犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?上手に切るやり方やコツについて

犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?上手に切るやり方やコツについて

大切な愛犬の爪を自宅で切ることができたら、とてもうれしいことですよね。しかし、爪切りを嫌がる犬は少なくありません。今回は、犬が爪切りを嫌がる理由とその対処法について詳しく解説します。

犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?

犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?

おうちでの愛犬の爪切り、いざ爪を切ろうとしても愛犬が嫌がってしまってうまく出来ないという方は多いと思います。

無理やり押さえつけて爪切りをしてしまうと、爪切りが更に苦手になってしまったり、トラウマになってしまったりする事があります。

きっと、その子なりに爪切りが苦手な理由があるはずなので、まずはなぜ愛犬が爪切りを嫌がってしまうのか、それを知る事から始めてみましょう。

足先を触られるのが苦手

犬の足先には、関節、肉球、爪などの神経がたくさんあるため、足先を触られるのを嫌がってしまう犬は意外と多く、前足は特に敏感なようです。

また犬の前足は、立つときに体重を支える・穴を掘る・獲物を捕らえるという重要な役目を担っています。前足に何かが起きると、命に関わる恐れがあると犬の本能が働くため、前足を触られるのを嫌がってしまうという説があります。

押さえつけられるのが苦手

犬は自由を制限されるのを嫌います。しかし、爪を切るときには安全のためにも、愛犬が動かないように支えてあげる(=保定をしてあげる)必要があります。

自由が利かなくなる・体を押さえられるという状況が極端に苦手な犬は、この保定の段階から嫌がります。噛み癖がある・以前病院などで暴れてしまい、押さえつけられた経験がある・特に活発で元気いっぱいな子などに多くみられます。

何をされるのかわからなくて怖い・不安

爪切りが初めてという子は、見慣れない道具やいつもと違う雰囲気に、何をされるのかわからずに怖がってしまったり不安になってしまいがちです。

初めて爪切りの道具を見たときには、自分に何か危害を及ぼす物かもしれないという恐怖心から、爪切りを噛んでしまったり、爪切りを見た瞬間から暴れてしまうというケースもあります。

爪切りの感覚が苦手

犬は頭が良いので、良い記憶はもちろん嫌な記憶もずっと頭に残ります。

以前、爪切りをしたときに、爪を切る感覚が苦手だと感じてしまった犬は、その記憶が頭に残り、次に爪切りを見たときに「またあの感覚が来る」と嫌がってしまう事があります。

犬は爪切りしないとどうなる?

犬は爪切りしないとどうなる?

爪切りを怠ると、愛犬にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。爪切りをしないことで考えられる具体的なリスクは以下の通りです。

足や関節に負担がかかる

歩行の際、肉球よりも先に爪が地面に付いてしまい歩行の邪魔になり、ゆくゆくは関節に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

相手にケガをさせてしまう

じゃれているときなど、伸びた爪でひっかいたことにより飼い主さんや他の犬にケガをさせてしまう恐れもあります。お散歩中、ドッグラン、お出掛け先で思わぬトラブルを引き起こしてしまうかもしれません。

伸びた爪が肉球に刺さってしまう

犬の爪は内側に弧を描くように伸びていきます。そのため、伸ばしっぱなしにしていると爪が肉球に達してしまい、そのまま肉球に食い込んでしまいます。

思わぬ所に爪がひっかかりやすくなる

カーペットやゲージの隙間など、伸びた爪が思わぬ所に引っかかりやすくなってしまいます。

爪が引っかかると犬はパニックになり、爪を引き抜こうと暴れた事によって爪が折れてしまったり、更には爪が指から抜けてしまう事があります。

犬の爪の中には血管が通っていますので、折れたり抜けたりした場合には痛みと出血が伴います。

爪の中の血管が伸びてしまう

爪が伸びた状況が続くと爪の中の血管も伸びてしまいます。爪を切るときには血管の手前までしか切る事が出来ません。血管が伸びてしまうと爪を短く切れなくなるため、爪を切っても長いままという状況になってしまいます。

