犬がお茶を飲んでも大丈夫?危険な種類や飲んだ時の症状・対処法

犬がお茶を飲んでも大丈夫?危険な種類や飲んだ時の症状・対処法

現在、お茶は様々な種類が普及し、健康にも良い飲み物だとよく言われます。そこで、愛犬にお茶を与えても良いのか迷うことはありませんか?今回は犬にとって危険なお茶の種類から、誤って飲んだ場合の対処法までをご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬にお茶を与えても大丈夫?

犬にお茶を与えても大丈夫?

お茶は古くから日本人に愛されているだけあって、一般的にお茶と言われてイメージされる緑茶以外にも様々な種類のお茶飲料やお茶を使った加工食品などが販売されています。

また一般的に、お茶は健康に良い飲み物とのイメージがあるため、愛犬にも与えたいと考える飼い主さんもいるのではないでしょうか。

しかし、お茶類の多くには犬に中毒を起こす成分であるカフェインが含まれています。そのため、犬にお茶を与える場合には最低限、カフェインを含まないお茶である必要があります。

またカフェインは、飲み物としてのお茶だけではなく、菓子類や加工食品にお茶が含まれる場合にも入っているため、お茶が含まれる菓子類や加工食品も愛犬へ与えないようにしましょう。

犬が飲むと危険なお茶の種類(カフェインあり)

犬が飲むと危険な可能性がある種類のお茶には、犬が中毒を起こす「カフェイン」が含まれています。具体的には以下のお茶は、犬には飲ませないようにしましょう。これらのお茶は全て、茶葉を用いて作られています。

  • 緑茶(玉露を含む)
  • ほうじ抹茶
  • 抹茶
  • フレーバーティー
  • 紅茶
  • 烏龍茶
  • ジャスミン茶、プーアル茶などの中国茶
  • など

カフェインを含まないお茶の種類

カフェインを含まないお茶は、カフェイン中毒を起こさないという意味では犬が飲んでも大丈夫なお茶です。具体的には、以下のようなお茶がカフェインを含みません。

  • 麦茶
  • はと麦茶
  • 黒豆茶
  • など

また、ハーブティーは、茶葉を使わずに一種類または複数種類のハーブの葉や実などをお茶にしたものです。ほとんどのハーブティーはカフェインを含みませんので、その点では犬に与えても大丈夫でしょう。しかし、薬効のあるハーブや利尿作用の強いハーブティーもありますので、ハーブティーを犬に与えたい場合には、それぞれのハーブについてよく調べたりかかりつけの動物病院に相談したりする方が良いでしょう。

紅茶や緑茶にハーブをブレンドしたり、ハーブで風味付けをしたフレーバーティーがハーブティーと混同されることがよくあるようです。上記の通り、茶葉を使ったお茶はどの種類にもカフェインが一定量以上含まれますので、ハーブだけを使ったお茶とハーブの他に茶葉も使っているお茶を区別することが必要です。

  • タンポポ茶
  • 蕎麦茶
  • など

上記2種類のお茶も、カフェインを含みません。しかし、多く含まれるミネラルや利尿作用があることなどから、犬に与えることはあまりすすめられないでしょう。

ちなみに、市販されているお茶の中に「カフェインゼロ」や「ノンカフェイン」、「カフェインレス」と表記されている商品があります。

一般的に「カフェインゼロ」や「ノンカフェイン」と書かれている商品は、茶葉を使わないお茶でもともとカフェインを含まないものです。「カフェインレス」と書かれている商品は、もともとカフェインを含む種類のお茶を、抽出方法や特殊な技術によってカフェインの含有量を減らしたものです。

コーヒーにおいては、「カフェインを90%以上取り除いたものをカフェインレスと表記する」というルールがあるそうですが、お茶類にはカフェインレスの定義に関するルールはないそうです。つまり、「カフェインレス」と書かれているお茶では必ずしもカフェイン含有量が少ないとは言えない可能性があるので注意が必要です。

犬にカフェイン入りのお茶を与えてはいけない理由

犬にカフェイン入りのお茶を与えてはいけない理由

カフェインは人間が摂取した場合、眠気を覚ます、覚醒作用が強い成分として活用されていますが、摂り過ぎは人間でも中毒を起こします。人間より体の小さなことが多い犬がカフェインを摂取した場合には、飲んでしまったものと量、犬の体格によっては、人間では問題のない量でもカフェイン中毒を起こし、最悪な場合死に至る危険性もあります。

そのため、犬にはカフェイン入りのお茶を与えてはいけません。

カフェイン中毒の症状

愛犬がカフェインを含むお茶類を摂取した場合には、量によっては危険なカフェイン中毒を起こす可能性があります。もし誤ってお茶類を飲食した場合には、以下のような中毒症状がないか、よく愛犬の状態を観察してください。

〈犬のカフェイン中毒症状〉

  • 過度に興奮しているい
  • 振戦(過度なふるえ)
  • 呼吸が荒い速い
  • 頻脈(心拍数が増える)
  • けいれん
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 多飲多尿
  • 尿失禁

犬が中毒を起こすカフェインの量

一般的に緑茶(玉露)100mlにはカフェインが100~160mg含まれているといわれています。また犬は、体重1kgに対して平均で140mgのカフェインで、また少ない場合には100mgのカのカフェインで中毒を起こしたり死亡する可能性があるといわれています。

