ジャーマンスピッツってどんな犬?
皆さんはジャーマンスピッツ(German Spitz)という犬種をご存知でしょうか。「ジャーマンスピッツ」と聞いてもすぐに思い浮かばないという人も少なくありませんが、写真を見ると「あぁ、この犬ね!」と一目でわかる人は多いでしょう。
ジャーマンスピッツには、現在改良されたサイズのジャーマンスピッツも含めると6種類存在します。この6種類の犬種を総称してジャーマンスピッツと呼ばれています。そのため、ジャーマンスピッツの中でも「同じ犬種?」と思うほどサイズが異なる犬もいます。
同じ犬種であってもジャーマンスピッツの6種類はそれぞれ性格や特徴が異なる部分もあります。しかし、根本的には人懐っこく明るい性格であることは共通しています。
また中部ヨーロッパでは、最も古い犬種として認識されているほど歴史が古く、それに伴い人間と暮らしてきた歴史も長い犬種と言えるでしょう。現在では希少価値が高いと言われるほどジャーマンスピッツ自体の数は減少しています。
種類別!ジャーマンスピッツの性格と特徴
上記でも簡単に触れましたが、ジャーマンスピッツには6種類のタイプが存在します。これら6種類の犬種をすべて総称した呼び名がジャーマンスピッツとなっているのです。また基本的なジャーマンスピッツの性格として、人懐っこく明るく快活で飼い主に対して従順な一面を持っているという特徴が挙げられます。
しかし、だからといって警戒心が薄いわけではなく、知らない人に対して警戒し吠えるといった行動もできる勇敢さも持ち合わせているため、番犬としても活躍してくれます。
そんなジャーマンスピッツたちですが、6種類のタイプごとにも少しずつ特徴や性格が異なることをご存知でしょうか。ここでは6種類のタイプごとにどのような特徴を持ち、性格の傾向があるかを見ていきましょう。
ジャーマンウルフスピッツ
- 体重:27~32kg
- 体高:42~45cm
- 分類:大型犬
まずはジャーマンウルフスピッツ(German Wolfspitz)です。ジャーマンスピッツの改良が行われる前、元々スタンダードサイズとして知られていたジャーマンスピッツがこのジャーマンウルフスピッツでした。牧羊犬として活躍していた歴史を持つタイプです。
体高は42~45cm、体重は27~32kgと大型犬に分類される犬種で、ジャーマンスピッツの中では最も大きなタイプの犬です。キースホンドという犬種と同一犬種として扱われることがありますが、まったく同じ犬種ではなく、親戚のような位置関係です。
名前にもある「ウルフ」という言葉は、オオカミに近いDNAを持っているということではなく、単に被毛がオオカミのような色をしているからという理由で名付けられています。そのため、黒みがかったグレーや白が混ざり合ったような毛色が特徴的です。
元々牧羊犬として活躍していたジャーマンウルフスピッツは、非常に勇敢な性格です。知らない人に対して警戒心を持ち、番犬としても活躍できる犬種です。さらに活発で動き回ることも大好きなため、運動はたくさんさせる必要があるでしょう。
ジャーマングローサースピッツ
- 体重:17~18kkg
- 体高:40~41cm
- 分類:中型犬
続いてジャーマングローサースピッツ(German Grosser Spitz)です。ジャーマンスピッツの中ではウルフスピッツに次いで大きいサイズの犬種で、体高は40~41cm、体重17~18kgと中型犬に属しています。
別名としてジャーマンジャイアントスピッツという異名もありますが、スタンダードであるウルフスピッツを改良し小さくしたサイズですので、ジャイアントというほどの大きさではありません。
ウルフスピッツがオオカミのようなダークグレーカラーであるのに対し、ジャーマングローサースピッツはホワイト、ブラック、ブラウンと3種類存在します。単色であることが望ましいとされていますので、この点もウルフスピッツとは異なります。
ウルフスピッツの血を濃く次いでいるため、警戒心は同じように残っていますが、愛玩犬として改良されたこともあり、人懐っこさもプラスされたような性格をしています。勇敢で活発な性格は変わりありません。
ジャーマンミッテルスピッツ
- 体重:7~11kg
- 体高:30~38cm
- 分類:中型犬
