フレンチブルドッグの寿命はどのくらい?長生きのための飼い方と病気の予防策

フレンチブルドッグの寿命はどのくらい?長生きのための飼い方と病気の予防策

フレンチブルドッグの平均寿命は10~12歳。愛犬に長生きしてほしいと願う飼い主様へ。寿命を延ばすための食事や温度管理、皮膚病やヘルニアなど特有の病気の予防策を詳しく解説。今日からできるケアで大切な家族の健康を守りましょう。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

フレンチブルドッグの平均寿命

正面を向いて首を傾げるフレンチブルドッグ

フレンチブルドッグの平均寿命はおよそ10~12 歳とされています。

小型犬としてはやや短めであり、たとえばトイ・プードルやチワワなど他の小型犬種が14~16 歳前後であることを考えると、数年の差があります。ただし、これは平均値であり、遺伝的要因や生活環境、健康管理によって個体ごとに大きく差が生じます。

実際に平均寿命を超えて長寿を達成したフレンチブルドッグも数多く報告されており、海外では17 歳以上という長寿例も存在します。適切な健康管理と定期的な動物病院での診察を行えば、平均寿命を上回って長生きする可能性も十分にあります。

他の小型犬より短命な理由

フレンチブルドッグが小型犬の中でも寿命が短めになる理由として、短頭種特有の身体構造に加え、近年問題視されている遺伝的多様性の低下が挙げられます。

短い鼻と潰れたような顔の形が特徴の「短頭種」は、呼吸器系に慢性的な負担がかかりやすく、心臓や他の臓器にも影響を与えることで知られています。

また、英国の獣医学的研究(O’Neillら、2024)によると、フレンチブルドッグの急激な人気の高まりに伴って無理な繁殖が繰り返されていることが指摘されており、遺伝的多様性が低下して遺伝病や免疫力低下が増加し、寿命を短縮させる要因になっているとされています。

短頭種の体の構造が寿命に及ぼす影響

短頭種であるフレンチブルドッグは、呼吸困難の原因となる「短頭種気道症候群」を発症しやすい身体的特徴を持っています。鼻の穴が狭い「鼻腔狭窄」や、気道を塞ぎやすい「軟口蓋過長症」、さらに気管が細いなど、呼吸器系に問題が生じやすい構造になっています。

これらの要素が慢性的な酸素不足や呼吸困難を引き起こし、結果として心臓や他の内臓器官への負担を増やすことで、寿命の短縮につながる場合があります。

遺伝的要因が寿命に与える影響

フレンチブルドッグは特定の病気に対して遺伝的に弱い傾向があるとされています。皮膚疾患、椎間板ヘルニア、アレルギー性疾患などの病気は、遺伝的な要因が深く関与しているため、これらの病気にかかりやすい血統の場合、早期に寿命を縮めてしまう可能性があります。

遺伝的な要素については、繁殖時に遺伝的多様性を維持し、健康な親犬から産まれた子犬を選ぶことでリスクをある程度減少させることが可能です。飼い主が購入前に親犬の健康状態や遺伝情報を確認することも、寿命を延ばすための大切な一歩となります。

こうした要因を知り適切な対策を講じることで、愛犬の健康を守り、寿命をより長く伸ばすことが期待できます。

フレンチブルドッグの健康寿命を延ばす生活管理とケア

食器からご飯を食べるフレンチブルドッグ

フレンチブルドッグが持つ短頭種特有の体質や遺伝的な要素を考えると、健康で長生きさせるためには日常的な細かなケアが必要です。寿命を延ばすだけでなく、愛犬が快適で健やかな生活を送る「健康寿命」を伸ばすための具体的な方法について解説します。

肥満防止が健康寿命の鍵

フレンチブルドッグは食欲が旺盛なため、肥満リスクが非常に高い犬種です。肥満は呼吸困難や関節疾患の悪化を引き起こす原因となるため、体重管理は特に重要です。

一般的に市販のドッグフードパッケージに記載されている量はあくまで目安ですので、実際には「ボディコンディションスコア(BCS)」を基準に給餌量を調整することが望ましいとされています。

定期的に犬の体型を触って脂肪のつき具合を確認し、必要に応じてフードの量を調整しましょう。おやつの量も考慮に入れ、1日のトータル摂取カロリーを管理することが大切です。

適度な運動で健康維持

フレンチブルドッグは呼吸器系がデリケートなため、運動は必須ですが過度な運動は避けるべきです。散歩の目安は1日2回、1回あたりおおむね15~30分程度とされていますが、個体ごとの呼吸状態や気温・湿度によって柔軟に調整する必要があります。

散歩中は呼吸が荒くなっていないか、舌が紫色になっていないかなど、常に状態を確認してください。また、散歩時には気道に負担がかかりやすい首輪ではなく、ハーネスを利用することを推奨します。

