盲導犬の引退 リタイア後も幸せに

盲導犬の引退 リタイア後も幸せに

視覚に障害をもつ方の安全な歩行を補助する盲導犬。ユーザーにとって、なくてはならない存在です。しかし、いずれは年をとり、盲導犬を引退するときがやってきます。その後はどうなるのでしょうか。盲導犬の引退について、ご紹介します。

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盲導犬の引退について

盲導犬とユーザー

盲導犬は、専用の訓練センターでトレーニングを受け、2才ごろに視覚に障害をもつ方に引き渡されます。その後は、ユーザーの外出時に同行し、人を支えて生きることになります。

ですが、盲導犬はユーザーの所有になるわけではなく、「貸与」ということで、一定期間、ユーザーに貸し出されている状態です。そのため、おおむね10才になると引退の時期を迎え、ユーザーのもとを離れることになります。

10才でもまだ盲導犬として働くことはできますが、余力を残して引退させることになっています。犬の一生を考えたとき、まだ元気なうちに引退して、余生を過ごすほうが幸せだからです。

もちろん、ユーザーにとっても、盲導犬自身にとっても、別れはつらいものです。特に、これまで生活を支えてくれた盲導犬を手放したくないと思うユーザーも少なくありません。

ですが、仮に今の盲導犬を家庭犬にして、新しい盲導犬を迎えたとしたら、先代の犬にとっては、役目を奪われたことになり、決して幸せではありません。そのため、引退後は新たな生活の場で、余生を過ごすことになっているのです。

盲導犬を引退した後

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10才ごろで盲導犬を引退した犬たちは、一般の家庭犬と同じ、普通の犬として生活することになります。もうハーネスをつけて働くことはありません。それぞれの場で、余生を過ごします。

ボランティア家庭

日本盲導犬協会では、引退した盲導犬を引きとる「引退犬飼育ボランティア」を募集しています。その名のとおり、引退した盲導犬を家族の一員として迎え、一生世話をするボランティアです。

室内飼育ができる、留守にする時間が短いなどの条件をクリアした家庭が、引退犬を引きとります。もちろん終生飼育ですから、最期を看取る覚悟も必要です。

引きとられた引退犬は、普通の犬と同じように、家族にかわいがられて過ごします。犬の健康状態について、ボランティアと盲導犬協会が連携をとるため、いわゆる「飼い殺し」にされることはありません。最期のときを迎えるまで、ボランティア家庭で暮らすことになります。

盲導犬の施設

静岡県には、盲導犬訓練施設「盲導犬の里 富士ハーネス」があります。ここは、盲導犬の総合センターで、繁殖から訓練、一般向けの啓発活動を行う施設です。富士ハーネスには、引退した盲導犬のための場所があり、ここで余生を過ごす犬たちもいます。

引退した犬にとっては、ボランティア家庭で暮らせるのが一番良いのでしょうが、ボランティアが不足した場合などに備えて、富士ハーネス内に設備があります。

盲導犬が一生を通してきちんと世話をされるために、日本盲導犬協会が責任をもって整備しました。もちろん、医療設備も整っていて、盲導犬は引退後も健康管理を受け、適切な治療が施されます。

盲導犬を引退に関するまとめ

お散歩中の盲導犬

視覚に障害をもつ方にとって、外出するためのパートナーである盲導犬たち。盲導犬は単なる使役動物ではなく、あくまで犬であることを前提に、一生を送るようにケアされています。

誕生からパピーウォーカーのもとへ、そして訓練センターへ。訓練が終わると、ユーザーのもとへ。盲導犬に関わる人は、皆犬の幸せと健康を考えて、適切なケアを行います。

引退後は、ユーザーさんも盲導犬の行く末を案じますので、ボランティア家庭などから盲導犬協会を通して、様子が報告されます。最期まで、人間の愛情を感じて、盲導犬は一生を送るのです。

盲導犬が大切に育成され、最後まで幸せに暮らすための費用は、90%が寄付によってまかなわれています。盲導犬協会の賛助会員になる、好きな金額を寄付する、募金箱を利用するなど、個人でもできることがありますので、支援を検討してみるのもいいですね。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 コロ

    盲導犬のリタイア後については以前テレビで拝見したことがあります。
    立派に盲導犬として活躍したのち、ボランティアのご家庭で飼われていた姿をみたらなんとなくほっとしたのんびりとした表情だったのを今でも覚えています。
    その時に私は将来的に、そのボランティア家庭になれないかと真剣に色々調べて盲導犬の施設まで問い合わせしたことがあります。
    迎え入れる為のある程度、厳しい審査がありますがいつかはきっと・・・頑張った盲導犬が残りの人生をゆっくり楽しく、自由に過ごせる手助けをしたいと考えています。
    一生懸命に頑張って飼い主さんの目となり働いてきた盲導犬たちが最後まで幸せだったと思えるような時間を作ってあげたいと思っています。
  • 投稿者

    女性 午後ティー

    子どもの頃と比べると、盲導犬を連れている方を見かける機会そのものが、ぐっと減ったように思います。(私の住む街だけかもしれませんが)その理由が、医療技術の進歩により視覚障害の方が減ったこと、盲導犬に頼らない環境が整ったことというポジティブな理由によるものならいいのですが、日本盲導犬協会によれば、盲導犬が不足していることがわかります。また、盲導犬はハードワークとストレスのためで短命である、飲食店やホテル等に出入りが許可されていると法律で定められているが、動物アレルギーや動物嫌いの人間には不公平である等、盲導犬に対する誤ったイメージ、ネガティブな情報が広がっているのも、盲導犬を見かける機会が減ったことにつながっているのではないでしょうか。

    使役のために躾けられ高齢になればサヨナラではなく、誕生から最期まで、犬として守られている、守ろうという仕組みの中にいる盲導犬と、愛玩犬として飼われたものの自己都合でサヨナラされる犬、どちらが幸せなのでしょうか。盲導犬についての是非は、視覚障害者の方、健常者、それぞれの立場や想いを色々な角度から考える必要がありますが、視覚障害の方を支えてきた盲導犬のリタイア後の日々をまとめられたこのような記事の内容も、知っておきたいことだと思います。
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