ジャーマンミッテルスピッツ(German Mittel Spitz)はジャーマンスピッツの中では3番目に大きい犬種です。つまり、先ほどのジャーマングローサースピッツの次に大きいということになります。体高は30~38cm、体重は7~11kgと中型犬に属される大きさですが、やはりジャーマングローサースピッツに比べると小型です。
被毛のカラーはチョコやブラック、イエロー、ブラウンとより様々なカラーの毛色を持っており、単色でなく混合色も人気です。またジャーマンミッテルスピッツは、オーバーコートが硬く細いという特徴があり、この点が他のジャーマンスピッツとは異なります。
ジャーマンミッテルスピッツは、2004年に初めて日本に輸入された日本国内では割と新しい犬種とも言えます。ちょうど良い大きさというポイントが人気となり、日本国内でも見られるようになりました。
ジャーマンクラインスピッツ
- 体重:4~6kg
- 体高:23~29cm
- 分類:小型犬
ジャーマンスピッツの中で4番目の大きさであるジャーマンクラインスピッツ(German Klein Spitz)は、体高23~29cm、体重4~6kgと小柄な犬種です。ジャーマンクラインスピッツからは小型犬にも分類される犬種となります。
ジャーマンクラインスピッツは、別名ヴィクトリアン・ポエラニアンとも呼ばれており、ドイツからイギリスに輸出した後、さらに小型へと改良された犬種です。
毛色も様々ですが、やはりこちらも単色だけではなく、2色が混合した毛色も多く存在しており、どちらのタイプのカラーも人気です。また身体的特徴として、耳が丸っこく愛らしいところもポイントです。
愛玩犬として親しまれている犬種ですので、やはり人懐っこく遊ぶことが大好きな性格をしています。活発な性格はそのままに、人懐っこさがより強くなった傾向があります。
ジャーマントイスピッツ
- 体重:1.7~2kg
- 体高:21cm前後
- 分類:超小型犬
ジャーマンスピッツの中で下から2番目に小さいサイズの犬種がジャーマントイスピッツ(German ToySpitz)です。トイという名前からもその小ささがわかるとおり、体高は21cmほど、体重は1.7~2kgほどと非常に小さな超小型犬に分類されるタイプです。
被毛のカラーは珍しく、2種類の色が混合しているパーティーカラーのみとなっているため、単色のジャーマントイスピッツは見かけることがありません。
ジャーマンツヴェルクスピッツ(現在のポメラニアン)
- 体重:1.7~5kg
- 体高:20cm前後
- 分類:超小型犬
そして最後にジャーマンスピッツの中でも最もよく知られているタイプがジャーマンツヴェルクスピッツ(German Zwerg Spitz)です。別名はポメラニアンです。
そう、皆さんがよくご存知の、日本でも人気のあのポメラニアンは、ジャーマンスピッツに含まれる犬種だったのです!知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
ジャーマンツヴェルクスピッツ(以下ポメラニアン)は、ジャーマンスピッツの中で最も小さいタイプの犬種と言われており、体高20cmと非常に小さい超小型犬です。しかし、体重は1.7~5kgほどと幅が広いため、中にはトイスピッツよりも大きく感じる子もいるかもしれません。
ポメラニアンの毛色は豊富で、現在では10種類以上あると言われています。オレンジやホワイト、レッド、ブラック、クリームカラーなど様々なバリエーションがあります。また2色以上が混ざっている毛色の子もいるため、パーティーカラーを含めるととても多くのカラーバリエーションとなります。
ポメラニアンは、好奇心が強く甘えんぼうで人懐っこい性格です。しかし、元々ジャーマンウルフスピッツの血が入っていますので、勇敢さも持ち合わせており、小さい体ながら警戒心が強い犬種としても知られています。
しかし、攻撃的な性格ではないため、しつけをすることで無駄吠えも軽減することができますし、小さな子どものいるご家庭でも飼うことは可能です。
ジャーマンスピッツの子犬の値段
ジャーマンスピッツは上記でご紹介したように6種類のサイズごとに分類されています。そのため、ジャーマンスピッツの子犬はどのくらい、と総称してご紹介することはできません。
さらにジャーマンスピッツの中には、現在の日本国内で見かけないタイプも多数存在します。基本的に現在の日本国内で見つかるジャーマンスピッツは、最後にご紹介したポメラニアンがほとんどです。
