犬に起きるタバコの危険なリスクを紹介!誤飲時の症状や対処法まで

犬に起きるタバコの危険なリスクを紹介!誤飲時の症状や対処法まで

タバコを吸っている飼い主さんは、タバコが犬に与える影響を知っていますか?換気扇の下やベランダで吸っているから大丈夫と思っていないですか?受動喫煙は思っている以上に犬に与える影響は大きいです。受動喫煙の危険性を理解して、犬のためにできる対策を今一度考えてみましょう。この記事では、たばこの誤飲、受動喫煙のリスクの説明、明日からできる対策について説明します。

タバコによる犬の健康面への悪影響とは?

ニコチンの化学式

タバコが人間にとって有害物質であることは言うまでもありません。それは犬にとっても同様で、命を危険にさらすリスクがあります。

喫煙者・非喫煙者の飼い主もリスクをしっかり把握しておくことが重要です。喫煙者の飼い主がしている対策は、実は効果がないかもしれません。

この項目では、タバコの煙が犬にとってどのような悪影響を及ぼすのか説明します。

タバコの誤飲は犬に中毒を引き起こす  

タバコは体に悪いことは誰もが知っている事実で、それは犬にとっても同様です。

タバコにはニコチンが9~30mg含まれています。このタバコの煙を直接的・間接的に、もしくは吸殻を誤飲や誤食することで、ニコチンが体内に吸収され「ニコチン中毒」を引き起こす可能性があります。

最悪の場合、死に至る恐ろしい中毒です。喫煙者の飼い主は、誤って犬がタバコやタバコの灰を誤飲・誤食しないよう管理を徹底することが重要です。

また、散歩中も要注意です。ポイ捨てされた吸い殻を誤飲する可能性もありますので、散歩中は犬から目を離さず、道中タバコが落ちていないかしっかり確認しましょう。

受動喫煙でがんや呼吸器疾患の発生率アップ  

受動喫煙には二次喫煙と三次喫煙があります。ここでは二次喫煙について紹介します。

二次喫煙とは、タバコを吸っていなくても喫煙者の近くにいるだけで、副流煙を吸ってしまうことをいいます。

喫煙者が直接吸い込む主流煙に比べてフィルターで保護されていないため、副流煙は高濃度の有害物質が含まれています。具体的な有害物質で見ていくと、主流煙を1と、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍、アンモニアは46.0倍になります。

また、発がん性化学物質であるベンゾピレン、ニトロソアミンなども含有されており、これらを大量に体内に取り入れることになります。この事実だけで寒気がしますね。

副流煙を吸引することで発症しやすい病気は、がんなどの腫瘍疾患(しゅようしっかん)、呼吸器疾患です。具体的に見ていきましょう。

<腫瘍疾患>

  • リンパ腫
  • 鼻腔(びくう)がん
  • 副鼻腔がん
  • 肺がん

など

<呼吸疾患

  • 喘息(ぜんそく)
  • 気管支炎 など

特にリンパ腫に関しては、タバコを吸っている場合と吸っていない場合を比較すると、吸っている場合の病気になるリスクが高いのです。

ハスキー、ドーベルマン、ダックスフンドなどの鼻が長い長頭種は鼻のがんにかかることが多く、柴犬、シーズー、マルチーズ、ポメラニアンなどの鼻が短い中~短頭種は、発がん性物質が肺に及ぶため、肺がんを発症することが多いと言われています。

つまり、鼻が長いと有害物質の成分が鼻の中に付着することで鼻のがんなりやすく、反対に鼻が短いと有害物質は通り抜け、肺に成分が付着して肺がんのリスクがあがるというわけです。

元々、呼吸器疾患を患っている犬であれば、副流煙を吸うことで悪化、もしくはさらなる別の問題につながるリスクが高まります。

また、タバコの煙は空気よりも重いため下に溜まりやすいので、当然、犬は床に近いところで生活していますから人間よりも多くの副流煙を体内に取り込んでしまうことを忘れてはいけません。

三次喫煙でもタバコの有害物質は犬の体に蓄積する  

三次喫煙(残留受動喫煙)は、タバコの副流煙が衣服やカーテン、壁、絨毯などに残留する有害物質を直接・間接的に摂取してしまうことです。

例えば、犬がいないところでタバコを吸ったとしても、喫煙者の服や髪に副流煙が付着しています。その状態で犬を抱っこすることで犬の被毛につき、それを舐めることで有害物質を口にしてしまいます。

有害物質は目に見えませんから、そのようにして体内に蓄積していった結果、犬の寿命を縮める結果になるのです。

犬がタバコを誤飲すると起きる症状

よだれを垂らしている犬

タバコがいかに犬にとって有害でしかありません。犬と暮らす場合は、タバコを吸わないに越したことはありません、やめられない方はニコチン中毒についてしっかり理解しておく必要があります。

