フレンチブルドッグの抜け毛が多い理由
フレンチブルドッグの抜け毛が多い最大の理由は、その被毛が「ダブルコート」と呼ばれる二層構造になっているためです。
このダブルコートは、硬く太い毛で皮膚を保護する「トップコート(上毛)」と、その下に密集して生える柔らかく保温性の高い「アンダーコート(下毛)」で構成されています。
このうち、特にアンダーコートが季節の変わり目などに大量に生え変わるため、抜け毛が多くなるのです。
フレンチブルドッグの抜け毛が多い時期は?
フレンチブルドッグの抜け毛は年間を通してありますが、特に多くなるのは「換毛期」と呼ばれる時期です。これは主に春と秋の年2回訪れ、気温の変化に対応するために被毛が生え変わる大切な期間です。
春には冬用の保温性の高いアンダーコートがごっそりと抜け落ち、夏に向けて通気性の良い被毛へと変化します。
秋には逆に、冬の寒さに備えてアンダーコートが密に生え揃うため、夏用の被毛が抜け落ちます。この換毛期には、普段よりも格段に抜け毛の量が増えることを覚えておきましょう。
フレンチブルドッグの抜け毛対策
フレンチブルドッグの抜け毛を完全になくすことはできませんが、適切な対策を行うことで、飼い主さんの負担を軽減し、愛犬も快適に過ごせるようになります。
こまめにブラッシングする
抜け毛対策の基本は、こまめなブラッシングです。特に換毛期には、できれば毎日行うのが理想です。ブラッシングは、抜け落ちる毛を物理的に取り除くだけでなく、皮膚の血行を促進し、健康な被毛の育成を助ける効果もあります。
フレンチブルドッグのような短毛種には、ラバーブラシや獣毛ブラシがおすすめです。ラバーブラシは皮膚を傷つけにくく、マッサージ効果も期待できます。獣毛ブラシは、毛艶を出すのに役立ちます。被毛の奥にあるアンダーコートまでしっかりとけるよう、丁寧にブラッシングしてあげましょう。
適切な頻度でシャンプーする
定期的なシャンプーも抜け毛対策には有効です。シャンプーによって、抜けかかっている毛やフケ、汚れを洗い流すことができます。ただし、シャンプーのしすぎは皮膚を乾燥させ、かえって皮膚トラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
フレンチブルドッグの場合、月に1~2回程度を目安に、愛犬の皮膚の状態に合わせて調整しましょう。シャンプー剤は、犬用の低刺激性のものを選び、すすぎ残しがないようにしっかりと洗い流すことが大切です。シャンプー後は、タオルドライだけでなく、ドライヤーで根本からしっかりと乾かすことで、皮膚の蒸れを防ぎ、皮膚病の予防にも繋がります。
犬用の「洋服」を活用する
室内での抜け毛の飛散対策として、洋服を着せるのも一つの方法です。洋服が抜け毛をキャッチしてくれるため、床や家具への毛の付着を軽減できます。ただし、洋服を着せっぱなしにすると、皮膚が蒸れて皮膚炎の原因になることもあります。
通気性の良い素材を選び、こまめに着替えさせたり、定期的に脱がせて皮膚の状態を確認したりすることが重要です。また、フレンチブルドッグは暑さに弱い犬種なので、夏場の洋服の着用は特に注意が必要です。
バランスの取れた食事(ドッグフード)を与える
健康な皮膚と被毛を維持するためには、バランスの取れた食事が不可欠です。良質なタンパク質や、皮膚・被毛の健康維持に役立つとされるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、ビタミン類、ミネラル類などがバランス良く含まれたドッグフードを選びましょう。
栄養状態が悪くなると、毛艶が悪くなったり、抜け毛が増えたりすることがあります。愛犬の年齢や活動量、体質に合ったフードを選び、常に新鮮な水が飲めるようにしておくことも大切です。
こまめに掃除する事を意識
どれだけ対策をしても、ある程度の抜け毛は避けられません。部屋に落ちた毛をこまめに掃除することも重要な対策の一つです。フローリングやカーペットなど、床の素材に合わせた掃除用具を活用しましょう。
粘着ローラーやゴム製のワイパー、吸引力の高い掃除機などが役立ちます。また、空気清浄機を使用するのも、空気中に舞う毛を減らすのに効果的です。特に換毛期には、掃除の頻度を上げると良いでしょう。
フレンチブルドッグの抜け毛が異常な場合は「病気のサイン」の可能性も…
フレンチブルドッグの抜け毛は通常、生理的な現象ですが、場合によっては病気のサインである可能性も考えられます。
例えば、特定の部分だけが極端に脱毛している(円形脱毛など)、皮膚に赤み、発疹、かゆみ、フケが大量に出る、体を頻繁にかく、毛が薄くなり地肌が見えている、といった症状が見られる場合は注意が必要です。
これらの症状は、アレルギー性皮膚炎、細菌や真菌による皮膚感染症、内分泌系の疾患(甲状腺機能低下症など)、あるいはノミ・ダニなどの外部寄生虫が原因となっている可能性があります。
普段から愛犬の皮膚や被毛の状態をよく観察し、いつもと違う異常な抜け毛や皮膚トラブルに気づいたら、自己判断せずに早めに動物病院を受診しましょう。獣医師に相談することで、適切な診断と治療を受けることができます。
まとめ
フレンチブルドッグの魅力的な被毛は、残念ながら多くの抜け毛を伴います。その主な理由は、彼らが「ダブルコート」という二層構造の毛を持っているためで、特に春と秋の換毛期には驚くほどの毛が抜けます。
しかし、日々のこまめなブラッシング、適切なシャンプー、バランスの取れた食事、そして必要に応じた洋服の活用といった対策を根気よく続けることで、抜け毛による悩みは軽減できるはずです。大切なのは、抜け毛をフレンチブルドッグとの生活の一部と捉え、上手に付き合っていくことです。
そして、普段と異なる異常な抜け毛や皮膚のトラブルが見られた際には、病気の可能性も考慮し、速やかに動物病院を受診することを忘れないでください。正しい知識とケアで、愛するフレンチブルドッグとの快適な毎日を送りましょう。
フレンチブルドッグの抜け毛対策は、飼い主さんの愛情と根気の見せ所とも言えるでしょう。日本でも人気の高い柴犬やゴールデン・レトリバーなどもダブルコートの犬種で、同様に抜け毛が多いことで知られています。彼らと暮らす多くの飼い主さんも、様々な工夫をしながら抜け毛と上手に付き合っています。