トリマーになるには① 資格の取り方
トリマーになるには美容師のような国家資格は必要なく、一般的には民間団体が行っている認定試験を受ける人が多いようです。試験を受けずにそのまま働くこともできますが、認定資格は専門的な知識や技術を学んだことの証明になるため、就職の際に有利になる場合があります。
民間の資格にはさまざまな種類があります。代表としては「JKC認定トリマー」という一般社団法人ジャパンケネルクラブによる認定資格があります。資格の取り方はJKC公認の養成機関で学ぶのが一般的です。
もう1つは一般社団法人日本ペット技能検定協会が行っているトリマー認定試験です。協会が認定している専門学校で、指定のカリキュラムを修了した人が認定されます。また、これらの民間資格を通信教育やトリミングスクールなどで学んでから受験する方法もあります。
トリマーになるには② 専門学校・通信講座など
専門学校
トリマーになるには学校に通学する方法があります。大学の獣医学部や動物看護学部もありますが専門学校で学ぶ人が多いようです。学校で学ぶ場合、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 細かな技術などを直接指導してもらえる
- カリキュラムが細やかでしっかりと学べる
- 「通学」という強制力があり、継続しやすい
- 人脈が広がる
デメリット
- 近くに学校がなければ通学が大変
- 時間的な拘束がある
- 費用がかかる
専門学校で学ぶ一番のメリットは、技術指導を直接受けられることや、先生の技術を自分の目で見て学ぶことができる点でしょう。授業内容も多岐に渡り、幅広い知識が身に付きやすくなります。通学すること自体が強制力になるため、最後まで頑張れる人も多いようです。人脈が広がり就職などに役立つケースがあるのも専門学校で学ぶメリットとして挙げられます。
専門学校が近くにない場合は通学が大変になるといったデメリットがあります。さらに昼間部で学ぶ場合は時間的な拘束が生じます。現在ほかの仕事をしている場合や学校に通っている人の場合は掛け持ちが厳しいと言えるでしょう。学費は通信制よりも高額となります。
通信講座
トリマーになるには通信講座を受講する方法もあり、さまざまな民間団体が養成講座を設けています。通信講座のメリットとデメリットは下記のとおりです。
メリット
- 好きな時間、好きな場所で勉強ができる
- 別の仕事や学業と両立しやすい
- 学校に通うよりも学費が安く済む場合が多い
- 専門学校よりも早く資格試験を受けられるものが多い
デメリット
- 実技経験が少なくなる
- 勉強を続ける意志が強くないと途中で挫折しやすい
時間に余裕がない人や自分のペースで学びたい人がトリマーになるには通信講座で学ぶのがよいでしょう。短期間で受験に必要な知識を学ぶことができるのが通信制のメリットです。資格は概ね6カ月~1年後には取得することができ、授業料が安いのも通信講座の魅力といえます。
通信講座には実技経験が圧倒的に少ないというデメリットがあります。そのため学科を通信で学び、実科はペット美容院などで実務に就きながら自身で学んでいる人が多いようです。また、学ぶ内容も専門学校に比べると少ないというデメリットもあります。通信講座の勉強には強制力がないため、強い意志で学び続けなければ途中で挫折してしまうこともあります。
通学制のトリマー養成スクール
トリマーになるには養成スクールに通うという方法もあります。通学生養成スクールとは、短期間でトリマーの認定資格を取得することを目的としたスクールです。通信制よりは受講期間は長く、専門学校よりは短い期間で学べるところが多いようです。
メリット
- 集中的な学習で、早く認定試験が受験できる
- 講師の直接指導が受けられる
- 希望受講曜日や時間を選べるところが多い
- 専門学校より安い
デメリット
- スクールによって、講師の質や費用にばらつきがある
- 短期集中受講型が多いので、ハードなスケジュールとなりがち
通学生のトリマー養成スクールは、専門学校に比べ受講料が安い点が魅力と言えるでしょう。授業は講師がいるため実技実習も受けられます。授業の曜日や時間は自分の都合に合わせて選ぶことができるスクールも多いようです。
養成スクールは、独自のカリキュラムや受講料を設定しているところが多いのが特徴です。このため講師の質や設備だけでなく、受講料にもばらつきが見られるかもしれません。また、短期間での資格取得を目標としているため、通学中は過密なスケジュールが予想されます。
