犬はレタスを食べても大丈夫!
シャキシャキした歯ごたえが特徴のレタスは、夏にも旬を迎える野菜です。カロリーが低く生で食べても美味しいので、サラダなどでよく食べるという人も多いでしょう。
レタスは与える量や与え方を守れば、犬にとって健康リスクは少ない野菜です。レタスを食べて体調不良を起こしたり腎臓病がなければ食べられるので、おやつやフードのトッピングとして食べさせてあげるのもよいでしょう。
犬は肉食性の強い雑食動物ですが、意外と生野菜が好きな子も多いです。生のままで食べるのであれば飼い主さんも手間がかからないですし、シャキシャキとした食感を好む子もいます。トッピングや手作り食の食材としては、火を通した方が使いやすいかもしれません。体を冷やしたくない場合にも、茹でたり炒めたりして与えるとよいでしょう。
レタスの農薬が心配な場合には、外葉を取り除いて流水で洗ってから与えましょう。
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レタスに含まれる栄養素と期待できる効果
レタスは水分以外に、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを含んでいます。
また同じレタスでも、一般的な玉レタスよりもグリーンレタス(リーフレタス)やサニーレタス、ロメインレタスの方が栄養素を多く含んでいるので、愛犬の栄養を強化したい場合はそのような種類のレタスを食べさせるのもよいでしょう。愛犬の好みも考慮しつつ種類を選んでみてください。
レタスに含まれる栄養素とその役割を解説していきます。
水分が豊富
レタスは、約95%が水分でできている水分豊富な野菜です。水をあまり飲んでくれない犬や、夏場の暑い日の水分補給の補助としてレタスを与えるのがおすすめです。
ただ、後で説明しますように水分が多くカロリーが少ないからと大量に与えてよいものでもありません。犬に与えてよい量のレタスでは、いくら水分豊富な野菜とは言っても摂取できる水分は少量です。あくまでも、乾燥したジャーキーやクッキータイプのおやつを与えることに比べたら水分も摂取できる、くらいに考えましょう。
食物繊維
レタスには食物繊維が含まれています。水分が多いため、食物繊維が豊富とまでは言えませんが、主に不溶性食物繊維を含んでいます。食物繊維は腸内環境を整えてくれる作用があるので、便秘に悩んでいる犬に役立つ可能性がある栄養素です。
カリウム
レタスにはカリウムが多く含まれています。カリウムは、神経や細胞が正常に働くために必要なだけではなく、体内の水分量が正常に維持されるためにも必要な栄養素です。カリウムを多く含む野菜や果物は、利尿作用を持ちます。
抗酸化作用のあるビタミンC、Eなど
体は活性酸素によりダメージを受けて衰えてしまうのですが、抗酸化作用のある物質が働くことで、細胞や血管、ひいては体へのダメージをやわらげてくれます。
特に老犬や病中病後の犬、激しい運動をする犬では、活性酸素の働きを強く抑制してあげたいので、抗酸化作用のある栄養素を意識的に摂取させてあげるとよいでしょう。
普段から抗酸化作用のあるビタミンを充分に摂取していると、免疫力アップや老化抑制などが期待できるので、愛犬に元気で長生きしてもらうために、普段の食事から充分なビタミンCやEなどを摂取できているか確認しましょう。なお、犬は体内でビタミンCを合成することができますし、栄養基準を満たしているドッグフードにはビタミンCもEも充分な量が含まれています。
ビタミンK
レタスに含まれるビタミンKには、カルシウムが骨に定着するのをサポートする働きがあり、質のよい骨を作るのに役立ちます。
レタスは少量ですがカルシウムも含む野菜なので、レタスを食べるだけでカルシウムとカルシウムの働きのサポートをしてくれるビタミンKの両方が一度に摂取できます。
葉酸
葉酸は、赤血球をつくる働きやDNAやたんぱく質の合成を促進する働きがあり、レタスにも含まれています。また、妊娠中の犬では、胎児が正常に発育できるように葉酸をより多く摂取する必要があります。短頭種の犬で、奇形(口蓋裂)の犬が生まれてくる確率が減ったという研究結果もあるそうです。
ラクチュコピクリン
レタスを切ったときに、内部から白っぽい液体が出てきます。その液体には、苦味のもとであるラクチュコピクリンという成分が含まれています。
ラクチュコピクリンには、鎮静作用や抗炎症作用、安眠効果などがあると言われていますが、まだ研究段階にある効果も多いこと、普段食べている種類のレタスに含まれるラクチュコピクリンの量は非常に少ないことなどから、レタスを食べることでこれらの効果が期待できるとは言えないでしょう。
【参考サイト・文献】
荒川浩二郎, 南峰夫, 中村浩蔵, 松島憲一, 根元和洋: “Lactuca属とCichorium属におけるセスキテルペンラクトン含量の変異”, 園芸学研究, Vol. 7, No. 4, pp499-504 (2008).
