もしケガや病気になってしまったら…?
みなさんは愛犬の安全に十分気をつけていると思いますが、それでもアクシデントでケガをしたり、急に具合が悪くなることもあります。
家の中での事故、たとえば”重いものが落ちたり倒れたりした”、”調理台から包丁が落ちた”など、たまたま愛犬がそこにいただけで、運悪くケガをする場合。または、突然ぐったりしたり、嘔吐をくり返したりと病気が疑われる場合。
そんなふうに、犬と暮らしていると不運に見舞われることもあります。
愛犬が出血したのを見てパニックになる、という話はよく聞きます。でも、まずは落ち着いて!
飼い主が慌てまくったり、悲鳴を上げたりすると、ケガや不調で興奮しやすくなったワンコに伝染します!ここはぐっとこらえて、犬の様子を観察しましょう。
具体的な処置をする前に、まずは愛犬の状態を見てください。
特にケガをした場合、犬も急な痛みにビックリして興奮し、パニックになることも。いきなり近づくと、見境なくガブリと噛まれるかもしれません。特に中型以上のサイズの子と暮らしている方は、注意してください。
飼い主自身が落ち着いて、ゆっくりと話しかけながら、徐々に近づいてあげましょう。
いきなり患部に触れず、まずは体をそっと寄せて、犬が抵抗を感じない背中やあごの下に手を当ててみてください。触れるようになってから、手当を始めます。
倒れている場合は、呼吸の有無を確認!
けいれんして泡を吹いたり、大量のよだれをたらしているときは、気道確保のために顔を横に向けてあげましょう。
用意しておくと良いもの
もしものときのために、人間と同じように救急箱を作っておくと役立ちます。
飼い主側の心構えにもなって、いざというときパニックにならずに済むと思います。
用意しておきたいものは、以下をご覧ください。
器具類
- ハサミ
医療用の先の丸いタイプがベストです。ドラッグストアなどで人間用の医療ハサミを買っておきましょう。ケガをした部分の毛を切ったり、包帯やガーゼをカットするのに使います。
- ピンセットまたは毛抜き
肉球にトゲが刺さったときなどに使えます。
- スポイト
目を洗ったり、液体の薬を飲ませることができます。小型の注射筒でもOK。
- 小型の懐中電灯
口の奥や耳の中をのぞくときに役立ちます。人間と同じく、意識がないときに目に光を当てて、瞳孔の収縮を見ることもできます。
保定用具
- 軍手や厚手の手袋
ケガの痛みで興奮している場合、噛まれる危険性があるので、飼い主の手をカバーするために。
- 使い捨てビニール手袋またはサージカルグローブ
素手で触れると、飼い主の手の雑菌が犬に移ります。傷がある場合、手当のときに着けましょう。少なくとも、滅菌作用のあるハンドソープで手をきれいに洗ってください。
- バスタオルまたは毛布
犬の体全体を覆うサイズのものがベスト。体温が低下しているときの保温に使えます。犬が自力で動けないときは、担架がわりにすることもできます。
衛生用品
使い捨てであれば、人間と同じものを使うことができます。ストックがあれば、少し犬用救急箱に移すだけでOK。
- 包帯
伸縮性のある粘着包帯が便利。クルクル巻くだけでくっつくので、処置が簡単です。大型のペットグッズ店やネットで動物用を購入することもできますが、ドラッグストアで人間用を入手するのも手軽。巻くときは、患部の締め付けすぎに注意! 血流が悪くなって、治りが遅くなります。
- 滅菌ガーゼ
傷口を覆ったり、止血するため。患部を拭うときも使えます。包帯で固定するときは、やや厚めに重ねるとスレを防止できます。普通のガーゼでもちろん大丈夫ですが、不織布ガーゼがベター。
- 綿棒
耳や歯茎に問題があるときだけでなく、外用薬を塗る際にも。広範囲の傷に薬を塗るときは、先のとがっていないバターナイフが便利です。耳に使うときは、グリグリしすぎて表皮を傷つけないように注意。
- 医療用のテープ
これもドラッグストアで入手できます。犬は毛があるので、普通の絆創膏では傷の保護ができません。ガーゼを留めるときなどに使います。
- 脱脂綿
大判の化粧用コットンでも可。水を染みこませて患部を拭えます。
医薬品など
普段から使っているものがあれば、入れておきましょう。
もしあれば、ペット用の消毒液を用意しておくと安心。かかりつけの獣医さんに分けてもらうといいでしょう。
点眼薬もあると役に立ちます。開封したら3週間前後で処分してください。 動物病院で処方してもらえます。レジャーに出かける際は、傷口を洗浄するための精製水、足にケガをしたとき用の犬用靴(使い捨てのもの)も入れておくと、もしものときに役立ちます。
医薬品の兼用はダメ!
愛犬が痛がっているときや、下痢をしたとき、何とかしてあげたい気持ちから、人間用の常備薬を飲ませても大丈夫?と思ってしまうことがあります。
でも絶対NG!子ども用の薬でも危険です。
人間用の薬には、動物には毒になる成分が含まれていることがあります。飲ませたことで、さらに容態悪化……なんていうことにはさせたくないですよね。
外用薬も犬が舐めてしまうことがあるので、人間用のものは使わないでください。
落ち着いたとしても動物病院へ!
救急箱を活用して愛犬を手当てし、”これでひと安心。犬も落ち着いているし、このままでいいか!”と思ったときも要注意。
家族の一員である犬も、やはり動物です。よほどのことがない限り、弱っている様子は見せません。かなりの痛みも我慢して、平常どおりに振る舞ったりします。
また、ヤケドや内臓疾患の場合、日が経つごとに症状が進行しますので、どんなケガや病気のときでも、早く動物病院に行ってあげてください!
飼い主の手当てだけで放っておくと、傷口が化膿したり病状が進行したりと、後日大変なことになり、愛犬を苦しませるだけでなく、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
”この子は丈夫だから!”と過信せずに、とにかく一度病院へ。診察の結果、軽い処置で済めば、飼い主自身も安心できます。症状が重い場合はなおさら、病院で正しいケアの指導を受けましょう。
備えあれば憂いなしと言います! 小さくてもいいので、愛犬の救急箱を作りましょう♪