爪切りが苦手な子は多いですが、嫌がるからといって伸ばしたままにすると、犬にとっても人間にとっても良くない事ばかりが起きてしまいます。

伸びた爪による様々なリスクを回避するためにも月に一度、最低でも三か月に一度は爪切りをしてあげましょう。

犬の爪切りの道具を確認

犬の爪切りにはたくさんの種類がありますが、大きくわけると主にギロチンタイプとグリップタイプの2つの種類に分けられます。そして最後の仕上げに爪やすりを使います。

それぞれどのような特徴があるのか、どんなときに使えば良いのか、それを使用するメリットについてを書いていきます。

ギロチンタイプの爪切り

ギロチンタイプの爪切り

切れ味が良く、軽い力でスパっと切る事ができるのが特徴的で、爪を切るときの不快感を犬に与えにくいというのが最大のメリットになります。

見慣れない形状ではありますが、慣れてくるととても扱いやすく、切った後の角取りもしやすいため、トリミングサロンではギロチンタイプがよく使われています。

デメリットとしては、最初は少々扱いづらいという事。ギロチンの穴に爪を入れるという慣れない作業に、飼い主さんも愛犬も最初は戸惑ってしまうかもしれません。

爪切りをする数日前から爪を穴に入れる練習をしておくと、いざ爪を切るときに慌てなくて済むと思います。

グリップタイプの爪切り

グリップタイプの爪切り

ペンチのような形状になっていて、先端に爪をはさんでからグリップに力を込めて切っていきます。こちらはギロチンタイプに比べると切れ味が悪いというデメリットがあります。

切れ味が悪いため、ギロチンタイプよりも力を込めなくてはなりません。そのため犬の爪にかかる負担も増してしまい、不快感が伝わりやすくなってしまいます。

メリットとしては、ギロチンタイプでは切れない形状の爪を切れるという事。巻き爪の子や、爪が大きくてギロチンタイプの穴に入らない場合にはグリップタイプが大活躍してくれます。

また、ギロチンタイプを嫌がってしまう子にはグリップタイプで対応してみると感覚の違いからすんなり切らせてくれるというケースもあります。逆も然りです。

グリップタイプの爪切りにはLEDライトが搭載のものや、深爪防止など高機能なものがあるのも魅力的です。

爪やすり

爪を切ったあとの仕上げとして爪やすりをかけてあげることも大切です。

爪切り後は爪の断面に角が残っており、そのまま愛犬が耳や体を掻いてしまうと、引っ掻き傷がついてしまい、肌に炎症が起きてしまう恐れがあります。

また、愛犬の体だけでなく革製の物やフローリングなど、あらゆる物に引っ掻きキズが付きやすくなってしまうので、爪切りのあとには爪やすりを使用し、爪の表面を滑らかに整えてあげる事をおすすめいたします。

犬の爪切りのやり方

犬の爪切りのやり方

基本的にはトリミングテーブルなどの台に立たせて行いますが、高い所が苦手な子だったり、丁度良い高さの台がない場合は飼い主さんの膝の上や床の上でやってみましょう。

立たせながらの爪切りが難しい場合や、寝っ転がっても大人しくしてくれる子の場合は、寝かせながら爪を切ってみましょう。

万が一、爪の中の血管を切ってしまった場合に備えて、手の届く所に犬用の止血剤を置いておくとかなり安心できます。

爪切りがしやすい体勢を整える

台の上に立たせる場合、飼い主さんのおへそより少し下くらいの高さですと爪切りがしやすいです。犬の大きさにもよりますので、どの高さがやりやすいのかを事前に確認しておくと良いでしょう。

台に立たせると嫌がってしまったときに愛犬を支えやすく、体制の維持がしやすいのですが、落ちないように注意しましょう。

寝かせたポーズでやる場合は、愛犬が嫌がったときに飛び起きてしまったり、逃げてしまったりする事がありますので、そうなったときには、どう支えてあげるかをあらかじめ考えておくと良いでしょう。

頭が左、尻尾が右になるように立たせるまたは寝かせましょう。

足先を曲げる

爪切りの体勢が整ったら、肉球と肋骨が向い合せになるように、関節が曲がる方向にゆっくりと曲げていきます。この時点で嫌がってしまう場合は、優しく声をかけながらゆっくりと足を曲げていきましょう。

切りたい爪が生えている指をつまむ

肉球と肋骨が向い合せになったら、切りたい爪が生えている指をつまみます。人差し指を犬の手の甲に、親指を切りたい爪が生えている肉球にあてがうとつまみやすいです。

 

血管を切らないように爪を切る

爪が白い子はピンク色の血管が爪の中に見られますが、黒い子は血管の位置がわかりません。そのような場合は、爪の先っぽから少しずつ切ってみましょう。

爪の中が湿った感じになってきたり、中に円形のものが見えてきたらもうすぐ血管のサインなので、そこで切るのをやめておきましょう。

万が一、血管を切ってしまった場合は、止血剤を塗布してあげるとすぐに血が止まります。手元にない場合はガーゼで数分押さえたり、ゲージなどで少し休憩させて血が止まるのを待ちましょう。

 

仕上げに爪の角を取る

切った断面にはどうしても角が残ってしまいます。爪やすりを使って、滑らかになるように仕上げていきましょう。爪やすりが無い場合は、爪切りで爪の断面の四か所(上・下・左・右)を切って角を落としてあげるだけでもだいぶ違います。

