犬が緑茶を飲んでしまうと危険な理由
犬が緑茶を飲んでしまったり、舐めてしまったりすると、「問題ないのだろうか」と不安に感じるものでしょう。
その不安の通り、犬にとって緑茶は危険な飲み物であるため、日常生活での注意が必要です。犬が緑茶を飲まないよう、普段から気をつけなくてはなりません。
犬が緑茶を飲んでしまうと危険な理由は、主に以下の3つです。
- カフェイン中毒になる危険性がある
- 尿路結石の原因となる「シュウ酸」が多く含まれている
- 中毒症状を起こす緑茶ポリフェノールが含まれている
緑茶そのものだけでなく、緑茶パックや緑茶パウダー、加工品などにも注意が必要です。犬が緑茶を飲んでしまったり食べたりしたら危険な理由について解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
カフェイン中毒になる危険性がある
犬が緑茶を飲むとカフェイン中毒になってしまう危険性があります。何故ならカフェインは神経を刺激する働きがある成分だからです。
人間の眠気覚ましにも使われているコーヒーですが、カフェインを多く含む飲み物として知られていますよね。しかしコーヒーだけでなく、緑茶にも大量のカフェインが含まれているのです。
犬がカフェインを吸収するスピードは早いため、短時間で中毒症状が出る可能性があります。また犬が摂取すると、少量でも体調を崩してしまう可能性があるでしょう。
飲んだのが微量でまったく体調に変化がない時を除き、基本的には動物病院の受診がおすすめです。
尿路結石の原因となる「シュウ酸」が多く含まれている
緑茶には尿路結石の原因となる「シュウ酸」も多く含まれています。シュウ酸は人間にとっても、摂取しすぎると尿路結石を引き起こす成分です。
必要以上にシュウ酸を摂取すると、体内にあるカルシウムと結合し、尿路結石を引き起こしてしまいます。そして尿路結石が進むと、血尿や痛みなどが出てしまうのです。そのため犬には緑茶を飲ませないように注意しなくてはなりません。
中毒症状を起こす緑茶ポリフェノールが含まれている
緑茶には中毒症状を起こす緑茶ポリフェノールも多く含まれています。緑茶ポリフェノールも、人間にとっては良い効果が期待できる成分です。
しかし犬が摂取すると下痢を始めとする中毒症状を引き起こすリスクがあります。さらに緑茶ポリフェノールが体内に蓄積すると肝臓にダメージを及ぼす可能性もあるため、注意しましょう。
犬が飲むと危険とされる緑茶の量は?
犬が飲むと危険とされる緑茶の量を、具体的な数値で紹介します。カフェイン中毒の危険がある量は、体重1キロあたり約20ミリグラム以上です。
犬のカフェイン摂取量が40~50ミリを超えると、循環機能に影響を与える可能性が高いでしょう。カフェインによる致死量は、犬の体重1キロあたり、約150ミリグラムだと考えられています。
- 体重3キロの犬が中毒症状を起こす可能性がある量……約60グラム
- 体重3キロの犬でのカフェインによる致死量……約450グラム
100ミリリットルの煎茶に含まれているカフェインが、約20ミリグラムです。体重3キロの犬であれば、コップ1杯程度の緑茶でも中毒症状を引き起こす可能性があります。
ただし飲んだのが規定量以下だとしても体調不良を引き起こしたり、死亡したりするリスクが否定できません。内臓が未発達な子犬や身体機能が落ちている老犬や病気を持つ犬ならさらに量は下がります。
「犬に緑茶はNG」と知っていても気づかないうちになめられてしまう可能性もあるでしょう。カフェインを吸収するスピードが早いとはいえ、少しなめた程度なら大丈夫かもしれません。
しかし飲んだ緑茶が少量だとしても体調に変化がないか必ず様子を見るようにしてください。
犬が緑茶を飲むと起こる症状
