タイワンドッグ|犬種の特徴と性格、飼い方や価格相場まで解説

タイワンドッグ|犬種の特徴と性格、飼い方や価格相場まで解説

タイワンドッグ(台湾犬)の性格、特徴、飼い方を徹底解説。忠実で賢い反面、警戒心が強く初心者には難しい?必要な運動量やしつけのコツ、平均寿命、価格相場、ブリーダーの探し方までまとめて紹介します。

タイワンドッグの特徴

草むらに立っている若齢のタイワンドッグ

  • 正式名称:タイワンドッグ/Taiwan Dog(Formosan Mountain Dog)
  • 原産国:台湾
  • サイズ:中型犬
  • 体高:オス 48〜53cm / メス 43〜48cm
  • 体重:オス 14〜18kg / メス 12〜16kg
  • 被毛:短毛・シングルコート(個体差あり)
  • 毛色:ブラック、ブリンドル、フォーン、ホワイト ほか
  • 寿命:12〜16年
  • 性格:忠実、警戒心が強い、独立心がある、知能が高い
  • 役割:猟犬、番犬、伴侶犬

タイワンドッグ(台湾犬)は、台湾原産の中型犬で、筋肉質で引き締まった体つきと精悍な顔立ちが特徴です。

台湾の険しい山岳地帯で猟犬や番犬として活躍してきた犬種であることから、無駄のない力強い体型や野性的な雰囲気が色濃く現れています。

中型で引き締まった体型

タイワンドッグは中型犬に分類され、オスは体高(地面から背中までの高さ)が48cm~53cm、体重は14kg~18kgほどです。メスは体高が43cm~48cm、体重は12kg~16kgほどで、日本で馴染み深い柴犬よりもやや大きめです。

鋭い顔立ちと立ち耳

目はアーモンド型で濃いブラウン色をしており、耳は薄くて鋭敏な「立ち耳」です。鼻先から口元にかけて(マズル)は適度な長さで細く引き締まっており、オオカミのような野性的で鋭い印象を与えます。

短毛で暑さに強い被毛

タイワンドッグの被毛は硬く短い毛が密集して生えており、湿気や暑さに適しています。

下毛が少ないシングルコートの個体が主流とされますが、地域や個体によっては細い下毛(アンダーコート)を持つダブルコートの場合もあります。被毛は短いためお手入れは簡単で、抜け毛や体臭も比較的少なめです。

尻尾は巻き尾(鎌尾)

尻尾は根本が太く、先端に向かって細くなる独特な「巻き尾(鎌尾)」の形状をしており、活動時には背中の上で緩やかに弧を描くように巻き上げます。この尻尾の形はタイワンドッグの大きな特徴の一つです。

タイワンドッグの性格

家の前で番犬をしているタイワンドッグ

タイワンドッグは忠誠心が非常に強く、家族と認めた相手に対して深い愛情を示します。その一方、警戒心も強く、知らない人や動物に対しては慎重で距離を置く傾向があります。

こうした気質から、一人の飼い主や家族に特に強い絆を示す「ワンファミリードッグ(One-family dog)」とも呼ばれています。

賢さと独立心を併せ持つため、しつけには一貫した態度と明確な指示が必要です。初心者が気軽に飼うにはやや難しいですが、適切な運動やしつけを提供できる家庭では、生涯を通じて信頼できる最高のパートナーになります。

タイワンドッグの毛色

ブリンドルの毛色のタイワンドッグのアップ

タイワンドッグの毛色は台湾の自然環境に馴染むアースカラーが特徴です。

代表的な色は、ブラック(黒)、ブリンドル(虎毛)、フォーン(淡い黄褐色)、ホワイト(白)などで、これらが混じり合った「ホワイト&ブラック」「ホワイト&フォーン」「ホワイト&ブリンドル」といったパターンも見られます。