https://doi.org/10.2503/hrj.7.499
犬が1日に食べてもいいレタスの量
レタスは、低カロリーなのでたくさん食べても太る心配はありませんが、過剰に食べるのもよくありません。
レタスでお腹を満たしてしまうとドッグフードを食べ切れなくて必要な栄養が不足してしまったり、食べ過ぎでお腹を壊したりする場合もあるので、与え過ぎには注意しましょう。
犬が1日に食べてもいいレタスの量の目安は以下の通りです。この量を大幅に越えなければ、与え過ぎにはならないでしょう。
- 超小型犬(体重4kg未満) :1/2枚程度
- 小型犬 (体重10kg以下):1枚~1枚半
- 中型犬 (体重25kg以下):2枚~2枚半
- 大型犬 (体重25kg以上):2~3枚
しかし、犬の体質によっては、この範囲内でも下痢などを起こす可能性もあるため、食べ慣れないうちはごく少量を与えて様子を見てください。
犬にレタスを与える時の注意点
レタスを犬に与える時には注意したい点もいくつかあります。
食べ過ぎることでもたらされるかもしれない害や与え方のコツ、子犬への配慮などをご紹介します。はじめて愛犬にレタスを食べさせる前に、ぜひ一度確認してください。
カリウムの過剰摂取に注意
レタスに含まれる「カリウム」は健康を維持するのに必要な栄養素ではありますが、過剰摂取が問題となることもあります。
カリウムには利尿作用がありますが、非常識なほどの量を食べさせなければレタスを食べたせいで頻尿になったりおもらしをしたりすることはないでしょう。しかし、腎機能が低下している場合にはカリウムを制限しなければならないことがあったりカリウムの摂り過ぎが悪影響を及ぼしたりすることがあります。レタスを時々少量を与える程度であれば問題にならないでしょうが、持病がある犬にレタスを与えたい場合には、かかりつけの獣医師に相談した方が良いでしょう。
レタスの品種による違い
レタスには様々な種類があり、玉レタスよりグリーンレタスやサニーレタス、ロメインレタスに多く含まれる栄養素があるので、栄養を強化したくてレタスを与える場合にはそのような種類のレタスが向いているでしょう。
しかし、十分に主食で栄養を摂取できている犬におやつやトッピングでレタスを与える場合には、水分以外の栄養素が少ない玉レタスを選ぶ方が良いかもしれません。
キシリトールによる中毒のリスク
レタスにはわずかにキシリトールが含まれています。キシリトールはガムなどに使われることの多い成分ですが、犬が食べてはいけないものの一つです。
犬がある程度の量のキシリトールを摂取すると大量のインスリンが分泌され、血糖値が一気に低下して低血糖になってしまうことがあるのです。体重1kgあたり100mg以上のキシリトールの摂取で中毒を起こす可能性があり、ふらつく、吐くなどの症状が出て、最悪の場合は肝不全を起こし死に至ることもあります。
子犬がキシリトール入りのタブレットガムを大量に食べてしまい急死した事例もあるので、犬にとってキシリトールは非常に危険な成分です。
とはいえ、レタスのキシリトール含有量はごくわずかなので、レタスに含まれるキシリトールによって中毒が起きる心配はありません。
【参考文献】
Washüttl, J.; Riederer, P.; Bancher, E. A qualitative and quantitative study of sugar-alcohols in several foods. J. Food Sci. 1973, 38, 1262–1263.
https://doi.org/10.1111/j.1365-2621.1973.tb07257.x
Piscitelli CM, Dunayer EK, Aumann M. Xylitol toxicity in dogs. Compend Contin Educ Vet. 2010;32(2):E1-E4.