ここでは、ニコチン中毒の症状と症状が出るまでの期間について説明します。

犬の危険なニコチン中毒の症状  

少量であっても犬がタバコを誤飲、誤食することでニコチン中毒になる可能性があります。具体的なニコチン中毒の症状は以下の通りです。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 呼吸や脈が早くなる(ハアハアと口呼吸になる)
  • 興奮する
  • 高血圧
  • よだれがでる
  • 震え(けいれんや寒くないのに震える)
  • ふらつく

さらに症状が重くなると、呼吸困難や低血圧、昏睡状態(意識障害)に陥り、最悪の場合死に至ることも。

ニコチンは毒性が強く、犬のニコチン中毒量は1~2mg/kg、致死量は8mg/kgといわれています。タバコ1本で0.5~2mgのニコチンが含まれていると、大体20㎏の犬で11本、10kgの犬で5~6本、5㎏の犬で2~3本食べてしまうと中毒となり危険です。

体が小さいほど少量で致死量に達しますので、子犬は特に注意が必要です。また、タバコの灰にも約25%のニコチンが含まれているといわれています。タバコ本体だけでなく、灰も危険と認知しましょう。

犬に中毒症状が出るまでの時間  

ニコチン中毒の症状は摂取してから15~90分で現れるのが特徴です。もちろん量が多いほど症状出現が早く、最悪の場合短時間で死に至ることもあります。

また、水に溶けたタバコの成分は固形の状態よりも急速に犬の体内に取り込まれるため、中毒に陥るまでの時間が短くなります。

例えば、ポイ捨てされたタバコが雨に濡れて水たまりができた場合です。この水たまりにはタバコの有害物質が溶け出しているため、誤って飲んでしまったら中毒症状を引き起こす可能性があります。

喫煙者の飼い主は、吸い殻の処理も徹底するようにしましょう。

アレルギー症状のリスク

受動喫煙をすることで、アトピー性の皮膚炎が発症するリスクが高いともいわれています。特に毛が短い犬は、若いころから発症するリスクが高まります。犬の毛は皮膚を保護する重要なな役割を持っているということですね。

犬がタバコを誤飲してしまった時の対処法

診察中の犬

どんなに注意していても、タバコを誤飲・誤食してしまう可能性はあります。また、誤飲・誤食まではいかなくても、かじった、くわえた、舐めたなどでも不安になる方もいると思います。

ここでは、そういった場合の対処法についてご紹介します。

タバコを舐めた場合

一般的に少し舐める程度であれば、中毒症状は少ないでしょう。ただしたくさん舐めてしまうのは危険です。舐めていることに気づいたらすぐに止めさせましょう。

いつもと違う様子があれば、すぐに獣医師に相談しましょう。

タバコをかじった場合

少しかじる程度であれば、中度症状がでることは少ないといわれています。散歩中などかじっていることに気づいたら吐き出させましょう。

注意点として、一度口に含んだものを無理やり吐き出させようとすると、犬は取られると勘違いして、余計に飲み込んでしまうことがあります。

おやつなど犬が好きなものを目の前に出して、口から吐き出すことができたら、しっかり褒めてからおやつをあげましょう。

吸い殻を誤食した場合

吸い殻であってもニコチンは残っています。犬が誤食してからすぐ吐き出した場合は、しばらく様子を見ても良いでしょう。

参考として、水に溶けていないニコチンを摂取して、4時間以上何も症状が現れなければ、一般的には大丈夫とされています。しかし、万が一を考えて飲み込むのを確認したら、獣医師に相談しましょう。

タバコの吸い殻が入った水を飲んだ場合

灰皿代わりに空き缶などに水を入れて使う方もいます。犬が届くところに放置しておくのも考えものですが、この水をなめてしまった場合はニコチンが溶け出しているので、体内での吸収速度が高まりとても危険です。すぐに獣医師に相談しましょう。

水は飲ませない

犬が誤食したときにタバコの有害物質を薄めようとして、水を飲ませるのは絶対にやめてください。

体内でニコチンが溶け出し、体内での吸収を速めてしまう原因になるからです。自己判断で処置せず、動物病院で治療してもらいましょう。

動物病院に電話する

犬がタバコを誤食した場合は、早めに吐き出させる必要があります。場合によっては、タバコを誤食したという確証が持てないこともあると思います。

そのような場合でも、自分で吐き出させようとはせず、焦らず落ち着いて近くの動物病院やかりつけの動物病院に電話して、獣医師の指示に従ってください。

確証を持てないからといって、しばらく様子を見ておこうとは考えず、万が一のことを考えましょう。

獣医師には、「タバコをどのくらい誤食したか」、「誤食してからどのくらい時間が経ったか」、「犬の様子はどうか、どのようにおかしいか」などをしっかり伝えることが大切です。