トリマーになるには③ かかる費用
専門学校の場合
専門学校に通う場合、初年度でかかる費用はおよそ120万~150万円と言われています。この金額の中には授業料のほか入学金や施設設備費が含まれます。また、トリマーになるにはハサミなどの道具一式も実技に必要となり、学校によってはこれらの代金を別途諸費用として支払うところもあるようです。専門学校は2年過程が多いので、2年間のトータル費用は240万~300万円と考えるとよいでしょう。
専門学校には夜間部を設けているところもあります。昼間部に比べ授業時間が少ないため費用は昼間部よりも安めで、年間80万~100万円の学校が多いようです。
通学制のトリマー養成スクールの場合
トリマー養成スクールでかかる費用は80万~120万円ほどと言われていますが、地域やスクールによって差があります。安いスクールでは50万円代というところもあるようです。カリキュラムや授業回数、時間などの違いが費用の違いにも現れますので、詳細を確認してみることをおすすめします。
トリマーになるには、本物の犬を相手に実技を行うことが近道になります。養成スクールでは本物の犬をモデルにトリミングの技術を身につけるという特性があるため、通信講座よりも費用がかかることを想定しておきましょう。
通信講座の場合
通信講座の受講料は約8万円~30万円で、3つの方法の中では1番安い費用となります。分割での支払いの場合、月々数千円に支払いを抑えることも可能です。受講料にはテキストやDVD、実寸のモデル犬の人形や、トリミング用のハサミセットなどが含まれています。費用はまだ貯まっていないけれど、早めに勉強をスタートさせたい人などがトリマーになるには1番の近道かもしれません。
資格試験受験料
認定試験の受験費用は試験団体により異なります。現在一般社団法人ジャパンケネルクラブのトリマー資格は各級5,300円となっていますが、10,000円を超える金額が必要になる団体もあります。認定試験は合格ラインに達していなければ当然不合格となり、再受験しなければなりません。早くトリマーになるには、まずは認定試験の1発合格を目指したいところです。
トリマーになるには④ その他必要なこと
犬に愛情を持つ
トリマーになるには、あらゆる犬に対して同じように愛情を持って作業する覚悟が必要です。犬好きだからこそ目指している職業だとは思いますが、中にはトリミングされることを犬が拒み、噛む、引っ掻くなど、痛い思いをすることもあるでしょう。相性の良し悪しなどもあるかもしれませんが、深い愛情と覚悟を持って犬との信頼関係を築くことが大切です。
向上心
トリマーになるには常に向上心を持って学ぶことが大切です。先生や店員の技術を見習うことは勿論ですが、常に研究熱心である必要があります。お客様に言われたことをそのままこなすだけではなく、自分なりに工夫やアイディアを提案できるトリマーは信頼されます。
例えば見た目の可愛さだけでなく、お客様の愛犬が季節に合わせて快適に過ごせるスタイルや、飼い主さんが家庭でお手入れしやすいカットなどを総合的にアドバイスできるようになると、プロとしてより信頼が増すでしょう。トリマーを目指している段階から、提案力や想像力を養う訓練を行えるとよいですね。
接客のスキルとコミュニケーション能力
トリマーにはサービス業という一面もあるため、お客様である飼い主さんが安心して愛犬を任せられるような気配りが必要となります。お客様の要望を上手にくみ取るためには会話力も必要不可欠です。
飼い主さんは、愛犬を「こんな風にしたい」と希望を抱いて店にやってきます。会話を通して要望を理解し、希望通りに仕上げてあげることでお客様との信頼関係も築かれるでしょう。トリマーになるには、できれば接客業を経験しつつ、日頃からのコミュニケーション力を高めておくことが理想的です。
健康管理
トリマーになるには、日頃から自分自身の健康管理をしっかり行えるかどうかが重要になるでしょう。基本的にトリマーは、作業中立ちっぱなしになることが多い職業です。シャンプーやカットが嫌いで暴れる犬を上手に押さえたり、超大型犬を抱きかかえて作業したりするので力も必要になります。体力をたくわえ、普段から健康維持を意識して生活するようにしましょう。
トリマーになるには⑤ 仕事内容
就職(ペットサロン、ペットホテル)
トリマーになるにはペットサロンやペットホテルで実務経験させてもらうことも大切です。資格取得後、正式にその店舗で採用される人もいるようなので見習い段階からお店を探すのもよいでしょう。