消化の負担にならず、体を冷やさない与え方をする
生のレタスを大量に与えると、お腹を壊して下痢をしたりする可能性があります。また漢方の考え方では、レタスは体を冷やす食べ物になります。
細かく刻んでから与えると、少しお腹に優しいでしょう。刻んだものを餌にトッピングしてあげるとよいでしょう。
また冬など寒い時期には、生ではなく茹でたレタスをあげると、体を冷やしにくいかもしれません。茹でることで水に溶けだした栄養素も捨てずに摂取するには、犬用のスープを作って汁ごと飲ませるのがおすすめです。ただし、カリウムの摂取量を減らしたい場合には、カリウムが溶け出している汁は与えないようにしましょう。
子犬に与える時はごく少量を食べさせ様子を見る
子犬は消化器官が未発達なので、体重に見合った量のレタスを与えてもお腹を壊してしまう可能性があります。ごく少量を与えるだけに留めましょう。
食べた後は、体調に問題がないか様子を見てください。下痢や嘔吐をした場合は、レタスを与えるのはやめるようにしましょう。
レタスは、犬にとって欠かせない食べ物ではないので、子犬の体調を心配しながら与える必要はありません。
子犬にレタスを食べさせる場合は特に、細かく刻むとよいでしょう。消化しやすくなるだけではなく、食べやすくなるでしょう。
アレルギー
レタスでアレルギー症状が出た犬は今のところ報告されていませんが、レタスにも少量のたんぱく質が含まれ、人でも少ないながらレタスに対するアレルギーを起こす人がいることから、犬でもレタスアレルギーが起きる可能性を完全に否定することはできません。またレタスは人で、一般的な食物アレルギーの他に遅延型の食物アレルギー、花粉-食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)、接触性皮膚炎(芯を切った時に出る白い液体に触ると)を起こすことがあるそうです。
このようなアレルギー性疾患や体質に合わなくてお腹を壊してしまうことなどがないか確認するため、レタスを与えると嘔吐する、下痢をする、体をかゆがる、フケが出る、皮膚が赤くなるなどの症状が見られないか、気にしておきましょう。もし、何かを食べた後にそのような症状が見られたら、その食べ物はそれ以降食べさせないようにしてください。
人間用に味つけしたレタスは与えない
人間がレタスを食べる時は、ドレッシングやマヨネーズをつけてより美味しく食べられるようにしますよね。ドレッシングやマヨネーズは、塩分や油分を多く含んでいます。犬に与えてはいけないねぎ類を含んでいるドレッシングもあります。
犬にとっては健康によくないものなので、ドレッシングやマヨネーズなどで味つけをしたレタスは与えないようにしましょう。
まとめ
レタスは少量の水分を補給することができる野菜です。また少しずつですが様々な栄養素を含んでいます。
シャキシャキとした食感を好む犬には、おやつやトッピングとして与えやすい野菜です。
1日の適量は体重によって異なりますが、1/2枚~3枚が目安です。食べ過ぎると消化不良を起こしたり体を冷やす可能性があるだけではなく、特に持病がある場合には健康上の問題を引き起こす可能性もあるので与え過ぎないようにしましょう。
慣れないうちや子犬に与える時は、ごく少量を与えて体調を確認してください。
細かく刻むと胃腸への負担が軽くなりますし、茹でると体が冷えにくくなるでしょう。レタスを愛犬に与える場合には、安全に美味しくレタスを食べられるように与え方も工夫してあげてください。