スタンダード・シュナウザー|犬種の特徴と性格、販売価格の相場からブリーダーの探し方まで解説

スタンダード・シュナウザー|犬種の特徴と性格、販売価格の相場からブリーダーの探し方まで解説

スタンダード・シュナウザーの性格や飼いやすさを知りたい方へ。飼い方のコツ、しつけ、必要な運動量、価格相場、平均寿命、かかりやすい病気まで詳しく解説。ミニチュア種との違いも比較し、飼う前に知っておくべき全てがわかります。

スタンダード・シュナウザーの特徴

屋外の地面に立っているスタンダード・シュナウザー

  • 犬種名:スタンダード・シュナウザー(Standard Schnauzer)
  • 原産国:ドイツ
  • 分類:中型犬(作業犬グループ)
  • 体高:45〜50cm
  • 体重:14〜20kg
  • 毛色:ソルト・アンド・ペッパー、ブラック(黒)
  • 性格:賢く忠実、警戒心が強く家族思い
  • 寿命:12〜15歳

スタンダード・シュナウザーはドイツ原産の中型犬で、力強くバランスのとれた体格を持ちます。日本でも愛好家はいますが、ミニチュア種に比べると飼育頭数は多くなく、希少な犬種のひとつです。

頑丈な体と特徴的な顔立ち、そして知的な雰囲気が魅力です。

3サイズの原型となった中型犬

シュナウザーには体の大きさによって3種類があります。

最も小さいミニチュア・シュナウザー、最も大きいジャイアント・シュナウザー、そしてその中間に位置するのがスタンダード・シュナウザーです。

スタンダードは他の2種の原型となった犬種で、歴史的にも中心的な存在とされています。

体格(体高・体重)

スタンダード・シュナウザーの体高は45〜50cm、体重は14〜20kgが目安です。

体長と体高がほぼ同じスクエア体型で、がっしりとした筋肉質の身体をしています。中型犬としては運動能力が高く、持久力にも優れます。

顔立ちと印象

この犬種を象徴するのが、ドイツ語で「口先」を意味する「Schnauze(シュナウツェ)」に由来する立派な口ひげと長い眉毛です。

精悍な見た目と聡明さを感じさせる表情が特徴で、家庭犬としても存在感があります。被毛が黒の個体ではより引き締まった印象を与えます。

耳と尾の形状

耳はボタン耳(垂れ耳)、尾は長く先細りの形状です。

かつては作業時の安全性を考慮して断耳・断尾が行われていましたが、現在の日本やヨーロッパでは自然な姿が主流です。ただし、一部のドッグショーでは断尾された個体が見られることもあります。

医療上の必要がない断耳・断尾は国や団体によって見解が異なるため、事前に最新のガイドラインを確認しましょう。

被毛のタイプ

スタンダード・シュナウザーの被毛は硬いトップコートと柔らかいアンダーコートからなるダブルコート構造で、「ワイヤーヘア」と呼ばれます。

抜け毛は少ない部類ですが、毛は伸び続けるため、1〜2か月ごとのトリミングが必要です。硬質な毛並みを保つには、専門トリマーによるプラッキングを依頼すると良いでしょう。

スタンダード・シュナウザーの性格

丸太の上を楽しそうに飛び越えるスタンダード・シュナウザー

スタンダード・シュナウザーは、家族に深い愛情を注ぐ忠実な性格の持ち主です。

知能が高く、しつけへの理解も早い一方で、リーダー不在だと自己判断で行動することもあります。飼い主が落ち着いた態度で一貫したルールを示すことが大切です。

また、見知らぬ人や音に対して敏感に反応する警戒心の強さも特徴です。適切に社会化されれば、番犬として頼もしい存在になります。

退屈を感じるとストレスからいたずらをすることがあるため、毎日の運動や知育トレーニングを取り入れましょう。

子犬期からの社会化と穏やかなコミュニケーションを意識することで、家族に寄り添う穏やかで思慮深い家庭犬に育ちます。

スタンダード・シュナウザーの毛色

原っぱで正面を見つめながら立つスタンダード・シュナウザー

公認されている毛色はソルト・アンド・ペッパーとブラック(黒)の2種類です。

ソルト・アンド・ペッパーは1本の毛に白・黒・グレーが混じり合うことで全体に灰色がかった色合いを見せ、柔らかく上品な印象を与えます。一方、ブラックは全身が漆黒の毛で覆われ、力強く引き締まった印象です。

