ブリアードの特徴は?性格や飼い方、歴史、価格、迎える前の注意点まで

ブリアードの特徴は?性格や飼い方、歴史、価格、迎える前の注意点まで

フランス原産の希少犬種「ブリアード」の性格、特徴、飼い方を詳しく解説。子犬の価格相場や日々のお手入れ、必要な運動量、かかりやすい病気まで、ブリアードを家族に迎える前に知りたい情報を網羅しています。

ブリアードの歴史

原っぱに座って正面を見つめるブリアード

ブリアードはフランス原産の歴史ある牧羊犬で、その起源は中世にまで遡るといわれますが、詳しい経緯は明らかになっていません。古くからフランスの農村地域で羊の群れを誘導し、オオカミなどの外敵から家畜を守る番犬として活躍してきました。

犬種名は、主な活動地域であるフランス北部の「ブリー地方」に由来するという説が有力です。力強い体格と優れた判断力を持ち、深い愛情を示す犬種として知られ、かつてはナポレオン・ボナパルトに愛されたという逸話も残っています。

フランス革命や二度の世界大戦では、伝令や負傷兵の捜索、弾薬運搬など多岐にわたる任務を担い、軍用犬としても高く評価されました。

現在では国際畜犬連盟(FCI)により牧羊犬・牧畜犬グループとして認定され、原産国フランスをはじめヨーロッパでは根強い人気がありますが、日本国内では非常に希少な存在となっています。

ブリアードの特徴

芝生の上で横向きに立つブリアード

  • 正式名称:ブリアード(Briard)
  • 原産国:フランス
  • 分類:牧羊犬・牧畜犬グループ(FCIグループ1)
  • 体高:オス 62〜68cm / メス 56〜64cm(JKC基準)
  • 体重:25〜40kg
  • 被毛:ダブルコート(粗い長毛と柔らかい下毛)
  • 毛色:ブラック、フォーン、スレート・グレーなどの単色
  • 性格:聡明・忠実・独立心が強い・家族想い
  • 寿命:10〜12年

ブリアードは、フランス原産の牧羊犬として培われた頑健さと優雅な姿を併せ持つ大型犬です。長い被毛に覆われた均整のとれた体格と、作業犬としての高い能力を残している点が特徴です。

ここでは体格や被毛、外見的な特徴を中心に解説します。

標準的な体高と体重

ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準では、ブリアードの体高はオス62〜68cm、メス56〜64cmとされています。体重は明確な規定はありませんが、一般的な参考値として25〜40kg程度の骨太で筋肉質な体格です。

広い牧草地を駆け回るために発達した強靭な四肢と持久力が特徴です。

ダブルコートの仕組みと日常ケア

ブリアードの外見を最も印象づけるのが豊かで長い被毛です。上毛はヤギの毛に似た粗く乾いた質感で緩やかなウェーブがかかり、下毛は短く柔らかいアンダーコートで体温調節と保護の役割を果たします。

牧羊犬として厳しい天候にも耐えられるよう設計された被毛で、定期的なブラッシングが必要です。

顔まわりの特徴と耳・尾の形状

顔も長い被毛で覆われており、目の上の眉毛や口ひげ、あごひげが独特の印象を与えます。目は暗色で大きく、落ち着いた知的な表情がのぞきます。

耳は付け根が高い位置にあり、断耳をしていない自然な状態では垂れているのが一般的です。長くふさふさとした尾は先端が「J」の字に曲がり、リラックスしている時には低く保たれています。

ブリアードの性格

雪中で飼い主に寄り添って座るブリアード

ブリアードは牧羊犬らしい優れた知性と学習能力を持ち、家族に対して深い愛情と忠誠心を示します。また、自分が守るべき対象への防衛意識が強いため、優秀な番犬としての資質もあります。

一方で、状況判断力や独立心が強いために頑固な面もあり、飼い主の指示を理解しつつも自分の判断で行動することがあります。そのため初心者にとってはしつけが難しく感じられることもあり、毅然とした態度で一貫したトレーニングが重要です。

