アメリカンブリー|犬種の特徴と性格、飼う際の注意点や値段の相場などを詳しく解説

アメリカンブリー|犬種の特徴と性格、飼う際の注意点や値段の相場などを詳しく解説

アメリカンブリーの性格は本当に穏やか?その特徴、種類(ポケット、XL等)、飼い方の注意点を徹底解説。ピットブルとの違い、値段相場、必須のしつけ、かかりやすい病気まで。アメリカンブリーの飼育情報ならここ。

アメリカンブリーの歴史

リードでつないだ状態でお座りするアメリカンブリー

  • 犬種名:アメリカンブリー(American Bully)
  • 原産国:アメリカ合衆国
  • 分類:コンパニオンドッグ(家庭犬)
  • 体高:33〜57cm(タイプにより異なる:ポケット〜XL)
  • 体重:15〜45kg前後
  • 被毛: 短毛・スムースコート(光沢あり)
  • 毛色:すべての色・パターンが認められる
  • 性格:穏やかで忠実、家族思い
  • 寿命:10〜13年
  • 原種:アメリカン・ピット・ブル・テリア、アメリカン・スタッフォードシャー・テリアなど
  • 飼育難易度: 中〜やや上級者向け(しつけと管理が重要)

アメリカンブリーは、1980年代後半から1990年代にかけてアメリカで誕生した比較的新しい犬種です。

アメリカン・ピット・ブル・テリアやアメリカン・スタッフォードシャー・テリアを基礎に、より穏やかで家庭に向いた性格を持つ犬を目指して改良されました。闘犬のような攻撃性を排除し、筋肉質ながらも温厚で社交的な性質が重視されています。

「ブリー(Bully)」という名前は、中世の闘牛競技“bull-baiting”に由来する「ブル系犬」を指す通称から来ています。「いじめっ子」という意味の英単語ではなく、力強くがっしりした体型を持つ犬種を表す言葉です。

2004年にはアメリカでABKC(American Bully Kennel Club)が設立され、犬種標準が制定されました。現在は「ポケット」「スタンダード」「クラシック」「XL」など体格別に分類され、世界的にも認知が広がっています。

日本ではSNSなどを通じて注目され、愛好家や専門ブリーダーが徐々に増えています。ただし高温多湿の気候が苦手なため、環境づくりや健康管理への配慮が今後の課題とされています。

アメリカンブリーの特徴

真剣な表情のまま立っているアメリカンブリー

アメリカンブリーは、ひと目で印象に残る筋肉質な体つきが最大の特徴です。見る人によっては威圧感を覚えるほどの外見ですが、実際には家庭犬として穏やかな性格を備えています。

その迫力ある見た目と愛情深い性格とのギャップが、近年、日本でも愛好家を増やしている理由の一つです。

被毛

被毛は短く硬めで、光沢のあるスムースコートです。一見、手入れが楽そうに見えますが、換毛期には抜け毛が多く、定期的なブラッシングが欠かせません。

皮膚は敏感で、シワのある部分に湿気がこもりやすく、放置すると臭いや皮膚炎の原因になります。運動後やシャンプー後はしっかり乾燥させるケアが必要です。

毛色

毛色のバリエーションは非常に豊富で、ブラック、ブルー(青みがかったグレー)、フォーン(淡い黄褐色)、チョコレート、ブリンドル(虎毛模様)など、あらゆるカラーが認められています。

単色だけでなく、ツートーンやトライカラー(3色)といった個性的な配色も多く、毛色によって印象が大きく変わります。近年はブルーやトライカラーなど希少色の人気が高い傾向にあります。

顔立ち

顔は頭部が大きく、マズル(鼻先から目元まで)が短く太いのが特徴で、全体的に四角い印象を与えます。

耳はもともと垂れ耳や半立ち耳が多く、かつては見た目を整えるために断耳が行われることもありましたが、近年は動物福祉の観点から自然な耳を残す傾向が主流です。

尻尾

尾は断尾することなく、生まれたままの形状が理想的とされています。根元が太く、先端に向かって徐々に細くなる、適度な長さの尾が自然なスタイルで、犬種標準としても断尾は認められていません。

体型

アメリカンブリーの体型は「ロー&ワイド」と呼ばれる低重心で幅の広い体つきが特徴です。

体長は体高よりやや長く、全身が分厚い筋肉で覆われています。胸の厚みと脚の力強さが際立ち、見た目以上に重量感があります。力強い一方で俊敏さもあり、独特のバランスを持った体型がこの犬種の魅力です。