どちらの色もワイヤーコート特有の硬さと光沢を備えており、毛色によって毛質が変わることはありません。

スタンダードではこの2色が基本で、他の毛色――たとえば茶色やホワイトは公認されていません。ミニチュア・シュナウザーでは色の種類が多い一方で、スタンダードは伝統的な2色に限定されています。

スタンダード・シュナウザーの価格相場

植え込みの花の前で立ち上がるスタンダード・シュナウザーの子犬

スタンダード・シュナウザーの子犬の値段は、一般的に30万〜50万円ほどが相場です。

日本では飼育頭数が少なく、専門ブリーダーの数も限られているため、価格はやや高めの傾向があります。血統や月齢、毛色、親犬の遺伝子検査の有無などによっても差が生じます。

流通量が少ないため、ペットショップでの取り扱いは非常に稀で、販売は専門ブリーダーによる直販が中心です。ブリーダー直販では中間コストが抑えられる一方、繁殖環境や血統の質によっては価格が上がることもあります。

また、国内で個体が少ないため、海外ブリーダーからの輸入を検討するケースもあります。

輸送費や検疫手続きが必要となるため、総額が60万円を超えることもあります。海外から迎える場合は信頼できる仲介業者を選び、健康証明や血統書を必ず確認しましょう。

※価格は2025年時点の目安で、為替や需要によって変動します。
※購入時は価格だけで判断せず、健康状態やブリーダーの信頼性を重視してください。

スタンダード・シュナウザーのブリーダーを探す方法

芝生の上を歩くスタンダード・シュナウザーの子犬

スタンダード・シュナウザーを迎える場合は、信頼できるブリーダーから譲り受けるのが一般的です。

日本では飼育頭数が少ないため、ペットショップでの取り扱いはほとんどありません。ジャパンケネルクラブ(JKC)などの犬種登録団体や、犬種クラブの公式サイトから専門犬舎を探すと良いでしょう。

見学の際は、実際に犬舎を訪ね、飼育環境や親犬の健康状態を確認することが重要です。

清潔で換気が行き届いているか、親犬が穏やかに過ごしているかを観察し、繁殖家が犬種に対して深い知識と愛情を持っているかを見極めましょう。

遺伝性疾患のリスクを避けるためには、親犬が遺伝子検査を受けているかどうかも確認しておくと安心です。

日本国内で出会う機会が少ない場合は、海外ブリーダーからの輸入という方法もあります。ただし、輸送費・検疫費用・各種書類申請が必要になるため、費用と時間の負担は大きくなります。

信頼できる仲介業者や輸入経験のある飼い主に相談するのが安全です。

また、スタンダード・シュナウザーは希少犬種のため数は限られますが、保護犬や引退犬を里親として迎える方法もあります。動物保護団体や譲渡会を定期的にチェックしてみましょう。

スタンダード・シュナウザーの飼い方

屋外で飼い主とトレーニングするスタンダード・シュナウザーの子犬

スタンダード・シュナウザーは活発で知的な犬種であり、適切な運動としつけを組み合わせることが快適な生活の鍵となります。家族との関わりを大切にするため、室内飼育が基本です。

必要な運動量

もともと農場で働いていた犬種のため、十分な運動を毎日行うことが重要です。1日合計で60〜90分を目安に、朝晩2回の散歩を中心とした活動を取り入れましょう。

ジョギングやボール遊びのほか、嗅覚を使うノーズワークなど頭を使う遊びもおすすめです。運動不足はストレスや問題行動につながるため、家族全員で運動の時間を習慣にしましょう。

しつけ

非常に賢く学習能力が高い一方で、独立心が強い面もあります。強制的なしつけではなく、褒めて伸ばす陽性強化トレーニングを行うことで信頼関係を築けます。

特に子犬期の社会化は欠かせず、さまざまな人や音、環境に慣らすことで成犬になってからも落ち着いて行動できるようになります。

飼育環境

中型犬としては運動量が多く、関節への負担も考慮が必要です。室内では滑りにくい床材やマットを使用し、安全に動ける環境を整えましょう。

また、ダブルコートで暑さにやや弱いため、夏の日本の気候では冷房を使用して温度管理を徹底することが大切です。寒暖差に注意し、快適な室温を保ちましょう。

お手入れ

ワイヤーコートは伸び続けるため、1〜2か月に1度のトリミングが必要です。自宅でのブラッシングに加え、専門のトリマーによるプラッキングを定期的に行うと被毛の質を維持できます。