さらに警戒心が強く、知らない人や犬には距離を置いて接する傾向がありますが、家族が安全だと認めた相手には穏やかに接することができます。

子犬の頃から様々な環境や人に慣れさせる社会化トレーニングをしっかり行うことが、安定した性格形成の鍵となります。

ブリアードの毛色の種類

隣り合って立つ毛色の異なる2頭のブリアード

ブリアードの毛色は、ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種標準で、主にブラック、フォーン(子鹿のような金色がかった茶色)、スレート・グレー(灰色がかったフォーン、チャコール)の3種類が認められています。

これらの毛色は原則として単色ですが、胸部に小さな白い斑点が入ることは許容されています。

特にフォーンは、子犬の頃は濃い色をしていますが、成長とともに淡く明るい色調に変化することがあります。毛色によってブリアードの印象は多少異なりますが、どの色もこの犬種特有の豊かな被毛の美しさを引き立てます。

ブリアードの価格相場

芝生の上に伏せているブリアードの子犬

2025年時点における日本国内のブリアードの子犬価格は、一般的に40万円~80万円ほどで推移しています。中心価格帯としてはおおむね50万円〜70万円前後ですが、血統、毛色、ブリーダーの知名度などの条件で価格は上下します。

国内でブリアードを扱うブリーダーが少なく希少性が高いため、需要と供給のバランスによって相場は変動しやすい状況です。

また国内で希望に合う子犬が見つからない場合は、海外からの輸入が選択肢となりますが、輸送費や各種手続き費用が加算されるため、100万円を超えることも珍しくありません。

ブリアードの飼い方

飼い主の方へと歩み寄るブリアード

ブリアードは牧羊犬として培われた高い運動能力と豊かな知性、特徴的な被毛を持つため、飼育にあたっては運動・しつけ・お手入れのすべてにバランスよく配慮する必要があります。

ここでは、日常生活をともに過ごす上で大切なポイントを解説します。

力ではなく信頼で教えるしつけ

ブリアードは非常に賢く理解力に優れますが、独立心が強く頑固な一面があるため、厳しく押さえつける訓練は逆効果です。成功体験を積み重ねて自信を与える「陽性強化」(褒める・ご褒美を与える方法)で接しましょう。

クリッカーやフードリワード(おやつを使った報酬)を活用し、指示に従うことが楽しくなるよう訓練することが重要です。

また、警戒心が強くなるのを防ぐため、子犬期からさまざまな環境や人、他の動物と接触させる「社会化」トレーニングを行うと良いでしょう。

1日2回の運動と知的刺激が健康の鍵

ブリアードはもともと牧草地を駆け回っていた犬種のため、十分な運動量が必要です。

理想的には朝晩それぞれ1時間前後、1日あたり計2時間程度の散歩を確保しましょう。単調な散歩だけでなく、ドッグランなど安全に走り回れる場所を活用すると、ストレス解消につながります。

さらに体力だけでなく、知的好奇心を満たすための遊びや訓練も必要です。ノーズワークや知育玩具(フードパズルなど)を用いた頭を使った遊びを毎日15分程度取り入れることで、精神的にも安定した状態を保つことができます。

長毛の手入れは毎日が基本

ブリアードは美しい被毛を維持するため、毎日のブラッシングが欠かせません。特に毛玉ができやすい耳の後ろ、脇の下、内股部分は丁寧にコームを通し、毛玉ができる前にほぐしましょう。

シャンプーは個体の被毛状態により異なりますが、一般的には月に1〜2回程度が目安です。長毛種のため、洗った後はタオルドライだけでなくドライヤーを使って毛の根元までしっかり乾燥させることが重要です。

