犬の鼻が乾く理由
犬の鼻は大体いつも濡れているものですが、乾いている時もあります。
空気中の湿度の低下や老化、寝ているなど理由は様々。これらが原因の場合は健康に問題はないため安心してよいでしょう。
老化による身体機能の低下
犬も体の機能が衰えてくると皮膚の保水力や弾力性が失われ、皮膚が乾燥する場合があります。
肉球や鼻のひび割れが現れることもあり、ひどい場合には犬用の保湿クリームを塗ってあげると良いでしょう。
寝ている時・寝起き(一時的なもの)
犬の鼻は濡れていると言っても、その子の体質にもより乾き気味だったり湿り気味だったり様々ですが、寝ている時と起きた直後は大体乾いています。
寝ている時は犬が自分で鼻をなめないことが大きな原因だと考えられます。起きてから数分~10分もすれば、また鼻が濡れているようです。
湿度が低い時(環境の影響)
空気が乾燥している冬や、暖房器具のそばにいたりすると、犬の鼻も乾きやすくなります。
短頭種の犬(身体的な特徴)
短頭種の犬の中には、自分で自分の鼻をなめるのが難しい犬がいるそうです。
また、涙管が狭くなっていたり詰まっていたり犬では涙が鼻にあまり流れません。このような犬では、鼻が濡れにくい、つまり乾きやすいそうです。
犬の鼻がいつも湿っているのはなぜ?
- 臭いを効率良くとらえるため
- 体温を下げるため
犬の嗅覚は、鼻が湿っていることでより効率よく働きます。犬の嗅覚は人の1億倍以上もあると言われています。
犬種によって嗅覚に幅があったり加齢によって衰えたりもしますが、犬は生活の中で嗅覚にたよる部分が多く、麻薬探知犬などのワーキングドッグもいますよね。
鼻の粘膜が湿っていて鼻の中の空気の通り道に適度な湿度があることで臭いの分子をとらえやすくなり、嗅覚が働きやすくなります。
また風向きを把握することにも役立つそうです。人間が指を舐めて風向きを探るのと同じようなものなのでしょう。
そしてもう一つの理由が「体温を下げるため」と言われています。
犬は全身から汗をかいて体温調節をすることができませんが、様々な分泌液によって鼻の中(鼻腔)と鼻面(鼻鏡)を濡らし、体温調節に貢献していると言われています。
また、犬は自分でなめて鼻鏡を濡らしています。ただし、体の外側にあって私たちに見えている鼻鏡だけでは面積が小さく、濡れていても体温調節にはほとんど関係していないと考えられます。
ちなみに犬は、肉球から人間が暑い時にかくのと同じ汗を出すことができますが、面積が小さく地面と接しているため体温調節には貢献せず、精神的な理由によって発汗するとされています。
犬の鼻が乾くときに考えられる病気
いつも湿っているはずの犬の鼻が乾くと、心配になってしまいますよね。実際に犬の鼻は健康のバロメーターと言われ、体調不良や病気のサインであることも。
どのような病気が考えられるのかをご紹介します。
熱中症などで脱水状態になっている
犬が脱水状態にあると、もちろん鼻も乾いてしまいます。
熱中症の他にも様々な病気から脱水を起こす可能性があり、体調が悪い時だけではなく介護が必要となっている子では特に、常に水分が十分にとれているか気にする必要があります。
アレルギー反応を起こしている
犬にもアレルギー性の皮膚病があり、他の部位の皮膚の症状と共に鼻にも症状が出ることがあります。
アレルギー性の皮膚病の中には接触性皮膚炎がありますが、原因となっている物質によっては地面の臭いを嗅いだり、フードを食べるときに食器に触れたりすることで犬の鼻に症状が出る場合も考えられます。
アレルギー反応が鼻で起こると、皮膚がカサカサしたりフケが出たりするのと同様に症状の一つとして、鼻が乾くことがあるでしょう。
角化症による皮膚の角化異常
角化症とは何らかの理由で角質が正常に作られなくなる、異常に作られてしまう状態です。人間の場合は踵が乾いてカサカサになったり、ひび割れたりというのが一番身近ではないでしょうか。
犬の場合も角化症はあり、皮膚がカサカサになったり、硬く分厚くなってしまったり・・・。
角化症の犬の場合には鼻先だけではなく、皮膚の他の部位にもトラブルが多く、皮膚がベタベタしたりいやな臭いがしたり、フケが多かったりします。