特にブリンドルは、タイワンドッグらしい野性的な魅力を引き立てるとして人気の毛色です。

タイワンドッグの寿命

砂浜に座って遠くを見つめるタイワンドッグ

タイワンドッグの平均寿命は12〜16年程度で、中型犬としては比較的長生きな犬種です。台湾の厳しい自然環境で鍛えられてきた歴史から、遺伝的な病気が少なく、丈夫で健康な個体が多いと言われています。

健康寿命を延ばすためには、日常的に十分な運動をさせること、高品質な食事を与えること、そして定期的な健康診断を行い、病気の早期発見や予防を心がけることが大切です。

タイワンドッグがかかりやすい病気

書類の上に置かれた聴診器

タイワンドッグは全体的に強健な犬種ですが、中型犬に多く見られるいくつかの病気や遺伝性疾患には注意が必要です。

特に活動的で運動量が多い犬種であるため、関節や目のトラブルには日頃から気を配ることが大切です。病気の早期発見と予防には、日常的な健康チェックや定期検診を欠かさないようにしましょう。

股関節形成不全

股関節形成不全は、大腿骨が骨盤の関節部分にうまく収まらないために起こる病気です。

タイワンドッグにおいては発症例がそれほど多くないものの、激しい運動や肥満、遺伝的要素が影響するため、歩き方がおかしい(腰を左右に振る、不自然な跳ね方をする)と感じたら、早めに獣医師の診察を受けましょう。

皮膚疾患

タイワンドッグは高温多湿の環境に適応していますが、日本の梅雨や夏季など湿度の高い時期には、細菌性やアレルギー性の皮膚炎を起こしやすい傾向があります。

特に被毛が短い個体では皮膚への刺激やダメージが直接伝わりやすいため、日頃から皮膚の状態をよく観察し、清潔を保つよう心がけましょう。

進行性網膜萎縮症(PRA)

進行性網膜萎縮症(PRA)は、網膜が徐々に機能を失い、最終的に失明に至る可能性がある遺伝性の病気です。

タイワンドッグでは症例報告は少ないものの、初期症状である暗所での視力低下(夜盲症)がみられる場合は注意が必要です。夜間や薄暗い場所で動きが鈍くなったり、物にぶつかったりするようなら、早めに眼科専門の獣医師に診てもらいましょう。

タイワンドッグの飼い方

リードを着けた状態で外出しているタイワンドッグ

タイワンドッグは非常に活動的で知能が高い犬種であり、十分な運動量を確保することが飼育上最も重要です。

毎日の運動を適切に行うことで、ストレスや問題行動を防ぎ、健康的で安定した生活を送らせることができます。初心者にはやや難しい犬種のため、飼育経験が豊富で活動的なライフスタイルを送れる家庭が適しています。

必要な運動量と環境

タイワンドッグはもともと狩猟犬として活動していた歴史を持ち、毎日一定量の運動が欠かせません。

散歩は1日合計で1〜2時間程度を目安に、年齢や健康状態に応じて回数や時間を調整します。散歩だけでなく、広い場所でボール遊びやジョギングをするなど、運動のバリエーションを増やすことも推奨されます。

室内だけの生活や、狭いスペースで長時間過ごさせることはストレスの原因となるため注意しましょう。

食事に関する注意点

活発に運動するタイワンドッグの食事は、筋肉をしっかり維持できるよう、高タンパクで質の良いドッグフードを与えることが重要です。

年齢や運動量に応じて適切な給与量を調整し、食事後は新鮮な水をいつでも飲めるように準備しておきます。栄養バランスの整った食事を選ぶことで、病気の予防や健康寿命の延伸にもつながります。

日常のケア

タイワンドッグは短毛のため日常の手入れは比較的簡単で、定期的なトリミングは不要です。ただし、抜け毛は少ないとはいえ、週に1〜2回程度はブラッシングを行って皮膚の健康を保ちましょう。