仕事内容の中には、マッサージやネイルアートなどのリラクゼーションサービスを提供する店もあり、トリマーにも多様性が求められています。飼い主や犬に対するホスピタリティ精神を求めている環境が多いのが、ペットサロンやペットホテルの特徴とも言えそうです。
お給料は経営形態や地域によって違いますが、あまり高額とは言えないようです。しかし技術を持ったトリマーは、どのような店でも重宝されるので努力次第でやりがいを感じられるかもしれません。
フリーランス
トリマーになるには独立開業して店舗を構える方法もあります。また、店を構えないで特定の店舗やホテル、動物病院などと提携契約して必要に応じて出向くトリマーもいるようです。普段は違う仕事をこなしながら、予約が入った時だけトリマーとしての仕事をする方法など、自由なスタイルでの働き方を選べるのがフリーランスの特徴です。
お給料は働き方の工夫次第で大きく変わります。仕事をすればするほど収入が増えますので、自分の頑張りや腕次第で高収入も期待できるかもしれません。
まとめ
トリマーになるには特に資格は必要ありませんが、知識や技術を学ぶ民間団体や認定試験がいくつかあることがわかりました。これらを受講し資格取得することで、トリマーとして働く夢に一歩近づくことができます。
トリマーはハードな職業ではありますが、犬好きな人にとっては大変やりがいのある仕事になるでしょう。自分にあった資格取得方法でしっかり学び、是非トリマーになる夢を実現させてください。
ユーザーのコメント
40代 女性 さら
20代 女性 すず
丁寧にきれいにしてくれるトリマーさんは素晴らしいお仕事だと思いますし、大変そうですよね。
毎月お世話になっているのに実はあまり詳しく知らないトリマーさんのことについてこの記事で知れて、当たり前ではありますがトリマーとして働くまで大変なんだなと関心しました。いつもありがとうございます。
30代 女性 きなこ
実技は、学校の犬でなく実際にお客さまから預かった犬なので最初は緊張の連続でした。ハサミを使うので神経も使います。大人しい犬ばかりではありません。暴れたり、噛み付かれたり…生傷も絶えませんでした。シャンプーで手も荒れるし、ドライヤーで全身毛だらけになり家に色んなわんこの毛を知らず知らず持ち帰ったり^^;
正直「犬が好き」だけでは続けていけないかも。トリミング中もずっと立ちっぱなしなので体力も必要です。トリマーの裏側はドッグショーで見た様な華やかな世界ではなかったですが、生まれ変わったように綺麗になったわんちゃんと迎えに来て喜んでくれる飼い主さんを見るととてもやりがいのある仕事だと思います。
30代 女性 あー
30代 女性 38moto
愛犬のトリミングをお願いする時に、トリマーさんに色々聞いてしまうことがありますが、何を聞いてもちゃんとした回答をくれるので、とても知識が豊富なんだなと感心していました。
愛犬をお迎えに行った時もごきげんで出てくるので、いつも犬にどんな対応をしてくれていたのかわかります。犬と仲良くなるコツも心得ているのでしょうね。
手馴れているトリマーさんは犬に不安を感じさせず仕事も早いですが、なりたてのトリマーさんは手元がたどたどしく、見ていても怖いものがあります。やはり場数を踏まないとならない職種だと思うので、通信講座で資格を取るというのは基礎を学べると思いますが実際に働くとなると聊か不安があります。
愛犬を預ける側としては、専門学校で技術も学んだ方にお願いしたいと思います。
女性 梅子
一緒に勉強をしているクラスメイトは、夜学なのでやはり昼間は別のお仕事をされていたり、若い方も学費を稼ぎながら並行して勉強している方もいるそうです。
ペット数が増えて、トリマーの需要は増えているとは思いますが、現実トリマーさんの給与体系は非常にシビアだと思います。独立して自身で店舗を持たないと満足な稼ぎはないと言っていました。
そのため高校卒業後にトリミングの専門学校へ行き、トリマーとして就職をしても30歳前に離職する方がとても多いそうです。専門職なのにもったいないですが生活を考えると仕方ないのかも知れません。
その話を聞いて、利用する側としても、価格だけでサロンを選ぶのは優秀なトリマーさんを育成するためには考えもんだな、と思いました。
女性 バニラ
女性 ゴン吉
犬のことを理解しているトリマーさんは安心ですね。トリミングのお迎えに行った時も愛犬は嬉しそうなので、本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。
女性 もふころ
犬を好きでい続ける人がなるべき職ですね。