犬が水を飲み過ぎる原因
犬が水を飲みすぎる原因は、季節によるもの、フードによるもの、ストレスによるもの、薬によるもの、病気によるものが原因として考えられます。以下で詳しく解説します。
季節が原因による多飲
犬は汗をかいて体温を下げることができないため、パンティング(舌を出してはぁはぁと呼吸する方法のこと)、水を飲む・排泄する、冷えている場所に移動することで、体温を下げます。
一般的に夏は気温が高いため、体温を下げるために、必然的に水をがぶがぶ飲むようになります。また、夏は冬に比べて散歩の時間が増えるため、水を飲む量も増える傾向にあります。
フードが原因による多飲
水分量が多いウェットフードからドライフードへの変更や、塩分が多いフードに変えることで、のどが渇くことが多くなり飲水量が増えます。
塩分が多いフードは、腎臓などの臓器にかかる負担が増えますので、フードの成分は今一度確認してみましょう。
ストレスが原因による多飲(心因的多飲)
犬にとって精神的な要因によるストレスが過度にかかると、ホルモンバランスが乱れ、水をよく飲むようになります。
飼い主の犬に対する接し方や、生活環境(工事現場の音など犬にとって不快な音が頻繁に聞こえないかなど)を改めてチェックしてみましょう。
心因的多飲は比較的子犬で見られることがあります。
薬が原因の多飲
既に他の病気によって処方されている薬の副反応の影響で、水をよく飲むという症状がでていることも考えられます。その場合は獣医師に相談してみましょう。
病気が原因による多飲
水をがぶがぶ飲みたがる背景には病気が隠れている可能性があります。
多飲水を引き起こす病気には、様々ありますが、代表的な病気は、生活習慣病(糖尿病)、腎臓の病気(慢性腎不全など)、肝臓の病気(肝不全)、子宮蓄膿症、ホルモンの異常で起こる病気などが挙げられます。
いつもより水をよく飲んでいる他にも、異変がないか観察しましょう。また、老犬は多飲多尿の症状を引き起こしやすいので日ごろから注意して観察しましょう。
犬が水を飲み過ぎているか判断する目安
ここでは、犬が一日に飲む正常な飲水量と尿量の目安、飲み過ぎているかを確認する方法を紹介します。
犬が1日に飲む正常な飲水量の目安
犬は一日当たりの飲水量は体重1㎏あたり100ml以下といわれています。つまり、5㎏の子であれば、500mlの水分が必要になります。
また、水をそのまま飲む行為以外にも、食事の内容や体内でエネルギー産生時に発生する代謝水の量などが関連して個体差が発生するため、あくまで目安になります。
健康な犬のおしっこの回数は子犬で一日7~10回、成犬は3~4回、シニア犬は5~6回が目安になりますが、犬によって個体差があります。
犬が水をすごく飲むことに気づいた際に大事なのは、飲水量が多い日が連続するかどうかという点です。
犬が1日に排泄する正常な尿量の目安
尿量は1㎏あたり50ml以下といわれています。つまり、5㎏の子であれば250mlが排泄されるといわれています。
水の飲み過ぎは尿の色から判断するのもおすすめ
犬が水を大量に飲んでいるかを判断するために大事なのは尿の色が一つのポイントです。
健康な状態の尿は淡い黄色~麦わら色で透き通っています。しかし、水を大量に飲みすぎてしまうと、一般的には尿量が増えるため、ごく薄い黄色~透明に近い色になります。
また、尿の色は朝一番の尿色が最も濃いため、一回で判断せずに、朝から夜にかけて色を観察しましょう。
あげる水の量を測定する
上記の項目で述べたように、体重から目安となる水分摂取量を計算することで、大体の水分量がわかると思います。
フードからも水分摂取ができるため、完全に測定するのは難しいので、あくまで目安と捉えておきましょう。水の量を測定する具体的な方法は下記で紹介します。
おしっこの回数を見る
水を大量に飲むと、当然おしっこの回数は増えます。また、何らかの理由で、必要な水分を体内に留める機能が落ちている場合もおしっこの回数は増えます。
家の中や散歩の時に普段と比べてどの程度おしっこをしているか、よく観察しましょう。まずは、普段の大体の回数を知ることが大事ですね。
犬が水を飲み過ぎる時に注意すべき症状
犬が水を多飲する日が続いた場合に、次の症状が見られたら、すぐに病院に行きましょう。
- 元気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 食欲があるのに体重が減少して痩せる
- 腹部が張っている
- 下痢や嘔吐がみられる
- お漏らしをよくするようになる
- 体の震えがみられるようになる
- 軟便がよくみられるようになる
などここに紹介した症状は一部ですが、どれも危険なサインです。基本的にはこれらの症状が出現する背景には、病気が隠れています。
犬が水を飲み過ぎている時の対処法
ここでは、多飲水が見られたときに飼い主ができる対策を紹介します。
飲水量・尿量を測って尿の色を記録する
飲水量を測る方法の一つとしてペットボトルを活用することをおすすめします。
事前にペットボトルに水を入れて置き、そこから器に入れるようにします。一日の最後にペットボトルの残量を確認することで、おおよその飲水量を測定することができます。
尿量の測定の方法はペットシーツで計測することがおおすめです。あらかじめペットシーツの重さを測っておき、あとは尿をした後のペットシーツの重さからシーツ分の重さを引くことで尿量を測定できます。
ただし、散歩やペットシーツ以外の場所で排尿、多頭飼いの場合もありますので、こちらもあくまで目安となります。
上記で説明したように、尿は飲水量によって尿の色が変化しますので、尿の色も忘れずに観察しましょう。また、どちらの方法でも一日ごとに記録をつけておくことで、変化が追いやすくなりますので、動物病院を受診した際にも診察に役立ちます。
犬の飲水量を制限しないようにする
飲水量が増えたときに注意してほしいのが、飲水制限をしてしまうことです。
しかし、明らかに原因がわかっている場合は別です。例えば激しい運動の後や気温が高い時は、がぶ飲みすることで、むせを防止する際は、一時的な対策として、飲水を制限する(少しずつ水をあげる)ことは問題ないです。
ここで言う注意とは、何日も多飲多尿が見られる場合の飲水制限です。多飲多尿とは、大量に水を飲んでも、大量に尿として排出される状態を指します。
つまり、体に必要な水分を欲するために水分を補給しているのに、それができていない状態です。この状態で多飲を防止するために、水分を制限してしまうと、脱水を引き起こす原因となります。
脱水が進行すると病気によっては命に関わる危険がありますので、犬の水分量が何故増加しているのか、考えた上でそれに合った対策が必要になります。
犬の多飲多尿が続く時には健康診断を受ける
多飲多尿は注意していないと気付くのが難しいかもしれません。これまで紹介してきたような症状が出現している場合は、病気が進行していることが考えられます。
犬が元気で問題がないように見えても、「ちょっと飲む量が多いな」、「ちょっと尿の量が多い・尿の色が薄いな」など少しでも違和感があれば、すぐに病院に連れて行き、検査してもらいましょう。
まとめ
飲水量や尿量は犬の健康状態を知るひとつの指標になります。飼い主さんは日ごろから愛犬にとっての「普通の状態」を知ることで、「異常の状態」に早く気付けると思います。
何より怖いのは、「異常の状態」を放置しておくことで、背景に隠れている病気が進行して命の危険につながることです。愛犬が辛そうにしていなくても、異常に気付いたら、早期に病院を受診することをおすすめします。