犬にとって銀杏はNG!
秋の味覚のひとつである銀杏は、独特の香りでおつまみとしても人気の食材です。しかし犬に食べさせると中毒症状を引き起こす危険性があるので、食べさせないようにしてください。
銀杏はイチョウの実なので、愛犬との散歩中に公園に植えられていたり街路樹として使われていたりするイチョウの木の下に、銀杏が落ちているのを見かけることも多いでしょう。
犬が銀杏を拾い食いしてしまうと、中毒症状だけでなく殻がついたまま食べることで喉に詰まったり、腸閉塞になったりする危険性もあるので注意が必要です。
またイチョウの葉に含まれるギンコール酸という成分で皮膚がかぶれてしまう場合があるので、銀杏と同じく拾い食いには気をつけましょう。
犬が銀杏を食べてしまったときの中毒症状
小さい実からはなかなか想像できないと思いますが、銀杏には小児で7粒以上、成人で40粒以上摂取すると中毒が起きてしまうとされています。
この中毒症状は犬にもあらわれることが確認されており、銀杏は食べてはいけない食材として注意喚起がされています。食べてしまうと、どのような中毒症状がおこるのかを知っておきましょう。
【銀杏の主な中毒症状】- 呼吸が荒い
- 痙攣(けいれん)
- 意識混濁、めまい
- 嘔吐
- 便秘
- 下痢
- 発熱
- ふらつき
- 不整脈
- 下肢の麻痺
どの症状も個人差はありますが、食後の1~12時間で発症し、24時間ほど症状が続くと言われており、悲しい事に中には死に至るケースもあります。
犬などの小動物は人以上に解毒力が弱く、高確率で中毒を引き起こしてしまいますので、食べさせないように十分に注意をしましょう。
犬にとって危険な銀杏の成分
犬が中毒症状を引き起こす可能性がある成分は次の通りです。
4-0-メチルビリドキシン(MPN)
銀杏に含まれる「4-0-メチルビリドキシン(MPN)」は、痙攣やてんかん発作を引き起こす神経毒です。ビタミンB6の働きを阻害し、熱に強く加熱しても消失しません。
成人が40〜300個を食べると中毒を引き起こすと言われていますが、個人差があるため中毒症状が起こる摂取量について明確ではありません。犬は人間よりも体が小さいため、個体によっては中毒症状になりやすい場合があります。
参考文献:銀杏の食べ過ぎで小児が痙攣を起こす理由とは|DI Online
ギンコライド
「ギンコライド」は触れるだけで皮膚炎や頭痛などを引き起こす毒です。銀杏の殻の部分に付着しており、犬が触れるのは危険です。
また、ギンコライドには血が固まることを防ぐ凝血抑制作用があります。銀杏を食べてしまうと血が止まらなくなる可能性があるので、犬に与えるのはやめておきましょう。
参考文献:イチョウ葉エキス 効能・薬との相互作用 | 飛鳥薬局
犬が銀杏食べて中毒を起こす可能性がある量
犬を散歩していて、銀杏を拾い食いしてしまったという場合、慌てずどれくらいの数を食べたのか確認しましょう。一般的に人間の子どもだと7粒、大人だと40粒ほど食べると中毒症状を引き起こすと考えられています。
犬の場合どれくらいの量で危険な状態になるのかは、はっきりわかりません。個体差はありますが、2~3粒食べても平気な犬もいれば、一粒食べただけで中毒症状を引き起こす犬もいます。
なお、大型犬よりも小型犬、成犬よりも子犬、といったように体格が小さければ小さいほど解毒能力も低く、少ない量で中毒症状があらわれるといわれています。
もしも愛犬が銀杏を食べてしまったら、その数を確認し口のなかに残っていれば取り出してください。食べてから数時間後に中毒症状になる場合もあるので、できれば銀杏を食べたらかかりつけの動物病院に診てもらってください。
犬が銀杏を食べてしまったときの対処法
口にさせないことが一番ですが、「散歩中に落ちていた銀杏を食べてしまった」「料理を作っている最中に落とした銀杏を食べてしまった」など、様々なケースが考えられます。
そこで、万が一愛犬が銀杏を食べてしまった場合の対処法をお伝えしていきます。
口の中に残っているなら取り除く
銀杏を誤飲した時、真っ先に確認してもらいたいのが「口の中に銀杏が残っているか、飲み込んだか」のチェックです。銀杏が口の中に残っているならば、速やかに取り除きましょう。
銀杏は口にしてから数時間後に中毒症状があらわれる場合があります。空気が新鮮で過ごしやすい場所で安静にさせながら様子を見ましょう。
※飲み込んだものを吐かせるのは危険です※
基本的に飼い主の判断で吐き出させるのは危険ですのでやめましょう。オキシドールや食塩を使用する方法が紹介されていますが、専門家でない人が吐かせてしまうのは非常に危険です。
早めに動物病院へ
中毒症状が出ていなくても「口に含んでしまったかもしれない…」と心当たりがあれば、かかりつけの獣医師へ連絡してください。いつもと様子がおかしいと感じた場合は速やかに病院へ連れて行きましょう。
病院へ連れて行く際は、食べてしまった物(かじった残り)を持参する事を忘れないようにしてください。また連絡をするときは「いつ」「どのくらい食べたか」「食べてからどのくらい時間が経ったか」の3点を伝えられるようにしましょう。
銀杏以外に、豆類でも下痢や嘔吐の症状を引き起こす事がありますので、誤って愛犬が食べてしまわないように、家庭内でも心がける必要があります。以下の記事では大豆について記載されています。合わせて参考にしてください。
犬が誤って銀杏を食べないように対策を!
犬にとって銀杏は口にすると危険な食べ物です。散歩道に落ちていることもある一般的な木の実であるため、目を離した隙に犬が口にしてしまう事故も珍しくはありません。
美しく紅葉するイチョウを眺めながら愛犬と散歩をするのは秋ならではの楽しみでもありますが、イチョウ並木が生えている道を通るときは十分に気をつけましょう。
愛犬の拾い食いを予防するためには普段からしつけをしておくことはもちろん、拾い食いしてしまいそうなものが落ちている場所ではリードを短めに持って愛犬の動きを制限するのも効果的です。拾い食いする癖がある愛犬には、銀杏が落ちている場所は避けた散歩コースを選ぶとよいでしょう。
いつもいい子にしている犬でも、うっかり拾い食いや盗み食いをしてしまう可能性はゼロではありません。イチョウの木の周辺を通る時は愛犬から目を離さないようにし、自宅に銀杏がある場合は愛犬の手の届かないところで保管してくださいね。