日本の気候では暑さに弱いため、短毛で筋肉質な体型に合わせた温度管理が必要です。夏場はエアコンなどで室温を保ち、体調を崩さないよう配慮しましょう。

アメリカンブリーとピットブルとの違い

原っぱの上で楽しく走って遊ぶ3頭のアメリカンブリー

アメリカンブリーは、見た目がよく似ていることからアメリカン・ピット・ブル・テリア(ピットブル)と混同されがちですが、目的も性格も異なる犬種です。

最大の違いは、作出の目的にあります。ピットブルは闘犬としての歴史を持ち、高い闘争心や運動能力を備えた犬として知られています。

一方で、アメリカンブリーはピットブルなどを基礎に、攻撃性を抑えて穏やかで家庭に適した性格を目指して改良されました。

外見にも違いがあり、ピットブルは筋肉質ながら引き締まったアスリートのような体型をしていますが、アメリカンブリーは胸幅が広く、頭部が大きく、全体的にどっしりとした重厚感のある体格が特徴です。

また、日本では一部の地域(例:札幌市など)でピットブルが「特定犬」として飼育制限の対象となる場合がありますが、アメリカンブリーは一般的に該当しません。

ただし、外見が似ているため誤解を受けやすく、周囲への配慮と適切な管理が欠かせません。

アメリカンブリーの種類

サイズの違う2頭のアメリカンブリー

アメリカンブリーは、主に体高によって複数のタイプに分類されています。

犬種を管理する団体「ABKC(American Bully Kennel Club)」は、体高や骨格の違いを明確に区別しており、「ポケット」「スタンダード」「クラシック」「XL」という4つのタイプを公式に認定しています。

タイプごとに体の大きさや筋肉の付き方が異なるため、自分のライフスタイルに最も適したタイプを選ぶことが大切です。

ポケットタイプ

ポケットタイプは、体高がオスで36〜43cm、メスで33〜40cmと、最もコンパクトなサイズです。

柴犬などと同じかそれより小さいサイズ感ですが、筋肉量が非常に多く、見た目以上に重量感があります。室内で飼いやすいことから、都市部での人気が高まっています。

スタンダードタイプ

スタンダードタイプは、オスが43〜51cm、メスが40〜48cmで、中型犬とほぼ同じサイズです。

しかし一般的な中型犬よりも遥かに筋肉量が多く、骨太でがっしりした体型が特徴です。このタイプが「標準的なアメリカンブリー」として知られています。

クラシックタイプ

クラシックタイプは、体高はスタンダードタイプと同じですが、筋肉量が抑えられています。

その結果、細身で軽快な外見となり、ピットブルに近い引き締まった印象を与えます。筋肉が多すぎないため、より運動性能に優れ、活動的な飼い主との相性が良いタイプです。

XLタイプ

XLタイプは最も大きく、オスが51〜57cm、メスが48〜54cmと大型犬並みの体高があります。

筋肉の量も非常に多く、力も強力なため、飼育には高い管理能力や十分な体力が求められます。体格の大きさと力の強さゆえに、初心者には難易度が高く、専門家の指導が必要なタイプとされています。

最近では非公式なタイプとして「エキゾチックブリー」と呼ばれるタイプが話題になることもありますが、ABKCなどの公式団体では認定されていないため注意が必要です。

健康面や犬種基準を守った繁殖かどうかを十分確認するようにしましょう。

アメリカンブリーの性格

飼い主を見上げるアメリカンブリーの子犬

アメリカンブリーは、堂々とした外見とは対照的に、穏やかで愛情深い性格を持つ犬種です。

家族に対して非常に忠実で、献身的に寄り添う姿勢を見せます。コンパニオンドッグとして人との絆を大切にする性質が強く、家庭では優しく甘えん坊な一面を見せることもあります。

そのギャップがこの犬種の大きな魅力です。

また、忍耐力があり、子どもや高齢者がいる家庭にも向いています。ただし、その穏やかさを保つには、子犬期からの社会化が欠かせません。

人や犬、音や環境などに慣れさせておくことで、落ち着いた性格を育むことができます。社会化が不十分だと、不安や警戒心から思わぬ行動につながることもあるため注意が必要です。

筋力が強く、興奮時のパワーも大きいため、しつけとコントロールは飼い主の責任です。しっかりとした訓練と愛情ある接し方を続ければ、アメリカンブリーは家族に深い信頼を寄せ、穏やかで頼もしいパートナーとなってくれるでしょう。

アメリカンブリーの値段相場

芝生の上に並んで立つ2頭のアメリカンブリーの子犬

アメリカンブリーの子犬の価格は50万~120万円前後と幅があります。

特に人気の高い「ポケットタイプ」や珍しい毛色(ブルーやトライカラーなど)、血統が優れた個体はさらに高額になる傾向があります。近年はSNSで注目される機会が増え、全体的に価格が上昇しています。