犬が緑茶を飲んだことで引き起こすカフェイン中毒の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。カフェイン中毒の症状自体を知らなければ、まったく気づかない可能性もありますよね。
そこでカフェイン中毒で考えられる症状について、確認しておく必要があります。
主なカフェイン中毒の症状は、以下のようなものです。
- 消化器症状(嘔吐下痢血便食欲不振)
- 循環器症状(呼吸速拍頻脈)
- 神経症状(異常な興奮状態痙攣てんかん発作震え)
カフェイン中毒の症状は一般的に摂取後30分程度で現れます。しかし直後に症状が出ない場合であっても、48時間は様子を見る必要があるでしょう。犬のカフェイン中毒では、嘔吐・下痢・興奮状態などが特に多い中毒症状です。
また呼吸の深さと数が多くなる「呼吸速拍」という症状が見られることもあります。痙攣やてんかん発作が出ているのなら、症状が重篤である可能性が高いでしょう。
ただし素人診断をするのは大変危険です。症状が出ているようなら、程度に関わらず動物病院を受診してください。
犬が緑茶を飲んでしまった時の対処法
犬が緑茶を誤飲してしまった時は、基本的に自宅でできる対策がありません。もし緑茶を軽く舐めた程度だけであり、まったく症状が出ていないのであれば少し様子を見てもよい可能性があります。
しかし緑茶を飲んだ後に普段と様子が違ったり、何か症状が出たりしているのならなるべく早く動物病院を受診してください。
動物病院の受診時には、以下の情報を獣医師に伝えるとスムーズです。
- 緑茶を飲んだ時間
- 緑茶を飲んだ量
- 嘔吐下痢血便などの回数
- 上記の他に確認した症状
もちろんすべての症状をチェックできていない可能性も考えられます。その場合は分かる範囲で構いませんので飲んだ時の状況や、犬に出ている症状を獣医師に伝えましょう。獣医師は飼い主からの情報と、犬の様子を見て処置してくれます。
犬にとって緑茶の加工品も危険!
緑茶を飲ませるのを避けるだけでなく、緑茶の加工品も犬には与えないようにしましょう。人間が食べたり飲んだりしていると犬も興味を示すものです。
しかしながら「少量なら飲んでも大丈夫だから」「犬が好きそうだから」と与えるのはNGです。具体的な緑茶の加工品例としては以下のようなものがあります。
- 緑茶アイス
- 緑茶ケーキ
- 緑茶クッキー
- 粉茶
- 緑茶エキス
アイス・ケーキ・クッキーなど人間が食べるための緑茶加工品は人間用に味つけがされています。粉茶や緑茶には味つけがされていないものの、成分から犬に与えるのは危険です。そのため緑茶加工品は犬が届かない場所で管理するのが良いでしょう。
緑茶に関連するもので例外として考えられるのが、緑茶に含まれる成分の「カテキン」です。カテキンは犬の口臭予防に効果が期待できるとして、ドッグフードやおやつなどに使われています。
またカテキンを使用したペットシーツや、消臭スプレーなども人気です。もちろん犬専用につくられている製品であれば、犬に使用しても問題ありません。しかし人間用の加工品については犬が好きそうだとしても飲ませるのはやめましょう。
まとめ
カフェイン中毒や尿路結石などを引き起こすリスクが高いため、犬に緑茶は飲ませないようにしましょう。軽く舐めた程度では問題ないと考えられますが、その場合も様子を見なくてはなりません。
茶葉や粉茶などを床に落としたなら、犬が舐めてしまう前に掃除機で吸い取ってください。人間がおやつに緑茶加工品を食べる時も、犬には与えないように気をつけましょう。食べかすにも要注意ですね。
日本人にとって、緑茶は非常に馴染み深い飲み物ですよね。健康の維持を目的として、毎日欠かさずに緑茶を飲んでいる方も多いでしょう。
だからこそ愛犬との暮らしでは、緑茶や緑茶加工品の取り扱いに注意する必要があります。愛犬の健康を損ねないためにもぜひ毎日の暮らしで緑茶の取り扱いに気をつけてくださいね。