犬が「よだれ」を出す3つの理由
生理的なよだれ
食べ物を消化するために脳が指令を出したことによって、分泌されるよだれと、体温を下げるために口をあけて呼吸することでよだれが垂れていることがあります。。また、睡眠時や非常にリラックスしていると、副交感神経が働いていて、その際には、粘り気のすくない唾液が分泌されます。
精神的なよだれ
興奮している時は、交感神経が活発に働いています。そんな時は、粘度の高い唾液が分泌されて、粘り気の強いよだれが出ます。
病気が原因のよだれ
歯周病、神経の異常、唾液を分泌する場所の異常などが原因で、よだれの量や色、においに変化が起きることあります。
分泌物の増加としてのよだれ
消化を促すためのよだれ
よだれは、唾液が口の中からあふれたものです。つまり、よだれが分泌される生理的メカニズムは唾液とほぼ同じです。食べ物を目の前にしたとき、あるいは犬が好む食べ物の匂いを感じ取った時、脳から「食べ物を消化するために唾液を分泌せよ」との指令が出されます。まだ、実際に食べ物を食べていなくても、唾液が分泌されるのはそのためです。
体温の調節のためのよだれ
水は、蒸発する時に周りの温度を下げるという性質があります。そのため、人間は汗をかくことによって自分の体温を下げて、体温が上がりすぎないように調節します。
ところが、犬は、人間のように汗をかいて自分の体温を調整することが出来ません。パンティングと言って、口から舌を出し、唾液を蒸発させることで体温を下げます。気温が上がり、体温が上がりやすくなると、唾液の分泌量が増えるために、口から流れ出てるよだれの量も増えます。
リラックスしているためのよだれ
人間にも犬にも、交感神経と副交感神経があります。活動している時は交感神経が働き、リラックスしている時には副交感神経が働いています。
この副交感神経が働くと、唾液の分泌が増え、粘り気の少ない、さらさらしたよだれが出てきます。人間でも深く眠っていると、よだれが口から流れてしまうことがありますが、犬にも同じことが起こります。
車に寄っているためのよだれ
犬の脳の中で、唾液の分泌を促す機能を持つ神経と、吐き気をもよおす神経とが隣接しているため、吐き気をもよおすと唾液を分泌する神経も一緒に刺激を受けるため、車酔いをすると唾液が増えて、よだれを流すようになります。
病気のサインとなる「よだれ」の特徴5つ
1.嘔吐しながらよだれを出している
胃腸になにか異常があるか、異物を食べて中毒を起こしている可能性があります。
2.呼びかけても反応しない
てんかんや脳になんらかの異常が起きているか、あるいはそれらの疾患の前兆の恐れがあります。
3.よだれに血が混じっている
歯、歯茎、舌など、口腔内になんらかの異常があることが考えられます。
4.口臭が強く、よだれも臭い
重度の歯周病のため、口腔内に炎症か、化膿が起こっているかも知れません。
5.腹部が膨らんでいる
異物を飲み込んだか、腸、あるいは胃捻転が起きている可能性があります。
こんな「よだれ」は早急に動物病院へ!
異物を飲んだり、内臓になんらかの問題が起きている場合も、出来るだけ早く獣医さんの診察を受ける必要があります。けれども、以下の3つの症状でよだれを大量に流している時は、一刻を争う切迫した状態なので、早急に動物病院で診察を受けましょう。
- 目がうつろなまま、よだれを出している
- 顔が左右対称ではなく、歪んでいる
- 体のバランスを取ることが出来ていない(フラフラしている)
愛犬の「よだれ」で健康チェックをしてみよう!
緊急性が無くても普段の生活の中で、愛犬のよだれを観察して健康チェックをしてみましょう。
ぬめりが強く、悪臭がしていないか
もし、違和感を感じるほど愛犬のよだれが臭かったら、分泌腺や口内に異常がないか、口の中をよく観察しましょう。
呼吸が荒くないか
よだれの量と呼吸のリズムを観察してみましょう。苦しそうな呼吸をしていて、よだれが増えていて、なおかつ体が熱かったら、体温が上がりすぎて熱中症になっているかも知れません。
吐き気をもよおしていないか
よだれを出しているだけでなく、嘔吐するような仕草をしていたり、吐きたくても吐けない…と言った仕草をしていたら、なんらかの異常がある証拠です。すぐに対応しましょう。
まとめ
愛犬は、言葉で体調の良しあしを私たち飼い主に伝えることが出来ません。普段から目の輝き、口腔内の色、体の温度、排泄物の状態などとともに、よだれの状態もしっかりと観察しておきましょう。そうすれば、なにか異常があった時すぐに気が付き、素早く対処することが出来ます。