犬の遺伝子検査とは?
犬の遺伝子検査とは、遺伝性疾患のリスクを知るための検査です。現在では販売前に検査結果を済ませ公表するペットショップも増え、一般オーナーへの認知度もかなり高まっています。
遺伝性疾患のリスクを知ることは、予防や繁殖などにおいて非常に大きなメリットがあります。また検査は口腔内の粘膜を取るだけという簡単なものなので、飼う前だけでなくずっと共に生活している愛犬のためにも受けさせたいサービスです。
国内の検査機関はそう多くはないですが、自宅で採取して送付すれば検査結果が返送されます。想像以上にハードルの低い検査なので、愛犬のためにも考えてみてはいかがでしょうか。
犬の遺伝子検査のメリット
犬の遺伝子検査には、さまざまなメリットがあります。
愛犬の遺伝子を知るということは、愛犬が抱える病気のリスクについて知るということです。犬種によって罹りやすい病気があることは有名ですが、個々で抱える疾患の傾向もあるのです。
普通に暮らしていては判断できない疾患のリスクが前もって分かれば、対策を取ることが可能ですよね。ですので遺伝子検査をすることは、愛犬の健康に対して大きなメリットがあります。
遺伝子検査をすることで得られるメリットを、詳しくご紹介します。
犬の遺伝子検査で治療・生活の方向性が決まる
愛犬の健康に対して対策を最適化することができるのが、遺伝子検査を受けるメリットです。
発症の確立が高い遺伝性疾患が先に分かっていると、発見から治療に至るまでが非常にスムーズになります。早期発見できれば治療の選択肢が増えたり、病気の進行速度を極力遅くすることができるので、犬にとってはとても大きなメリットなのです。
また普段の生活においても、遺伝子検査を受けるメリットがあります。それは、犬に与える食事や健康診断の項目を選びやすくなることです。遺伝性疾患の結果があれば、今後患う可能性が特に高い病気に対して予防的な生活を整えてあげられるのです。
簡単で手軽に犬の遺伝子検査可能
簡単・手軽に検査を受けられるのも、遺伝子検査を受けるメリットです。
犬の遺伝子検査の方法は2つあります。1つは口腔内から粘膜を取り検査する方法。もう1つは血液からの検査です。最寄りの動物病院でもできますが、最近では自宅で手軽に検査できるキットも多数出てきています。また金額も1万円~と手ごろです。キットの場合はほとんどが口腔内検査なので、初心者でも簡単に採取できるでしょう。
検査と名の付くものは、とても大がかりで愛犬や飼い主に負担をかけるイメージがある方も多いと思います。犬の遺伝子検査は誰でも簡単にできる検査なので、それによって得られるメリットの方が大きいのです。
犬の遺伝子検査で発症リスクを把握できる
犬の遺伝子検査を受けるメリットとして、発症リスクを把握できることも挙げられます。
遺伝病の発症は、検査対象となる犬の両親がどのような遺伝子を持っているかで決定されます。遺伝子検査では、両親の遺伝子から受け継ぐ可能性の高い遺伝性疾患を紐解き、リスクの大小が判断できるようになっているのです。
疾患の原因は遺伝の他に環境を要因とするものもあるので、遺伝子検査ですべてが分かるわけではありません。
それでも発症リスクをある程度知っておくと、より効率的に予防措置を取ることも可能なのです。
このような仕組みで犬の発症リスクが把握できるので、遺伝性検査を受けることには大きなメリットがあります。
犬の遺伝子検査で変異遺伝子を次世代に残さない
犬の遺伝子検査は、遺伝子病をその代で終わらせることにつながります。
犬を繁殖させるときに、より健全な遺伝子を残した方がいいことは想像が付くと思います。現在さまざまな犬種がブリーダーによって繁殖されていますが、当然のことながら遺伝性疾患のない犬が好ましいとされるのです。
遺伝性疾患のリスクが少ない犬同士を交配させてブリードしていくことで、疾患の数を減らすことができます。逆をいえば、このようにして優性の遺伝子を残していかなければ、遺伝性疾患は増える一方だということです。
すべての犬種の遺伝性疾患が減り、健康な犬の割合を増やすために、遺伝子検査は非常に有効です。
遺伝子病検査の流れ
・動物病院で検査
動物病院へ行き、獣医師により遺伝子検査を行います。遺伝子検査には血液検査と粘膜検査がありますが、粘膜で検査する病院が多いようです。
検体を採取したら、病院から検査機関に送り検査を行います。検査結果が出たら再度病院へ行き、獣医師から説明を受けます。
・自宅で検査