ポメラニアンの場合、子犬の価格は約10~30万となります。ブリーダーさんから直接引き取る場合には、25万前後が平均と言われています。他のタイプのジャーマンスピッツを家族として迎える場合、日本国内では見つけることが困難なため、ブリーダーさんに直接問い合わせるか、または海外から輸入することになります。海外から輸入すると、すべて含めて50万は超えるとされています。
ジャーマンスピッツを飼うには
ジャーマンスピッツを飼うためには、ブリーダーさんから直接引き取る方法とペットショップから迎える方法の2種類が主な方法になります。
ポメラニアンの場合はペットショップでも多く見かけますが、上記でもご紹介したとおり、他のジャーマンスピッツは日本国内で見つけることは難しく、ブリーダーさんに問い合わせて見つかるかどうか、という確率です。
またポメラニアンであってもペットショップにおいて特別多く見かける犬種というわけではありません。そのため、ブリーダーさんに問い合わせて見学させてもらい、その際に性格や飼い方などを尋ねて家族に迎えるかどうかを決めると良いでしょう。
そしてポメラニアン以外のジャーマンスピッツの場合、先ほど簡単に触れましたが、海外から輸入することで迎えるという手段もあります。サイトを通じて海外のブリーダーさんとコンタクトを取ることができますが、実際に見に行けないということもあり、あまり推奨はできません。
ジャーマンスピッツの寿命
平均寿命
15年前後
ここまでジャーマンスピッツに関する様々な情報をご紹介してきましたが、ジャーマンスピッツはどのくらいの寿命なのでしょうか。
ジャーマンスピッツは基本的に丈夫な体型であると言われており、平均寿命は15年と非常に長生きとされています。最も大きいジャーマンウルフスピッツも平均寿命が14年と大型犬にするととても長生きです。
このようにジャーマンスピッツには大きさごとに6種類のタイプが存在しますが、大きさに関係なく平均寿命は15年前後と長生きであることがわかります。
もちろん、体が丈夫で平均寿命が長いからといって、飼い主が健康管理を怠ってしまえばその分寿命は縮んでしまいかねません。ジャーマンスピッツの性格や特徴を理解し、ジャーマンスピッツに合った環境や生活を提供してあげることが大前提です。
ジャーマンスピッツの歴史
最後にジャーマンスピッツの歴史についてご紹介します。最初にもお話ししたとおり、ジャーマンスピッツは中部ヨーロッパにおいて最も古い犬種として認識されており、元々は現在のジャーマンウルフスピッツが牧羊犬として活躍していたことが知られています。
ジャーマンスピッツは15世紀頃には既に確認されており、その頃から「スピッツ」という名前で親しまれていたと言います。しかし、それ以上前から存在してたとも伝えられているため、とても歴史の長い犬種であることがわかります。
そして長い時間を経て、ジャーマンウルフスピッツから始まり、より小さく家庭犬へと改良されていき、現在のポメラニアンが誕生しました。だからといってスタンダードであるジャーマンウルフスピッツがいなくなってしまったということはありません。
しかし、現在は原産国のドイツでも徐々にジャーマンスピッツの数が減少傾向にあり、希少な犬種とされています。特にジャーマングローサースピッツは見かける数が非常に少なくなっています。さて、スピッツといえば、「日本スピッツ」と呼ばれる犬種も存在します。
日本スピッツの祖先に当たる犬種がジャーマンスピッツで、日本に輸入されてきたジャーマンスピッツや他の白色のスピッツ系犬種を交配したことによって生まれた犬種が日本スピッツと言われています。
日本スピッツの生みの親であるジャーマンスピッツと交配した犬種は定かではありませんが、アメリカンエスキモードッグやサモエド犬ではないかという説が唱えられています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ジャーマンスピッツは日本でも人気のポメラニアンを含む6種類のタイプの総称です。しかし、どの子も勇敢で活発という性格には変わりなく、人懐っこさも魅力的です。
日本国内ではポメラニアンが圧倒的に多く見られ、他のタイプのジャーマンスピッツはあまり見かけませんが、見かけた際にはぜひ注目して見てくださいね!
ユーザーのコメント
女性 もふころ
一番大きいウルフスピッツは文字通り狼のようで勇ましさもありますが、小さくなっていくにつれタヌキ顔になっていくんですね。
それにしても、どのタイプでもこの毛量の多さは見事。ブラッシングに苦労しそうです。