自分でチェックできる肥満度確認ツール「BCSモデル」
触っただけ犬の肥満度でわかる「BCSモデル」とは?
犬は1歳で成犬になり、体型も体重もほぼ完成します。
みなさんは愛犬の1歳の時の写真をお持ちでしょうか。
今とその頃を比べてどうでしょう?
なんとなく太ったように思うけれど、まだ大丈夫?標準ってどれくらい?そもそも犬の肥満はどれくらいから?そんな疑問はつきませんよね。
犬の体型を評価する時に使う指標、それがBCS(ボディコンディションスコア)です。
犬の体型指標「BCS(ボディコンディションスコア)」を知ろう!
人がBMIで体型をチェックするように、犬はBCSという指標を利用して体型をチェックします。実際のスコアと見た目は次のようになります。
環境省 飼い主のためのペットフード・ガイドラインより引用
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide/pdf/full.pdf
理想はBCS 3です。ポイントは次の3点です。
- 触って肋骨がわかる
- 上から見て腰の前にくびれがある
- 横から見てお腹から後ろ足に向かって切れ上がっているように見える
獣医師やブリーダーなど、数多くの犬を日常的に見ているプロであれば理解しやすいですが、愛犬以外の犬の世話をしない飼い主には解りにくいかもしれません。
犬種も様々ですし、大型犬の中にはサルーキなどのように痩せすぎに見えるような体型がスタンダードの犬もいて判断しづらいと言われているのも事実です。
ロイヤルカナンが開発した「BCSモデル」
BCSをもっと解り易く再現したのが今回発表された「BCSモデル」です。
これは、ロイヤルカナンと帝京科学大学が共同で開発した犬の肥満度をチェックする道具で、BCS 1~BCS 5までの犬の胴体の部分(脂肪の付き方)を再現したゴムシートが並べられています。
1. 愛犬の胴(肋骨周辺)を触って感触を確かめる。
2. BCSモデルのBCS 1~BCS 5までのゴムシートを触る。
この2ステップで自分の愛犬のBCSが判断できます。
もし、愛犬の胴の感触とBCS 3のゴムシートの感触が近ければ「標準」の脂肪の付き具合で、BCS 5のゴムシートに似た感触なら「肥満」です。
実際に触って比べられると解り易いですね。
この「BCSモデル」は2016年1月から順次、動物病院や獣医系の大学に配布される予定だそうです。
お近くの動物病院に実物が届くまで時間がかかるかもしれませんが、興味がある方はかかり付けの動物病院で「BCSモデル」というものがあるらしい、と獣医師に話してみてはどうでしょうか。導入を考えてもらえるかもしれません。
ロイヤルカナンHP http://www.royalcanin.co.jp/new/news/2016/01/12_01/
どうして一般向けの肥満度チェックツールが必要なのか
どうしてこのようなツールが開発されたのでしょうか。
それは犬の肥満が問題視されているという背景があります。
肥満の犬が増えている理由
- ドッグフードやスナックが豊富
- 室内飼いが進んでいる
- 共働き世帯や高齢世帯など、飼い主の生活スタイルが多様化
- 小型犬は散歩が不要といった考え方
- 不妊去勢手術
- 病気
ペットブーム以降、ペット業界も商品開発が進み、ペットショップやホームセンターにはドッグフードやスナック類が溢れていますし、犬向けのカフェなどもあります。
犬も飽食の時代となり、散歩の時間を確保し辛い世帯でも犬を飼うようになってきて、犬が太ってしまう環境が整ってしまっています。
犬の肥満に対する飼い主の考え方
肥満傾向の犬が増えているけれど、残念ながら飼い主の肥満に対する危機感はあまり高くありません。
- 太っていても元気
- コロコロと太っている方が可愛い
- 可愛いからついついスナックをあげたくなる
- 肥満は病気ではない
- 太っている方が幸せな環境で育っている証拠
このような考え方の飼い主がいるのも事実で、肥満は犬に悪影響をおよぼすと感じにくいのも肥満犬が増えている理由でしょう。特に避妊手術後に体重が増加するケースでは適正体重に戻すのが非常に大変です。適正体重を維持するためにはカロリーを避妊手術前の30%減させな帰ればならない場合もあります。
肥満のリスクを知ろう
肥満になるとどんな悪影響があるのか、具体的なリスクを挙げてみました。
- 関節や背中に負担がかかる
- 心臓病のリスクが高くなる
- 糖尿病になる
- 腎臓や肝臓の機能が低下する
これらはひとつだけでも治療に長期間を要したり、全身麻酔が必要な手術が必要になります。
ダックスフンドの椎間板ヘルニアは有名ですよね。
また、腎臓や肝臓の機能が低下すると、体内の老廃物を外へ出す機能が低下してしまうので、体中に老廃物や毒素が溜まってしまいます。
これが原因で体の色々な場所にトラブルが現れたり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなってしまいます。
まさに肥満は万病の元と言えますね。
まとめ
BCSモデルは実際に触って体験することで肥満度をチェックすることができる便利なツールです。
これによって肥満度を手軽に確認できるようになれば、肥満に対する意識も高まりそうですね。
また、動物病院に設置されることで動物病院に足を運ぶ機会が増えることも考えられます。
動物病院がこうしたツールを利用した健康相談会を開いたりしてくれると、さらに認知度が高まり、犬の健康に感心が集まると思われます。
犬の健康管理は飼い主の義務ですよね。
それを手助けしてくれるツールが開発されていくことは、飼い主にも犬にも嬉しいことだと思います。
今後もこうした実用的なものが身近になっていくことを期待したいですね。