シャンプーは月1回程度を目安とし、皮膚の状態を確認しながら行うことが大切です。これらを適切に行うことで皮膚病を予防し、体臭を抑えることもできます。

タイワンドッグのしつけ方

隣に立つ飼い主を見上げるタイワンドッグ

タイワンドッグは知能が高く学習能力に優れている反面、自立心が強く頑固な一面も持ち合わせています。そのため、子犬の頃から一貫した態度と明確なルールを示し、飼い主がリーダーであることをはっきりと伝える必要があります。

特に重要なのは早期の社会化で、幼いうちから家族以外の人や他の犬、さまざまな環境や音に触れさせ、警戒心を和らげておきましょう。

しつけの際は、良い行動をした瞬間に褒めて伸ばす「陽性強化法」を中心に行い、問題行動に対しては感情的にならず、短く明確な指示で修正していくことがポイントです。

適切なしつけが行われれば、タイワンドッグは生涯を通じて忠実なパートナーとして飼い主に寄り添います。

タイワンドッグの歴史

朝日が差している台湾の山々

タイワンドッグ(フォルモサン・マウンテン・ドッグ)は、台湾の険しい山岳地帯を原産地とする土着犬で、その歴史は数千年前にさかのぼると考えられています。

古くから台湾の原住民と共に暮らし、主に狩猟犬や集落を守る番犬として人々を支えてきました。東南アジアのパリア犬を祖先とする説が有力で、17世紀以降のオランダ統治時代や日本統治時代には外来犬種との交雑が進んだ影響で、純血のタイワンドッグは激減し、一時は絶滅の危機にも直面しました。

しかし1970年代以降、台湾大学などの研究機関が中心となって純血種保存の取り組みが始まり、山岳地帯に残る個体を中心に繁殖が行われました。

2015年にはFCI(国際畜犬連盟)によって暫定的に公認され、現在では国際的にも認知される犬種となっています。

タイワンドッグのブリーダーを探す方法

ペットの輸送用キャリーケース

タイワンドッグは日本国内では極めて希少な犬種であり、専門的に繁殖を行っているブリーダーはごく少数に限られます。国内のペットショップで見かけることはほとんどないため、主に台湾現地のブリーダーから直接輸入する方法が一般的です。

台湾のブリーダーとコンタクトを取る際には、現地の犬舎情報を提供する専門の輸入代行業者を介して手続きを行うことが推奨されます。

輸入にあたっては空輸費用のほか、日本入国時の動物検疫が必要で、手続きに関する最新情報は農林水産省動物検疫所の公式サイトで事前に確認しておきましょう。

また稀に、国内の里親募集サイトや保護犬団体でタイワンドッグを見かけることもあるため、並行して情報を収集しておくとよいでしょう。

タイワンドッグの価格相場

小さな犬の置物と電卓

タイワンドッグは国内での流通数が非常に少ないため、はっきりとした価格相場は確立されていません。

台湾現地のブリーダーから購入する場合、生体の価格は5万〜20万円ほどですが、血統や繁殖実績によって大きく変動します。これに加えて、日本への輸送費、輸入代行手数料、動物検疫費用などが必要となるため、総額は数十万円〜場合によっては100万円近くになることも珍しくありません。

アメリカやヨーロッパではタイワンドッグの認知度が徐々に高まっていることから、生体価格は10万〜30万円(1,000〜2,500米ドル)程度で取引されていますが、こちらも希少性や血統によって大きな差があります。

まとめ

正面を見つめるタイワンドッグの顔のアップ

タイワンドッグは台湾原産の中型犬で、精悍な見た目と忠実で警戒心の強い性格が特徴です。特に家族に対する絆が深く、「ワンファミリードッグ」とも呼ばれています。

知能が高く自立心が強いため、飼い主には一貫したリーダーシップと十分な社会化が求められます。強健な犬種ですが、股関節形成不全や皮膚疾患、眼病などには注意が必要です。

国内では希少で入手が難しく、飼育には運動量の確保と高品質な食事、適切なケアが欠かせません。初心者には難易度が高い犬ですが、適切な環境と飼育経験があれば生涯の素晴らしいパートナーとなります。

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