食後は口ひげを清潔に保ち、雑菌の繁殖を防ぎましょう。健康維持の一環として、必要に応じてペット保険の加入も検討しておくと安心です。

スタンダード・シュナウザーの寿命

遠くを見つめるスタンダード・シュナウザーの顔のアップ

スタンダード・シュナウザーの平均寿命は12〜15歳程度で、中型犬としては比較的長寿な部類に入ります。

適正な体重を保つことが健康維持の基本であり、肥満は関節や心臓に負担を与えるため注意が必要です。

毎日の適度な運動と栄養バランスの良い食事に加え、年1〜2回の健康診断を習慣化しましょう。特にシニア期(7歳頃)以降は血液検査や歯科チェックも併せて行うと、病気の早期発見につながります。

日常的なケアを心がけることで、愛犬とより長く健やかな時間を過ごすことができます。

スタンダード・シュナウザーのかかりやすい病気

診察台で獣医師に聴診されているスタンダード・シュナウザー

スタンダード・シュナウザーは比較的丈夫な犬種ですが、いくつか注意したい疾患があります。定期的な健康診断と観察で早期発見を心がけましょう。

股関節形成不全

中型犬に多い遺伝性疾患のひとつで、成長期に関節が正しく形成されない病気です。

歩き方が不自然になったり、立ち上がりを嫌がったりする場合は注意が必要です。成長期に激しい運動を避け、適正体重を維持することが予防につながります。

進行性網膜萎縮症(PRA)

網膜が徐々に機能を失う遺伝性疾患で、進行すると失明に至ります。

初期段階では夜間視力の低下が見られる場合があります。ブリーダー選びの際は、親犬が遺伝子検査を受けているか確認しましょう。

シュナウザー面皰症候群

背中を中心に黒い面皰(ニキビ状のできもの)が現れる皮膚疾患です。

多くの場合、痛みはありませんが、放置すると炎症を起こすこともあります。定期的なシャンプーや皮膚の清潔保持で予防が可能です。

尿路結石症

尿の濃縮や水分不足によって発症しやすい病気です。排尿時の痛みや血尿が見られる場合はすぐに受診しましょう。水分補給と食事管理が最も効果的な予防法です。

甲状腺機能低下症

代謝を調整するホルモンの分泌が減少し、体重増加や被毛のパサつきが現れます。早期に発見すれば薬でコントロールできるため、年齢を重ねたら定期検査をおすすめします。

医療費負担が心配な場合は、ペット保険を活用するのも良い方法です。

スタンダード・シュナウザー以外の種類

床に伏せているサイズの違う2頭のシュナウザー

シュナウザーには種類が3つあり、サイズによって区別されています。

最も小さいミニチュア・シュナウザー、中型のスタンダード・シュナウザー、そして最大のジャイアント・シュナウザーです。

大きさの比較では、ミニチュア<スタンダード<ジャイアントの順になります。

ミニチュア・シュナウザーは家庭犬として人気が高く、飼いやすい小型犬として日本でも多く見られます。一方、ジャイアント・シュナウザーは警戒心と体力に優れ、警察犬や作業犬として活躍しています。

それぞれのサイズで性格や適性が異なるため、生活環境や飼育経験に合ったサイズを選ぶことが大切です。

スタンダード・シュナウザーの歴史

原っぱを駆けるスタンダード・シュナウザー

スタンダード・シュナウザーはドイツ南部バイエルン地方を起源とする古い犬種です。

中世には農場で害獣駆除や見張りなど、多目的な作業犬として働いていました。「Schnauze(口先)」に由来する名の通り、口ひげのある顔立ちが特徴で、19世紀末には正式に犬種として公認されました。

20世紀には作業犬としての資質を活かし、より大きなジャイアント・シュナウザーと、家庭向けに小型化されたミニチュア・シュナウザーが誕生しました。現在も原型種としての気質と均整の取れた体格を持ち、世界中で愛されています。

日本では愛好家の間で長く支持されており、希少犬種ながら根強い人気があります。

まとめ

原っぱに伏せてくつろぐ2頭のスタンダード・シュナウザー

スタンダード・シュナウザーは、知性と忠実さを兼ね備えた中型犬です。家族への愛情が深く、しつけやすい反面、警戒心が強いため子犬期からの社会化が重要です。

被毛はワイヤーコートで抜け毛が少なく、定期的なトリミングが必要です。 寿命は12〜15歳程度で、運動と体重管理、健康診断を習慣にすれば長く健やかに過ごせます。

希少性の高い犬種のため、信頼できるブリーダーや犬舎を通じて迎えるのが理想的です。知的で忠実なこの犬は、適切な飼い方を実践できる家庭にとって最高のパートナーとなるでしょう。

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