角化症の原因となる皮膚病もあり、原因によって保湿性のあるシャンプーや抗菌性のシャンプー、脱脂作用の強いシャンプーを使ったり飲み薬を飲む必要があったりと治療が全く異なりますし、治療が必要な細菌の二次感染を起こしていることもあります。
鼻も含めて全身の皮膚に何か気になることがあれば、動物病院を受診しましょう。
また、日焼けによっても鼻を含めた皮膚の角質に異常をきたします。夏場に長時間外にいたなど、思いあたることがあって鼻がカサカサしているようなら、保湿クリームを塗ってあげるのも良いでしょう。
自己免疫性皮膚疾患
免疫とは、外から入ってくる有害なものに働いて、自分の体を守ろうとする機能です。
しかし本来は守るはずの自分の体を免疫系統がなぜか異物とみなして攻撃することで起きる自己免疫性疾患があり、犬にも自己免疫性皮膚疾患として円板状エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)や天疱瘡などがあります。
遺伝的な原因や薬物の摂取などが原因になると言われていますが不明なことがまだ多いそうです。
皮膚への刺激となる紫外線を避け、生涯にわたる紫外線を避け、薬物による治療が必要となります。
このような病気では、鼻が乾いてしまうだけではなく、鼻が部分的に白くなったり表面がむけてしまったり、びらんや潰瘍、かさぶたが見られたりもします。
犬の鼻が乾くときに気をつけたい症状
鼻が乾いているだけでは病気がどうか、判断が難しいです。犬の鼻が乾いている時は、以下のような症状が見られないか確認しましょう。
- 元気がない
- 下痢
- 嘔吐
- 歯茎などが白っぽい、紫っぽい
- 皮膚の他の場所にも異常がある
- 鼻をこすっている
特に上の4つの症状が見られる場合には、できる限り早く動物病院を受診するようにしましょう。
歯茎などが「白っぽい」というのは貧血を、「紫っぽい」というのはチアノーゼ(酸素が足りない)が起きているという意味です。原因にかかわらずすぐに治療や処置を開始する必要があります。
以下の記事では犬の脱水症状について解説しています。ぜひ参考にしてください。
犬の鼻が乾くときの対処法
病気のせいで犬の鼻が乾燥している場合は獣医師に診せる必要があります。
それ以外で乾く場合には、以下のような対策をとることができます。
意識的に水分補給をさせる
脱水になってはいなくても普段から水分をきちんと摂取させることは重要で、1日に飲む水の量は大体40〜60ml/kgが正常範囲です。(食事からの摂取も含めた水分摂取量)
例えば、体重が7kgのワンちゃんの場合は、280〜420mlです。体重が10kgのワンちゃんの場合は、400〜600mlですね。
犬によっては水に少し匂いをつけてあげるのも効果があるようです。お肉や野菜の茹で汁を好む子もいるようですし、リンゴや梨などの果汁を香りづけ程度に入れてあげるのも良いかもしれませんね。
また、いつでも新鮮な水が飲める流れる水飲み器なども良いかもしれません。
鼻に保湿クリームを塗る
犬の鼻に保湿クリームを塗ってみてはいかがでしょうか?ヒアルロン酸やホホバオイルなどがオススメのようです。
人間のクリームには犬がたくさん舐めてしまうと悪影響を及ぼす成分が入っている場合があるので、必ず犬用のクリームを使いましょう。
犬の鼻が乾くことに関するまとめ
いかがでしたでしょうか?犬の鼻は健康をチェックできる部位の一つです。
鼻が乾いていないか、乾いている状態がずっと続いていないか、日々の生活の中でチェックすることで病気に早めに気付けることがあるでしょう。
鼻が乾いてひび割れが酷い場合は動物病院で診てもらってください。犬の健康を守るのは飼い主さんなのですから!
鼻が乾くだけにとどまらず、鼻鏡(いわゆる鼻の濡れている部分、鼻面です)に異常が見られることがある病気には腫瘍もあります。
皮膚の悪性腫瘍が鼻で見られ、びらんや出血、変形が起こり、鼻が乾くようになった、鼻がカサカサするなどが初期症状として見られることがあります。