗くなったら眠る、こういう生き物本来のリズムで生きていれば、ホルモンも正常に分泌され身体も脳も健康に保たれるのですが、現代のペットはこのリズムが崩れがちです。
特に夜、明るい電灯の下で飼い主さんと一緒に夜更かしをしていると、ホルモンの分泌が狂って体調不良や老化を早める原因にもなります。
犬にとっての正しい生活リズムは、アンチエイジングの基本です。
まとめ
愛犬が健康で若々しく長生きするためのアンチエイジング。
こうして振り返ってみると、『身体に合ったものを食べ、しっかり身体を動かして筋肉を維持し、嗅覚を活用して脳に刺激を与え、本来あるべき生活リズムで生きる』つまり、犬が犬らしく幸せでいることがアンチエイジングにつながるということですね。
具体的にあげていくと
- ビタミンなど抗酸化物質を含む食品を取り入れる
- フィッシュオイルやココナッツオイルで身体と脳の健康サポート
- 腸内環境を良好に保つ
- 散歩は運動量増加とトレーニングを意識しながら
- おもちゃやツールも上手に利用
- 嗅覚ゲームは最高の脳への刺激
- 有害物質を避けて、正しい生活リズムで生きる
飼い主としても努力が必要なのですが、大切な愛犬が元気で長くそばにいてくれるためならば、アンチエイジングライフ頑張れそうですよね!