そのため、体重4kgの超小型犬のワンちゃんであれば、マグカップ1杯の緑茶(玉露)であっても中毒を起こしたり、最悪の場合死に至る危険性があります。

また体重だけでなく、中毒を起こすには体質などの個体差も関係するため、体重1kgあたり100mgより少ない量のカフェインの摂取でも犬が中毒を起こす可能性は十分に考えられます。

犬が危険なお茶を飲んでしまった時の対処法

犬が危険なお茶を飲んでしまった時の対処法

犬が誤って、お茶飲料または茶葉を使用した加工食品を摂取しまった場合には、以下のように対応しましょう。

落ち着いて状況を確認する

愛犬が誤ってカフェイン入りのお茶を飲んでしまった場合、慌ててしまう飼い主さんもいると思います。しかし、まずは落ち着いて以下のことを順番に確認してください。

愛犬の体調や様子に変化はないか

カフェインを多く摂取してしまった場合には、摂取後数十分から2時間程度でワンちゃんに何らかの中毒症状が現れます。まずは、緊急度の把握のため、愛犬に体調の変化がないかどうかを確認するようにしましょう。

摂取状況を把握する

動物病院で獣医師が適切な治療や対応が行えるよう「カフェインの摂取状況」をできる限り把握してください。具体的には、以下の3つを確認すると良いでしょう。

  • いつお茶を摂取しまったのか?
  • どの種類のお茶(お茶飲料、お茶を使用している加工食品)を摂取してしまったのか?
  • どれくらいの量のお茶やお茶の加工食品を摂取してしまったのか?

動物病院へ相談・受診をする

状況を確認し、愛犬の状態に何か変化があったり心配になる量のカフェインを摂取した可能性があれば、速やかにかかりつけの獣医師の診察を受けるようにしましょう。連れて行く前に、動物病院に電話をし、上記の摂取状況を伝えるとよりスムーズに診察や処置が進むでしょう。

動物病院では、愛犬の状態や飼い主さんの話から獣医師が必要と判断すれば、胃の中にあるものをを体外へ出すため胃洗浄を実施することもあります。

また抹茶を食べてしまったけれど、体調には全く変化がみられないという場合でも、後から具合が悪くなることもあります。カフェインの摂取量が多い可能性がある場合には、愛犬の様子が普段通りであっても念のため動物病院へ相談し、獣医師に指示を仰ぐことが適切です。

カフェインを含まないお茶にも注意が必要!

犬に安全なお茶を与える時にも注意が必要

冒頭で、カフェインが含まれていないお茶であれば、犬に与えても大丈夫な可能性があるとお伝えしました。しかし、カフェインが含まれていないお茶であっても、犬に与える場合にはいくつか注意が必要です。また、お茶は嗜好品として人間が楽しんでいるものであり、普段犬に与える必要はないと考えて良いでしょう。

お茶は水に混ぜて薄めてから飲ませる

もしカフェインを含まないお茶を犬に与える場合、人間の飲むお茶の濃度からさらに2~3倍に希釈して与えると良いのではないでしょうか。与え過ぎや犬がお茶ばかり欲しがるようになるのを防ぐのに役立つかもしれません。

病気を抱える犬はミネラルの摂取量に注意する

カフェインを含まないお茶には、ミネラル成分を多く含むものもあります。

そのため、愛犬が尿路結石や腎臓病などの持病を持っていてミネラル制限をしている場合には、お茶類は特に与えない方が良いでしょう。

持病があるワンちゃんに何かしらのお茶を与えたい場合には、必ずかかりつけの獣医師に相談して、許可を得てから与えるようにしましょう。

一日に与える量には注意する

カフェインを含まないお茶にも、利尿作用があるものが多くあります。そのため、ワンちゃんがお茶を飲んだ場合には、排尿の回数が増え、適切な量の水分を摂取しないと脱水に陥る危険性があります。

しかし、一度に大量の水分を摂取することは胃腸などの負担になることもあります。よって、強い利尿作用を起こす量のお茶を犬に与えることは避けましょう。お茶を与えた後、いつもより水を欲しがる、たくさん水を飲んでいると感じた場合は、次に与える時はより少ない量に留めると良いでしょう。

愛犬が穀物アレルギーを持っている場合、お茶を与えない方が良い

カフェインを含まないお茶には、様々な穀物を原料として作られているお茶が多くあります。そのため、愛犬がお米や麦などの穀物にアレルギーをもつ場合には、与えるお茶にはより注意をしましょう。

ブレンド茶には多くの種類の穀物が使われていることがありますので、原料がはっきりしない場合は与えない方が良いでしょう。

まとめ

今回は、犬にとって危険となる可能性のあるお茶の種類から、誤って飲んだ場合の対処法までをご紹介しました。

一般的に体に良いというイメージが強いお茶類には、犬に中毒を起こす成分であるカフェインが含まれることが多いです。絶対にカフェインを多く含むお茶や飲み物は犬に与えないように注意しましょう。

また愛犬が誤ってカフェインが含まれるお茶を摂取してしまった場合には、まずは慌てず落ち着いて、状況を確認し、愛犬の状態や摂取してしまったお茶の種類や量によっては、速やかに動物病院を受診するようにしてください。

そして、もし愛犬にお茶を与える場合には必ずカフェインが入っていないお茶を選び、今回紹介したいくつかの注意点を守ることが大切です。

こちらの記事も参考にしてください。

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