自分で検査機関に申し込みをする方法もあります。申し込みをしたら検査機関から検査キットが届くので、説明書通りに粘膜を採取しましょう。採取した粘膜を検査キットで返送すれば、自宅に検査結果報告書が届きます。
粘膜採取は、綿棒のようなもので犬の口内をこするだけです。出血するほど採取するわけでないので、経験がなくても簡単にできるでしょう。
犬の遺伝子検査の料金
犬の遺伝子検査の料金は、1項目あたり5,000円~50,000円程度です。
検査機関によって大幅な差があり、どこで検査するかでかなり変わります。ただし安いからといって検査に信ぴょう性がないわけではないので、特別な拘りがないのであれば安い検査を選んでも問題ありません。
検査キットの中には、セットで割安になるプランもあります。複数の項目をお得に受けたいのであれば、考えてみてもいいでしょう。
また病院で受ける場合は、検査費用の他に診察料金がかかる場合があります。検査そのものを受け付けていない病院もあるので、あらかじめ問い合わせてみるといいでしょう。
犬の遺伝子検査でわかる遺伝性疾患及び犬種
・進行性網膜萎縮症
網膜が徐々に機能しなくなる、目の疾患です。段階的に光を感知することが難しくなり、最終的には失明します。
・イベルメクチン中毒
「イベルメクチン」という駆虫薬に、中毒症状を引き起こす疾患です。イベルメクチンはフィラリア予防で使われますが、この遺伝性疾患を持つ犬に使用するとショック症状を起こします。
・骨形成不全症
遺伝的に骨が弱く、骨折しやすくなる疾患です。骨が変形して痛みや炎症、歩き方の異常などを起こすこともあります。治療法が確立されておらず、発症した場合は緩和療法で対処します。
・X染色体連鎖筋ジストロフィー
体内のたんぱく質が不足していることが原因で、筋肉を正常に動かすことができない遺伝性疾患です。多くは子犬期に発症し、歩けない、食べ物を飲み込めないなどの症状を発症します。
・先天性筋緊張症
筋肉を収縮すると、緩めるのに時間を要してしまう遺伝性疾患です。すぐに立てない、よく転ぶ、歩き方がおかしいなどの先天的な運動異常を起こします。
・発作性睡眠(ナルコレプシー)
興奮に伴い発作的に強い眠気に襲われる、遺伝性疾患です。人間の疾患としても知られますが、犬の場合も同じような症状が現れます。
犬の遺伝子検査サービス
犬の遺伝子検査サービス①ベクタ(VEQTA)
「ベクタ」は、2014年に創設された、愛媛大農学部発の会社です。犬猫の遺伝子疾患検査を始めたのは2016年からで、遺伝子の解析に関して高い技術を持ちながらも、金額の低い検査サービスを提供しています。
ベクタの特徴は、犬の緑内障の遺伝子検査ができることです。この検査は世界発といわれ、主に柴犬を対象に検査ができます。また腸内フローラの検査や親子判定検査など、珍しい検査ができることも強みです。
遺伝子検査としての全体的な検査項目は少ないですが、コストが抑えられることは大きな魅力。検査結果が返送されるのも迅速なので、手軽に遺伝子検査を受けたい人におすすめです。
犬の遺伝子検査サービス②ポンデリ(Pontely)
ポンデリは、犬猫の遺伝子検査販売代理業や情報提供サービスを行う企業として、2018年に創設されました。遺伝子検査の項目が非常に多く、愛犬にぴったりな検査を受けられます。
というのも、実際に検査を行うのはペット保険の代表格ともいわれる「アニコム」なのです。アニコム先進医療研究所は近年遺伝病撲滅のために、遺伝子検査に注力しています。よく知られた会社で検査を受けたい人にはぴったりといえるでしょう。
またポンデリ(アニコム先進医療研究所)の検査結果は、愛犬の写真やQRコードが付いたとても可愛いものになります。またマイページからWeb上で確認することもできるので、検査結果が難して理解できないんじゃないかと不安な方にもおすすめです。
犬の遺伝子検査サービス③Orivet japan
オリベットは、動物の遺伝子検査を行うオーストラリアの会社です。獣医病理学ラボ「ASAP」から派出したグローバルな機関で、現在はブリーダーや獣医師などに向けて高品質な検査を行っています。
海外の会社なので、ホームページが解読しにくい・手続きが難しいなどの面倒さがあるのが難点です。また海外に検査機関がある関係で、結果が返送されるのも3週間程度かかります。
これらの使いにくさがあるものの、世界的に信頼度の高い会社であることが大きな魅力です。検査項目もとても多いので、とにかくたくさんの検査をしたいという方にはぴったりといえるでしょう。