被毛や皮膚トラブルを防ぐためにも、生乾きの状態は避けましょう。

ブリアードがかかりやすい病気

橋の上で伏せているブリアード

ブリアードは牧羊犬として活動的で丈夫な犬種ですが、大型犬特有の疾患や遺伝性の病気が発症しやすい傾向があります。

ここでは、ブリアードに比較的よく見られる疾患とその症状・予防のポイントを紹介します。健康に不安を感じたら、すぐに獣医師に相談しましょう。

股関節形成不全

股関節形成不全は、太ももの骨と骨盤の接合部が適切に形成されず、歩行障害や痛みを引き起こす病気です。

症状として、腰を左右に揺らすような歩き方、うさぎ跳び様歩行、段差の昇降や立ち上がりを嫌がるなどが挙げられます。早期診断と体重管理、適切な運動習慣が予防・悪化防止に重要です。

胃拡張

胃拡張・胃捻転症候群は、胃にガスが溜まり膨張した状態でねじれてしまう緊急性の高い病気です。

大型犬の胸の深い犬種に多く、早食いや大量摂水、食後すぐの激しい運動、遺伝的要因などがリスク要因とされています。よだれの増加、吐きたそうにするが吐けない、お腹の膨張が認められた場合は、即座に動物病院への受診が必要です。

進行性網膜萎縮症(PRA)

進行性網膜萎縮症(PRA)は、眼の網膜が徐々に変性・萎縮し、最終的に失明する遺伝性疾患です。初期症状としては暗所で物が見えにくくなる夜盲症があり、進行すると昼間の視力も失われます。現在、進行を抑える治療法は確立されていませんが、繁殖前の遺伝子検査により予防的な対応が可能です。

先天性定常性夜盲症(CSNB)

先天性定常性夜盲症(CSNB)は、特にブリアードで発症率が高いと報告される遺伝性眼疾患です。

生まれつき暗い場所での視力が非常に低下しますが、この病気は進行性ではなく、明るい場所での日常生活には比較的影響がありません。こちらも遺伝子検査で早期に確認することが可能です。

ブリアードを迎える前の注意点

広場を楽しそうに走るブリアード

ブリアードは大型犬で運動量が豊富なため、飼育を決める前に生活環境との相性を慎重に検討する必要があります。

日常の散歩や運動を毎日欠かさず行えるだけの時間的・体力的余裕があるか、また近隣住民への騒音やマナー面で問題を起こさないかを事前に確認しましょう。

十分な運動・生活スペースの確保が鍵

集合住宅でも飼育は可能ですが、防音対策や運動スペースの確保など制約が多くなるため、自由に走り回れる庭や広い室内スペースを確保できる戸建て住宅が理想的です。

特に成犬時の体格を考慮し、居住スペースや移動動線に十分な余裕があるかを確認しておくことが重要です。

お手入れに必要な時間と体制を確認

ブリアードは美しい長毛が特徴ですが、日々の被毛ケアには手間がかかります。毎日のブラッシングを継続的に行えるか、また定期的に専門的なケアを受けられるトリミングサロンや動物病院が身近にあるかも迎える前に確認しておきましょう。

家族全員で迎える覚悟を共有する

ブリアードは賢く魅力的な犬種ですが、飼育には家族全員の理解と協力が不可欠です。家族が大型犬の飼育経験や知識を共有し、継続して適切な飼育ができるかどうかを慎重に検討しましょう。

家族の誰か一人に負担が集中しないよう、役割分担や責任範囲についても事前に話し合っておくことが望ましいです。

まとめ

原っぱに並んで立つ2頭のブリアード

ブリアードはフランス原産の牧羊犬で、豊かな長毛と力強く美しい体型、高い知性を特徴とする魅力的な犬種です。家族への忠誠心が強く愛情深い一方、独立心が強く頑固な性質もあるため、飼い主には一貫したしつけと根気が求められます。

また、日常的な運動や被毛のケアには多くの時間と労力がかかるため、飼育環境や生活スタイルとの相性を慎重に検討する必要があります。さらに大型犬特有の病気や遺伝的な眼疾患にかかりやすいため、定期的な健康管理も重要です。

こうした課題を理解し、きちんと向き合える飼い主にとって、ブリアードはかけがえのないパートナーとなるでしょう。

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