適切な温度管理が寿命に直結する

フレンチブルドッグは体温調節が苦手で、特に暑さには非常に弱い犬種です。夏場の温度管理は生命にも関わるため、室温は23~26 ℃を目安としてエアコンなどを利用して調整してください。湿度も適切に管理することで、熱中症や呼吸困難のリスクを大幅に軽減できます。

冬の寒さも注意が必要で、ペット用ヒーターや犬用の服を活用し、室温を適切に保つよう配慮しましょう。

ストレス軽減が免疫力アップに効果的

フレンチブルドッグは飼い主との触れ合いを強く求める愛情深い犬種です。そのため、コミュニケーション不足や孤独感がストレスを引き起こし、結果として免疫力が低下することもあります。免疫力が低下すると、皮膚疾患や感染症などの病気を誘発しやすくなります。

毎日決まった時間を設けて一緒に遊んだり、声をかけたり、体を撫でたりしてコミュニケーションを十分にとりましょう。また、静かで落ち着ける寝場所を確保することも、精神面の安定と健康維持に役立ちます。

これらの日常的な配慮を継続的に行うことで、フレンチブルドッグの健康寿命を大幅に伸ばすことが可能となります。

フレンチブルドッグがかかりやすい病気と予防策

聴診器を首にかけて伏せるフレンチブルドッグ

フレンチブルドッグは遺伝的な要因や体の構造から、他の犬種よりも特定の病気にかかりやすい傾向があります。飼い主がこうした病気のリスクを理解し、日常的な観察や適切な予防を行うことで、早期発見と健康維持につながります。

短頭種気道症候群

短頭種気道症候群はフレンチブルドッグが特に注意すべき病気の一つで、鼻腔狭窄(鼻の穴が狭い)、軟口蓋過長症(喉奥の軟口蓋が長い)、気管虚脱(気管が潰れやすい)などが複合的に起こり、呼吸困難を引き起こします。症状として「ガーガー」や「ゼーゼー」といった異常な呼吸音が挙げられます。

この疾患の予防には体重管理が重要で、肥満は呼吸困難をさらに悪化させるため、適切な体重維持が必要です。また、重度の場合には外科手術が必要となることがありますが、その判断は必ず専門医による詳細な検査と診断を受ける必要があります。日常的な呼吸状態のチェックが早期発見につながります。

皮膚疾患(膿皮症・アレルギー性皮膚炎)

フレンチブルドッグは膿皮症やアレルギー性皮膚炎といった皮膚疾患にかかりやすく、特に皮膚のシワの部分は細菌が増殖しやすくトラブルを起こしやすい場所です。膿皮症では皮膚に発疹や痒みを伴い、放置すると慢性的な症状に移行することがあります。

予防策としては、シワの間を毎日または数日に一度、低刺激性のシートなどで優しく拭き、常に清潔かつ乾燥した状態を保つことが重要です。また、皮膚の赤みや痒みが続く場合は、早期に動物病院を受診し、シャンプー療法(薬浴)やアレルゲン除去を含めた食事療法を検討するとよいでしょう。

椎間板ヘルニア

フレンチブルドッグは軟骨異栄養性犬種のため、椎間板が変性しやすく、椎間板ヘルニアのリスクが高くなります。症状として後ろ足の麻痺や痛み、動作が鈍くなることがあります。

ヘルニア予防には背骨に負担をかけない生活環境の整備が重要です。特にフローリングでは滑りやすいため、厚さ約4〜5 cmの高密度ウレタン素材を用いた滑り止めマットを敷くことで、足腰への負担を軽減できます。また、ソファやベッドの昇降には緩やかな傾斜(角度20度程度)のスロープを設置すると効果的です。

目の病気(チェリーアイ・角膜潰瘍)

フレンチブルドッグは目が大きく飛び出し気味のため、「チェリーアイ(第三眼瞼腺突出症)」や「角膜潰瘍」などの目の病気にもかかりやすい傾向があります。

チェリーアイは生後2歳までに発症することが多く、早期治療が必要な疾患です。また、角膜潰瘍は目の表面に傷がつくことで起こり、放置すると重症化する恐れがあります。

目の病気の予防は、日頃から目ヤニや涙の量、充血、まばたきの頻度などを注意深く観察することが大切です。室内に尖った家具や物がないかを確認し、草むらなどに入る際は眼を傷つけないよう注意してください。異変を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。

日常的な観察と定期的な健康診断を組み合わせることで、これらの病気を早期に発見し、健康で長生きできる可能性が高まります。

まとめ

男性の膝の上に抱きかかえられているフレンチブルドッグ

フレンチブルドッグはその愛嬌ある姿と性格から人気がありますが、体の構造や遺伝的な特徴によって病気にかかりやすく、平均寿命は10~12 歳と比較的短めです。

しかし、適切な食事管理や運動の工夫、温度調整、ストレスの軽減といった日常的なケアを行い、病気予防のために日々観察をすることで、寿命を延ばし健康的に過ごすことが可能です。少しでも異変を感じたらすぐに動物病院に相談し、愛犬が元気に長生きできるようサポートしてあげましょう。

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