犬が爪切りを嫌がらないようにするための対策

犬が爪切りを嫌がらないようにするための対策

初めての爪切りでは、今から何が起きるのかわからずに、嫌がってしまうという犬は少なくありません。

また、先ほど書いたように爪切り自体が嫌なのではなくて、足先を触れられるのが嫌、体を押さえつけられるのが苦手という子もいます。

そういった場合は、まずは「爪切りの道具は怖くないよ」と愛犬を安心させてあげたり、足先を触るのに慣れさせたりといった事から始めてみましょう。

爪切りを嫌がらないようにするための対策を書いてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

また、すでにおうちで爪切りをした事がある場合は、愛犬が爪切りを行うプロセスの中の何のプロセスが苦手なのかを見極めて、以下の対策を試してみてください

足先・爪を触るのに慣れさせる

足先や爪を触る機会を増やしてみましょう。頭や体をなでているときに足先や爪も一緒に撫でてみたり、いいこだねと言いながら足先を優しく触ってあげて、足先を触られるという感覚に慣れさせます。

爪切りの体勢に慣らす

爪切りをするときには普段あまりしない体勢になりますね。なので、普段からその体勢に慣れさせてあげましょう。

優しく抱え込んで、爪切りのときに愛犬を支えるポーズをしてみたり、足先を持つ練習などもしておくと、いざ爪切りをするときに愛犬が怖がらずに済むと思います。

爪切りの道具をあらかじめ見せておく

爪切りの道具に怖がってしまうという子は少なくありません。

ですので、爪切りをする数日前から愛犬が普段いる場所に何気なく置いてみたり日常の中に溶け込ませて、これは危険なものではないという事を認識させてあげましょう。

爪切り自体を変えてみる

爪をパチンと切るタイミングになると嫌がっていしまう子は、爪を切るときの感覚が苦手なのかもしれません。切れ味の良い爪切りに変えてみたり、タイプの違う爪切りに変えてみましょう。

1つ出来たら褒める事を心がける

これはとても大切な方法です。爪切りを嫌がるからといって叱ってしまうと、愛犬の機嫌が余計に悪くなってしまい、作業がスムーズに進まなくなってしまいます。

嫌がっているときには褒める事を心がけながらやってみましょう。少しできたら大げさに褒めてあげたり、おやつを与えてみます。

頑張れば褒められる、おやつがもらえると認識させてあげるのです。

例えば

  • 嫌がらずに立てたら褒める
  • 足を触らせてくれたら褒める
  • 先っぽだけ切らせてくれたら褒める

など、愛犬が爪切りのプロセスで上手にできた所があればその都度、思いっきり褒めてあげてください。根気がいりますが、次第に嫌がる回数が減っていくと思います。

数日に分けて爪切りをしてみる

一日のうちに全ての爪を切らなくても良いんです。毎日1本ずつでも2本ずつでも先っぽを切るだけでもOKです。短時間で終わらせる事により、嫌だな苦手だなと感じる時間を少なくしてあげます。

そして、上記に書いたように褒めながら、かつ短時間で終わらせる事により、「嫌な時間を過ごした、我慢する時間が多かった」ではなく「なんだか楽しかった、たくさん褒められた」とプラスの感情の方が多くなるため、愛犬の中にある爪切りに対するマイナスなイメージが変わっていく事でしょう。

他の人にやってもらう

飼い主さんだとどうしても甘えてしまい、暴れたり嫌がったりしてしまう子は少なくありません。嫌がればやめてくれると思っているようです。

そのようなときは、違う人にやってもらうと諦めるのか意外とすんなりやらせてくれたりします。一度他の人にやってもらって様子を見てみましょう。

トリマーさんにお願いする

何をやっても嫌がってしまってどうしても自宅ではできないときには無理をせず、トリマーさんにお願いしてみましょう。

なぜ嫌がってしまうのか、どうしたら爪切りをやらせてくれるのかアドバイスもしてくれます。愛犬に合った爪切りの方法も教えてくれますよ。

まとめ

愛犬の爪切りで大切なのは、爪切りは怖くないと認識させることと、「爪切りをすると楽しい・良い事がある」と覚えさせてあげる事です。

「大丈夫だよ、いいこだね」と声をかけて愛犬を安心させてあげ、上にも書きましたが、1つ何かが出来たら褒めておやつをあげたりして、「爪切り=良い事がある」と学習させながらやってみましょう。

愛犬が嫌がったり、暴れたりしてしまうと、飼い主さんも慌ててしまいがちです。そうなると、犬は余計に落ち着かなくなってしまうので、焦らずに、落ち着いた気持ちをキープしながらトライしてみましょう。

もし、お互いに余裕がなくなってきたら休憩を挟んだり、後日に回したり、ときには諦めてトリミングサロンに頼んだりして、お互いに無理のないように、心に余裕を持って爪切りをしてみてくださいね。

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