一方で、外見が似たピットブルや他犬種とのミックスを「アメリカンブリー」として販売する悪質なケースも報告されています。純血かどうかを見極めるのは難しいため、信頼できるブリーダーや専門犬舎から迎えることが何より重要です。

また、購入費用だけでなく、食事や医療、しつけ、設備などの維持費も考慮する必要があります。購入時の価格よりも、生涯を通じてどれだけ適切なケアを行えるかが、飼い主としての大切な判断基準になります。

アメリカンブリーのブリーダーを探す方法

アメリカンブリーの母犬と子犬

アメリカンブリーを迎える際は、この犬種を専門に扱う信頼できるブリーダーから譲り受けるのが最も確実です。日本ではまだ飼育数が少ないため、ブリーダー選びは慎重に行いましょう。

SNSやペットサイトで情報を得ることもできますが、写真や文章だけで判断せず、必ず犬舎を訪れて実際の環境を確認することが大切です。

見学時は、親犬や子犬が清潔な環境で健康的に育っているかをチェックしましょう。特に親犬の性格が穏やかで人懐っこいかどうかは、子犬の性質にも影響します。

また、血統書の発行元を必ず確認し、ABKC(American Bully Kennel Club)など公式団体の血統書を持つ個体を選ぶことが重要です。

ピットブルなど他犬種とのミックスを純血と偽る例もあるため注意が必要です。

さらに、譲渡後も飼育やしつけについて継続的に相談できるブリーダーを選びましょう。特に力の強い犬種に慣れていない場合、経験豊富なブリーダーのアドバイスが大きな支えになります。

知識と信頼のあるパートナーを見つけることが、健康で穏やかなアメリカンブリーを育てる第一歩です。

アメリカンブリーの飼い方

屋外で飼い主の足元に伏せているアメリカンブリー

アメリカンブリーを飼う上で最も重要なのは、強力な筋力と体格を安全に管理することです。

特に子犬期からの社会化や徹底した服従訓練、また日々の運動やケアなど、家庭内で穏やかに暮らすための適切な管理方法を知っておく必要があります。

しつけ

子犬の時期からさまざまな人や犬、環境に触れさせる「社会化訓練」を行うことが重要です。社会化が不十分だと、不安や恐怖心から予期せぬ行動を起こす可能性があります。

特に「飛びつき」や散歩時の「引っ張り」などの問題行動は、小さい頃から明確に禁止しておくことが望ましいです。

必要であれば、専門的なトレーナーの指導を受けることで安全に制御できます。

運動

筋肉質で体力があるため、適切な運動は欠かせません。

毎日、30分から1時間程度の散歩を1日に2回程度行うのが一般的な目安ですが、個体差や年齢、タイプに応じて、散歩に加えて自由運動やボール遊びなどの運動を取り入れることも有効です。

ただし、高温多湿に弱いため、夏場の運動は早朝や夜間の涼しい時間帯に限る必要があります。

飼育環境

短毛でデリケートな皮膚を持つアメリカンブリーは、暑さや寒さに非常に弱い犬種です。そのため、エアコンで温度・湿度管理ができる室内で飼育することが基本です。

また、非常に力が強いため、ケージやサークル、クレート(ハウス)は破壊されない頑丈なものを選び、子犬の頃からクレートトレーニングを行って、安心して留守番できるよう習慣づけることが大切です。

日常ののケア

短毛であるものの、抜け毛は意外と多いため、週に複数回はラバーブラシなどでブラッシングを行い、抜け毛や汚れを取り除きましょう。

特に顔や体のシワ部分は汚れが溜まりやすく、皮膚炎や臭いの原因となるため、運動後やシャンプー後はしっかりと乾燥させて清潔に保つ必要があります。

シャンプーは月に1〜2回を目安に行い、清潔さを維持しましょう。

アメリカンブリーの寿命

原っぱに立ち遠くを見つめるアメリカンブリー

アメリカンブリーの平均的な寿命は10~13年とされています。これは大型犬としては平均的であり、適切な飼育管理と健康管理を行えば、さらに長生きする可能性もあります。

寿命を伸ばすために特に重要なのは、肥満を防ぎ、適正体重を維持することです。もともと筋肉質な体型ですが、過剰な体重は心臓や関節への負担を増加させ、健康を損なう原因となります。

