犬の黒い爪とは
犬の爪には、「白い爪」と「黒い爪」があります。犬の皮膚や爪の色は、2種類のメラニン色素(黒褐色のエウメラニンと、橙赤色のフェオメラニン)の割合によって決まってきます。色素が多いと黒っぽい爪に、色素が少ないと白っぽい爪になるのです。
黒い爪を切るのはとても難しい
犬の爪には血管が通っています。そのため、犬の爪を切る時は、この血管を切ってしまわないように気をつける必要があります。
白い爪の場合は、血管が薄いピンク色に透けて見えているため、その手前部分まで切って大丈夫とわかりやすいです。しかし黒い爪の場合は、血管がまったく透けて見えないため、どこまで爪を切って大丈夫なのかがわからず、爪切りはとても難しいのです。
実際に、愛犬の爪が黒い飼い主は、自宅での爪切りは難しいと困っていたり、動物病院やトリミングサロンでお願いする人も多いです。ちなみに、獣医師さんにお願いした場合でも、失敗して出血することは多々あるため、止血剤の用意は必須になります。
犬の黒い爪の切り方
前述したように、黒い爪の犬は爪の中の血管が見えないため、どこまで爪切りして大丈夫なのか判断がとても難しいです。
- 落ち着いて優しく切る
- 爪の断面を確認しながら切る
- 血管を傷つけないように意識する
落ち着いて優しく切る
犬の爪切りは、足を無理やり引っ張らないように、声をかけながら優しく固定して、素早く切るようにしましょう。飼い主が不安がっていると、愛犬にも不安が伝わってしまいます。そうすると、ますます愛犬は爪切りを怖く感じてしまいますので、心を鎮めて爪切りにのぞみましょう。
爪の断面を確認しながら切る
黒い爪を切る場合、一気に切ってしまわないように少しずつ切り進めていきましょう。最初は白っぽい乾いた断面ですが、切り進めるうちに、やや黒っぽくなり少し湿った感じに変わります。その奥に血管があるため、そこで切るのをストップしてください。後は、やすりで外側を少し削って整えてあげると良いでしょう。
なお、黒い爪は日光や強い光にあててよく見てみると爪が透けて血管の位置を確認できることもあります。また、自分で爪切りをする前に一度プロに切ってもらい、どれくらいまで切って大丈夫なのか、写真に撮っておくこともおすすめです。
血管を傷つけないように意識する
犬用の爪切りを使っているからと言って、深爪は厳禁です。爪が伸びすぎていると、ついたくさん切ってしまいたくなりますが、一気に切ろうとすると血管を傷つけることがあるため注意が必要です。地面についている爪の先を切るだけでも良いですので、一気に切ろうとしないように心がけておきましょう。
爪切りで準備するもの
自宅で愛犬の黒い爪を切る場合、次のような道具を用意しておきましょう。
- 犬用爪切り
- コットン・脱脂綿・ガーゼ(どれでもOK)
- クイックストップ(止血剤)
- 爪やすり
犬用爪切り
犬の爪は筒状になっているため、割れやすく人間の爪切りで切ることはできません。小型犬の爪なら人間の爪切りでも切れるかもしれませんが、縦に割れてしまうのでおすすめできません。必ず犬用の爪切りを用意してください。
犬用爪切りには、「ギロチンタイプ」と「ニッパータイプ」と2種類があります。ギロチンタイプは、爪を固定して切ることができるため、また切れ味が良く爪を押しつぶしてしまったり爪が割れたりしないため、初心者から上級者までおすすめです。その他にも「 電動タイプ」も人気があり、これは切るのではなく「削る」といった方法で爪を整えます。
コットン、脱脂綿、ガーゼなど
深爪して血管まで切ってしまうと出血してしまいます。その際に、コットン・脱脂綿・ガーゼなどで押さえて止血するための用意しておきましょう。
クイックストップ(止血剤)
万が一、爪切りで血管を切ってしまうと、ガーゼや脱脂綿などで押さえて止血をしようとしてもなかなか血がとまりませんので、止血剤を用意しておくと良いでしょう。特に黒い爪を持つ犬の場合には最初から用意しておくと良いでしょう。出血した患部に塗ることで、瞬時に止血することができます。クイックストップは動物病院でも使われている商品です。
爪やすり
爪切りである程度切った後に、最後の仕上げとして爪の切り口を「爪やすり」でなめらかにします。そうすることで、切ったばかりの犬の爪が人間の皮膚にあたっても傷がつきにくくなります。また黒い爪を切る時には、爪切りで少しずつ削っていくことで、爪を切り過ぎて出血してしまうのを防げるかもしれません。