獣医師の治療は、ニコチンをどの程度摂取したかによって変わります。

一般的には、催吐(さいと)処置をして、タバコを吐き出させ、胃を空にしてから洗浄します。この処置が有効なのはニコチンを摂取してから1~2時間以内といわれています。

毒素吸着を目的に活性炭を投与することも有効です。けいれんがあれば、抗けいれん剤で治療を行います。また、その他の症状に応じて対症療法を行います。

繰り返しになりますが、これらは動物病院で獣医師が行う治療です。自己判断で処置をするのは絶対にやめましょう。

犬のタバコによるリスクを減らすための対策

禁煙マークと聴診器

受動喫煙のリスクをできる限り減らすために、家庭でできる予防策を紹介します。

喫煙者の方も非喫煙者の方も、愛犬のタバコによるリスクを減らすために色々と工夫されていることでしょう。特に喫煙者の方であれば、日常的に犬がタバコ触れる機会が多いので注意が必要です。

ここからは、犬のタバコの被害を少しでも少なくすための方法を3つ紹介します。まだ取り入れていないものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

飼い主が禁煙する

犬の立場で考えるとこれ以上の方法はないでしょう。しかし、ニコチン依存症は病気なので、そう簡単にはやめることはできません。

飼い主がタバコを吸っている期間やタバコを吸う量、そして家でタバコを吸う家族が多ければ、愛犬が浴びる副流煙は相当なものです。

知らない間に愛犬の体内に有害物質が蓄積していっていることを考えると辛くなりませんか?

愛犬の健康を考えることは、自分たちの健康にもつながります。少しでも長く愛犬と一緒に過ごすために、これを機にぜひ禁煙にチャレンジすることをおすすめします。

犬にタバコの成分が含まれるものを近づけない

禁煙が難しいのであれば、副流煙や三次喫煙を防ぐ努力をしましょう。

  • 外で喫煙し、シャワーを浴びてから犬に会う
  • 吸い殻やタバコの灰はすぐに始末する

このような対策がありますが、具体的に見ていきましょう。

副流煙を防ぐための対策として、換気扇の下やべランダで吸っている方もいると思います。ですが、残念ながらこれだと対策にはなっていないのです。

ある研究では、換気扇の近くもしくはドアを閉めて屋外で喫煙した場合でも、喫煙者のいない家庭に比べると受動喫煙の危険が3倍以上になることがわかっています。

当然ですが、タバコの煙は換気扇ですべて排出されず、室内に拡散します。ベランダなどの屋外でも窓の隙間から室内に入り込みます。

また、喫煙することで服や髪、皮膚などにも有害物質が付着してしまいます。

これらのことから、喫煙は外のみ、家に入ったらすぐにシャワーを浴びて、有害物質を除去してから犬に触れることが望ましいのです。犬に与えるリスクを考えると、このくらい徹底する必要があると思います。

非喫煙者も、受動喫煙にさらされた際には、着替えや洗えるところは洗うなどの対策が必要になります。

次に、犬が届くところに吸い殻や灰を置いておかないように注意しましょう。

特に灰皿にいつまでも灰を残しておくと、何かの拍子にひっくり返ったときに、犬が反応して危険です。吸い終えたらすぐに始末することを徹底しましょう。

また、タバコの置き場所は犬が届かない高い場所、できれば引き出しなどに保管するようにしましょう。

散歩中は常に犬の様子に気を配る  

最近は電子タバコが増えてきていますが、吸い殻のポイ捨ては依然なくなりません。油断すると火が付いたままポイ捨てされていることも。

火が付いたままのタバコを誤食や踏んでしまうことで、火傷などの外傷につながる恐れがあります。飼い主は散歩中いち早くポイ捨てされたタバコを見つけ出し、犬の安全を守る必要があります。

散歩中は、すぐに対応できるようにリードを短く持っておくこと、行く先に誤食してはいけないものが落ちていないか確認して歩くことが大切です。

また、しつけの一環として、犬とアイコンタクトをとる練習をしながら散歩できるようになるとより安全です。

まとめ

タバコを指で挟んでいる男性の手

この記事では、犬がタバコを誤食、受動喫煙するリスクと対策について説明しました。

犬が健康でいるためには、まず飼い主が健康を意識する必要があります。いくら高級なドッグフードやサプリを与えていようと、毎日のように副流煙を浴びている生活はがんのリスクや呼吸器疾患のリスクが高まってしまい、愛犬の寿命を縮めてしまうかもしれません。

またタバコの誤食がニコチン中毒につながってしまうかもしれません。飼い主にできることは禁煙するか、喫煙をする場合は分煙をして、愛犬に副流煙の影響がないようにする、誤食しないよう周囲に気を配るなどです。

今回紹介した内容は、すぐにでも始められるものばかりです。愛犬の健康を守るためにも、ぜひ試してみてください。

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