特定の季節に気分が落ち込む「季節性うつ病」が犬にもある?
ある特定の季節になると、体のだるさや気分の落ち込みなどの症状が出る「季節性うつ病」、または「季節性情動障害」という気分障害があります。
日本や欧米諸国では、秋から冬にかけて季節性うつ病を訴える人が増えることが知られています。
イギリスの獣医学チャリティ団体「PDSA」が行ったアンケートによると、多くの飼い主がペットの犬や猫にも、季節性うつ病のような状態が見られると答えています。
ペットに表れる季節性うつ病のような症状
秋から冬にかけて日照時間が短くなり、脳内ホルモンの分泌のバランスが崩れることが季節性うつ病の原因のひとつと考えられています。
犬や猫の脳内化学物質は人間と似ている点が多いため、同じことが起こっても不思議ではありません。
前述したPDSAによるアンケートでは、犬の飼い主のうち3人に1人が、「冬の間、犬の気分が低下する」と答えています。
また約半数の飼い主が、「冬の間、睡眠時間が増える」20%の飼い主が、「活動量が低下する」と答えています。
他に寄せられた回答では、「攻撃的になる」「粗相が増える」「散歩に行きたがらない」「甘えたがる」「食欲の増加」などがありました。
また季節性の気分障害とは別に、秋冬に日照時間が減少することで起こる、特定の犬種の季節性の脱毛症というものもあります。
犬や猫の季節性の気分障害については、正式な科学的な研究はありませんが、日照時間の減少がペットの生活に影響を及ぼし、多くの飼い主がそれを確認していることは知っておきたいと思います。
考えられる原因や対策は?
犬が秋から冬にかけて季節性うつ病に似た状態になるのは、脳内ホルモンの他にもいくつか原因が考えられます。
冬の寒さや悪天候のために、外に出る機会が減り運動不足や退屈から来るストレスは考えられる原因のひとつです。
また犬の体質や年齢によっては、寒さから関節の痛みなどが悪化する場合も考えられます。
飼い主が季節性気分障害に苦しんでいる場合、犬が飼い主の気分を察知して影響を受けてしまうことも考えられます。
犬の活動量低下や睡眠量の増加が確認されたら、まずは身体的な病気に罹っていないかどうかを病院でチェックを受けることが最も重要です。
身体的な異常がない場合は、次のような対策を取ってみます。
室内に自然光を取り入れる
できるだけカーテンを開けて、室内で犬が気持ちよく日なたぼっこできる場所を作ってあげましょう。どうしても無理な場合は、光線療法用のライトを取り入れるという手もあります。
できるだけ屋外に出る
寒さ対策をした上で、できるだけ日中の時間に屋外で活動をしましょう。散歩を嫌がるシニア犬なども、抱っこやカートを利用して外気に当たり、日光を浴びることでメリットを受けることができます。
犬を退屈させない
室内での遊びにゲーム玩具を取り入れたり、ノーズワークなど嗅覚を使う遊びをしたりすることで、脳に良い刺激が与えられます。もちろん屋外に出て、ボール遊びや他の犬と遊ぶことは、脳と体の両方にとって大きなメリットです。
まとめ
秋から冬にかけて増えると言われる「季節性うつ病」が、犬にも起こるかもしれないという可能性をご紹介しました。
正式な研究は行われていませんが、そのような傾向を感じている飼い主は確かに多いようです。
冬場の悪天候の時期でも、できるだけ日光に当たり、体と脳の活動量を低下させないように気を配ることが、犬の心身の健康につながると言えますね。
《参考》
https://www.petmd.com/behavior/does-seasonal-affective-disorder-affect-pets
https://www.medindia.net/news/Seasonal-Affective-Disorder-Could-Leave-Pets-Moody-In-Winter-28277-1.htm