黒い爪を切る際の注意点
爪を切るタイミング
- 爪先が床に着くようになったら切る
- 爪が床にあたる音が聞こえたら切る
黒い爪の先が床や地面に着くようになった時が爪を切るタイミングの目安になります。また、犬がフローリングの床などを歩いてカチャカチャと爪があたる音がするようになったら、ただちに爪切りをしましょう。
「爪がすり減る=爪切りは不要」ではありません
家の外で飼っている愛犬や、散歩をよくする愛犬の場合、地面と黒い爪がこすりあうことによりある程度自然に爪が磨耗していきます。そのため、散歩コースや運動量、犬の体重によっては爪の手入れをする必要がほとんどないこともあります。一方で、室内犬や、小型犬、あまりアスファルトの上を歩かない犬の場合は、削れる機会が少ないため爪がどんどんと伸びていきます。
ですが、外でよく運動して爪がすり減る犬の場合にも、歩き方のくせなどで全ての爪が同じようにはすり減っていかないこともあります。ですので、あまり爪切りをする必要がない犬の場合にも、たまには伸びている爪がないかチェックしてあげましょう。
親指の爪チェックも忘れずに
前足の親指の爪(狼爪:ろうそう)は見落とされがちです。気づいたら伸びすぎ皮膚にささっていたなんてこともよくあるようですので、前足の親指の黒い爪が残っている犬の場合には、忘れずに親指の爪もチェックしてあげてください。
黒い爪を伸びたままにしていると危険です
犬の爪は筒状になっていて、その中に血管が通っています。厄介なのは、爪が伸びるとこの血管もいっしょに伸びてしまうことです。そのため、爪を伸びたままにしていると、爪切りをする際に切りたい場所にまでこの血管が伸びてきていることになり、愛犬に痛い思いをさせてしまうことになってしまいます。
また、爪が伸びていると、自分の体を掻いたときに誤って皮膚を傷つけてしまいます。歩いていても、爪に物が引っかかりやすくなります。さらに伸びすぎてしまった場合、爪が皮膚にめり込んだりささったりして皮膚を傷つけ、痛みを伴ったり化膿してしまったりすることもあります。
また、爪がぽっきり折れてしまったり、指先から爪が抜けてしまったりすることもあります。そうなってしまうと、場合によってはひどく出血することもあり、愛犬も飼い主もとても辛い思いをすることになってしまいます。そうなる前に、早めの爪切りで正常な長さに保ってあげましょう。
犬が爪切りを嫌がる際の対策
- 前足から切らずに、後ろ足から爪切りする
- 片手を犬のお腹の下に通して持ち上げる
- おやつをあげて犬の気を紛らわせる
- 無理に1人でやろうとしない
- 片足ずつ数日に分けて爪切りをする
- 日常で足先をもたれることに慣れさせる
- 「少し切る→ご褒美」を繰り返す
自分で愛犬の爪を切ろうとしたけれど、暴れてとても爪を切れるような状態ではない、ということもあるでしょう。愛犬が爪切りを嫌がる場合、前足の爪から切ろうとしているということはないでしょうか?前足を触られるのを嫌がるわんちゃんは意外と多いです。
爪切りの時、写真のように小型犬の場合は片手を犬のお腹の下に通して持ち上げると大人しく爪切りをさせてくれます。(写真はわかりやすくしていますが、実際は安全のためすぐ下に机や台があります)
1人ではできない場合には家族や友人に頼み、犬を抱っこしたり押さえたり、おやつをあげて犬の気を紛らわせてくれる人と、爪を切る人に分かれて爪切りをしましょう。決して1人でやろうと無理してはいけません。
それでも嫌がる場合は、無理をせずにゆっくり行いましょう。1日片方の足だけ、4日で完成といった具合でも問題ありません。また、1日1本だけ、という方法もあるでしょう。また、普段から前足や後ろ足を優しく触って、足先をもたれることに慣れるようにしておきましょう。
しっかりと足先を持たせてくれるようになったら、本当にちょこっとだけ爪を切ります。爪切りを嫌がる犬やまだ爪切りに慣れていない犬の場合には、少しずつ切って、まずは慣れさせることが大切です。そして少しでも切らせてくれたら、ご褒美をあげたりほめたりしましょう。
下記の関連記事に詳しい対処方法が紹介されていますので、ぜひご覧ください。
まとめ
病院やトリミングの時に、爪切りをお願いしている方も多いかと思います。しかし犬が老犬となり介護が必要となった時、家で一通りの世話を飼い主が行った方が、犬のストレス軽減となります。頑張って爪切りにチャレンジをしてみてください。