また、日本特有の高温多湿な夏の環境がこの犬種にとって負担となることもあり、暑さ対策は寿命を左右する要素の一つとなります。

日常的に室内の温湿度管理を徹底し、運動や日常生活での熱中症リスクを避けることで、健康的な寿命を保つことが可能になります。

アメリカンブリーのかかりやすい病気

不安そうな表情で伏せているアメリカンブリー

アメリカンブリーはその体型的特徴や皮膚の性質などから、いくつかの特有な病気にかかりやすい傾向があります。

健康で長生きするためには、定期的な健康診断と日常の観察で早期発見・早期治療を心がけることが大切です。

股関節形成不全

股関節形成不全は、大型犬や筋肉質の犬種に多く見られる遺伝性の病気で、股関節の発育が不十分になる疾患です。

症状として、腰を振るような歩き方やうさぎ跳びのような動作がみられ、悪化すると激しい痛みを伴うこともあります。

肥満が症状を悪化させるため、体重管理や滑りにくい床材の使用で関節への負担を軽減する必要があります。

アレルギー性皮膚炎・膿皮症

アメリカンブリーは、アレルギー性皮膚炎や膿皮症(細菌感染による皮膚炎)などの皮膚トラブルを起こしやすい犬種です。

特に顔や体にあるシワに湿気や汚れが溜まることで症状が出やすくなります。定期的なブラッシングとシャンプー、運動後の乾燥ケアを徹底することが予防につながります。

短頭種気道症候群

短頭種気道症候群とは、鼻の穴が狭いなどの理由で呼吸がしにくくなる疾患の総称です。アメリカンブリーはマズルが短めな個体が多いため、呼吸器系トラブルのリスクがあります。

「フガフガ」といった呼吸音が頻繁にみられる場合は注意が必要です。肥満を避け、暑さや湿度の高い環境を避けることで症状の悪化を防げます。

チェリーアイ(第三眼瞼腺突出)

チェリーアイは目頭の第三眼瞼腺(瞬膜腺)が飛び出す病気で、ブル系犬種に比較的多く発症します。症状が現れた場合は放置せず、すぐに動物病院で診察・治療を受けましょう。

早期の対応により、結膜炎やドライアイなど後遺症のリスクを最小限に抑えられます。

アメリカンブリーを飼う際の注意点

2人の人に挟まれながら屋外を散歩するアメリカンブリー

アメリカンブリーは穏やかな性格が魅力の犬種ですが、外見的特徴から怖がられたり、誤解されたりしやすいため、飼い主が十分な配慮と責任を持つことが求められます。

特に公共の場でのトラブルや誤解によるトラブルを防ぐため、あらかじめ対策を徹底しておくことが重要です。

誤解されやすい外見への理解と対策

アメリカンブリーはピットブルなどと混同され、「凶暴」「怖い」といった先入観を持たれやすい犬種です。飼い主自身がこの現実を理解し、周囲に安心感を与えられるような行動を心がけましょう。

公共の場ではリードやハーネスをしっかりと管理し、状況によっては口輪(マズルガード)を使用することも検討してください。

多頭飼いでトラブルを防ぐための注意点

基本的に他犬に対して友好的な個体が多いですが、相性には個体差が大きく、特に同性同士や他のブル系犬種との相性は注意が必要です。

一度トラブルになると深刻な事故につながることもあるため、先住犬がいる場合は専門家の助言を受けながらゆっくり時間をかけて慎重に慣れさせる必要があります。

ドッグラン利用で気をつけたいポイント

他の犬とのトラブルが重大な事故に直結する可能性があるため、ドッグランの利用は特に慎重に行う必要があります。

利用する場合は、まずは愛犬の社会性や他犬との相性を確認した上で、貸し切り利用や混雑する時間帯を避けるなどの工夫を行うことを強くおすすめします。

力の強い犬だからこそ専門家の協力を

「性格が優しいから初心者向き」と誤解されることがありますが、実際には力の強い大型犬として、飼い主側に体力や管理能力、しつけに関する知識が求められます。

飼育経験が少ない場合は、専門的なドッグトレーナーや経験豊富なブリーダーのサポートを受けることが、安全に飼育するための必須条件となります。

まとめ

穏やかな表情で芝生の上に座っている2頭のアメリカンブリー

アメリカンブリーは迫力ある筋肉質な体型と、穏やかで愛情深い性格のギャップが魅力の犬種です。しかし、外見から「怖い」「危険」などと誤解されやすいため、飼い主には正しい知識と適切な管理が求められます。

子犬期からの徹底した社会化、十分な運動や健康管理が不可欠であり、特に暑さ対策や皮膚のケアは日本の気候において重要なポイントとなります。

また、専門知識のあるブリーダーやトレーナーのサポートを得ながら飼育することで、健康的で安全な生活が可能になります。

「見た目がかわいい」などの憧れだけではなく、犬種の特性を理解し、生涯にわたり責任をもって適切な管理ができる方にとって、アメリカンブリーは最高のパートナーとなるでしょう。

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