ローシェンの歴史
- 正式名称:Löwchen(ローシェン)/日本名:ローシェン(小さなライオン犬)
- 原産国:ヨーロッパ(主にフランスおよびドイツ周辺)
- 分類:愛玩犬(コンパニオンドッグ)
- 体高:25〜32cm
- 体重:4〜8kg
- 毛質:長くウェーブのかかったシングルコート(抜け毛少なめ)
- 毛色:ブラック、ホワイト、クリーム、フォーン、チョコレート、パーティーカラーなど
- 性格:明るく社交的で賢く、愛情深い
- 特徴:「ライオンクリップ」と呼ばれるトリミングで、ライオンのたてがみのような姿に整えるのが伝統
- 寿命:12〜14年
ローシェン(Löwchen)は「小さなライオン」の愛称で知られるヨーロッパ原産の小型犬で、主に貴族社会の愛玩犬として発展してきました。
ここでは、起源から名前の由来、そして日本における現状まで、この犬種の歴史的背景を紹介します。
ヨーロッパで誕生したローシェンのルーツ
ローシェンの正確な起源は明らかになっていませんが、少なくとも15〜16世紀頃のヨーロッパには存在していたとされます。
特に地中海沿岸地域で見られたビション系の犬種(ビション・フリーゼやマルチーズなど)と近縁と考えられ、貴族の女性たちに愛玩犬として重宝されてきました。
当時の絵画やタペストリーにもしばしば描かれており、その歴史的な存在感がうかがえます。
貴族に愛された伴侶犬ローシェン
ローシェンは狩猟や牧畜などの作業を目的として作出された犬種ではなく、人々の心を癒やす「コンパニオンドッグ(伴侶犬)」として発展しました。
特にヨーロッパの貴族社会では、貴婦人の膝の上で過ごす「ラップドッグ(膝乗り犬)」として人気を集め、ステータスシンボル的な側面も持ち合わせていました。
「小さなライオン」と呼ばれる理由
ローシェンという名称は、ドイツ語で「小さなライオン」を意味します。この呼び名は、伝統的な「ライオンクリップ」というトリミングスタイルに由来します。
体の後半部分の毛を短く刈り込み、胸元や前足に豊かな毛を残すことで、ライオンのたてがみを思わせる外観となり、犬種の象徴的なスタイルとして今日まで受け継がれています。
日本での希少犬種としてのローシェン
ローシェンは日本国内では非常に希少な犬種であり、一般的なペットショップで目にすることはほとんどありません。
ブリーダーの数も限られているため、迎え入れる場合には専門犬舎や海外ブリーダーからの情報収集が必要になります。この希少性が、他の犬種とは一線を画す特別感を求める飼い主にとって魅力となっています。
ローシェンの性格
ローシェンは家庭犬として優れた資質を持ち、陽気で愛情深い性格が最大の魅力です。家族と一緒にいることを何より喜び、常に明るく元気な振る舞いで家庭を明るくします。
とても賢く覚えが早いため、飼い主との意思疎通がしやすく、トレーニングも比較的スムーズに進むでしょう。子供や他のペットにも友好的で、誰とでも仲良くできる社交性があります。
一方で、伴侶犬としての歴史が長いため寂しがり屋な面があり、長時間の留守番は苦手です。孤独な時間が続くと無駄吠えなどの問題行動につながることもあるため、家族がそばにいる時間が長い家庭に向いています。
また活発で遊び好きなので、室内で過ごすだけでなく、毎日の散歩や遊びの時間を確保して、心身ともに満足させてあげることが大切です。
ローシェンの特徴
ローシェンは「小さなライオン」の愛称で親しまれるように、小型犬でありながら堂々とした佇まいとユニークな外見が魅力の犬種です。コンパクトなサイズと特徴的な被毛により、家庭犬として非常に適した身体的特徴を備えています。
コンパクトで丈夫なローシェンの体格
ローシェンの体高は25cmから32cm程度、体重は4kgから8kgが標準的です。小型犬ではありますが、骨格や筋肉がしっかりとしており、丈夫でバランスの取れた体型をしています。
抜け毛が少ないシングルコート
被毛は長くウェーブがかかったシングルコートが基本で、アンダーコートはほぼ発達していません。そのため抜け毛が少なく、犬特有の体臭も比較的少ないとされています。ただし、個体差がありますので、アレルギー対策などは専門家への相談が必要です。
毛色のバリエーションと特徴
毛色はブラック、ホワイト、クリーム、フォーン、チョコレートなど豊富な単色のほか、複数色が混じったパーティーカラーも存在します。基本的に多様な色が許容されていますが、極端に淡い色調(ディルーティッドカラー)は犬種標準で望ましくないとされています。
ローシェンの象徴「ライオンクリップ」
ローシェン最大の外見的特徴は伝統的な「ライオンクリップ」です。これは体の後半の被毛を短く刈り込み、前半の胸元から頭部にかけて豊かな毛を残したスタイルで、小さなライオンのような気品ある姿を演出します。
クリっとした大きな瞳、垂れ耳、そして高く保持された尾が、優雅で独特な存在感を引き立てています。
ローシェンの飼い方
ローシェンは賢く愛情深い犬種のため、その魅力を最大限に引き出すには、日々の運動、適切なお手入れ、そして丁寧なしつけが必要です。ここではローシェンの特性に合わせた飼育のポイントを解説します。
運動量と散歩の目安
ローシェンは小型犬ですが非常に活発で好奇心旺盛なため、毎日の適度な運動が欠かせません。散歩は1日2回、それぞれ20〜30分程度を目安に行います。
また、室内ではノーズワークや知育トイを活用した遊びを取り入れることで、精神的な刺激も与えることが重要です。
美しい被毛を保つためのケア習慣
ローシェンの美しいシングルコートは毛玉になりやすいため、少なくとも2〜3日に1回はブラッシングが必要です。特に耳の後ろや脇の下、内股など、毛玉ができやすい部位は丁寧にケアしましょう。
また、1〜2ヶ月に1回の頻度でトリミングサロンに通い、特徴的なライオンクリップを維持します。
外耳炎を防ぐための正しい耳ケア
垂れ耳の犬種であるローシェンは、外耳炎を予防するために耳のケアが重要です。定期的に耳の中を確認し、清潔に保つよう耳掃除を習慣化しましょう。耳の内部が蒸れないよう適切に通気を保つこともポイントです。
賢いローシェンに合う優しいしつけ
ローシェンは頭がよく、飼い主に喜ばれることを好むため、褒めて伸ばすポジティブトレーニングが適しています。
ただし、甘やかしすぎると頑固な一面が出ることもあるため、子犬期からルールを明確にし、一貫した態度で接しましょう。また、生後3ヶ月頃までに多くの人や犬と触れ合う機会を作ることで、社会性を高め、落ち着いた性格に育てることができます。
まとめ
ローシェンは「小さなライオン」の愛称で知られ、貴族社会で愛玩犬として長く愛されてきました。体高25〜32cm、体重4〜8kgのコンパクトな体に、抜け毛や体臭が少ないシングルコートを持つため、室内飼育にも適しています。
性格は非常に明るく賢いうえ社交性があり、家族と過ごす時間を心から楽しむ犬種です。一方で、寂しがり屋な面があり、留守番時間が長い家庭には向きません。
毎日の散歩や知育遊び、美しい被毛のための定期的なブラッシングや耳のケアなど、丁寧な飼育が求められます。入手難易度は高いですが、愛情を注げば深い絆で応えてくれる、魅力にあふれた希少犬種です。