犬を外で飼うと『寿命が縮まる』4つのリスク 健康に与える悪影響や避けるべき理由も解説

犬を外で飼うと『寿命が縮まる』4つのリスク 健康に与える悪影響や避けるべき理由も解説

かつて日本では、犬を外で飼うのが一般的でしたが、近年は室内飼育が主流となっています。愛犬を外で飼うと、愛犬との幸せな時間が短くなってしまう可能性があります。なぜなら、屋外飼育は犬の寿命を縮める要因になり得るからです。この記事では、犬を外で飼うと寿命が縮まる4つのリスクと、犬を外で飼うのを避けるべき理由を3つご紹介します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬を外で飼うと寿命が縮まる4つのリスク

犬小屋の前でくつろぐシベリアンハスキー

現在の犬の平均寿命は約14〜15歳とされており、40年前と比べると2倍も延びています。犬の寿命が延びた主な要因は、栄養バランスのよいドッグフードの普及、動物医療の進歩、そして飼育環境の変化です。かつては外で飼われていた犬が室内で飼われるようになったことによって、長生きできるようになったのです。

このように室内飼育が長寿に貢献する一方で、屋外飼育は犬の健康に悪影響を与え、結果的に寿命を縮めてしまうリスクがあります。ここでは、犬を外で飼うと寿命が縮まる4つのリスクをご紹介します。

1.寄生虫や感染症のリスク

主に散歩のときしか外に出ない室内飼育の犬に比べ、常に外で過ごす屋外飼育の犬は、ノミやマダニ、蚊に刺される確率が格段に高くなります。これらの害虫は、犬を刺してかゆみや皮膚炎を引き起こすだけでなく、さまざまな感染症や寄生虫を媒介します。

そのため、定期的にノミやマダニ、フィラリアの予防薬を投与していない犬を外で飼った場合、寿命を縮める大きな要因となるのです。

例えば、ノミは瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)という寄生虫を媒介し、マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介します。また、蚊はフィラリアを媒介し、フィラリア症を引き起こす恐れがあります。

2.熱中症や低体温症のリスク

室内飼育であれば冷暖房で温度調節が可能ですが、屋外飼育ではそれができません。屋外飼育の犬は気温や天候の影響を直接受けるため、夏場は熱中症に、冬場は低体温症になるリスクが高まります。

熱中症も低体温症も犬の身体に大きなダメージを与え、命を落とすこともあります。温度管理のされた室内で飼われていれば長生きできる犬も、外で飼われることで寿命が縮まる恐れがあるのです。

3.精神的ストレスのリスク

犬はもともと群れで暮らす社会的な動物であり、飼い主や家族と一緒にいることで安心感を覚えます。そのため、外で飼われている犬は孤独や不安を感じやすく、それがストレスにつながりやすいです。

ストレスが慢性化すると、無駄吠えなどの問題行動を引き起こすだけでなく、免疫力を低下させることもあります。免疫力が低下すると病気にかかりやすくなるため、精神的ストレスは間接的に犬の寿命を縮める要因となります。

4.体調変化に気づきにくいリスク

屋外飼育では飼い主の目が届きにくいため、犬の体調の変化に気づきにくくなります。食欲が少し落ちた、排泄物の様子が違う、何となく元気がないといった体調の変化に、室内飼育であればすぐに気づけますが、屋外飼育では見逃されやすいのです。

体調の変化に気づくのが遅れると、動物病院を受診するのも遅れ、病気が重症化してしまうこともあります。

病気の早期発見と早期治療は、犬の寿命を延ばす鍵です。しかし、屋外飼育では早期発見が難しくなりがちで、それが寿命を縮める一因になります。

犬を外で飼うのを避けるべき理由

吠える柴犬

犬の寿命が縮まるリスクがあること以外にも、屋外飼育にはさまざまな問題が生じやすいです。それらの問題は、犬を外で飼うのを避けるべき理由と言えるでしょう。ここからは、その具体的な理由を3つご紹介します。

1.コミュニケーション不足になりやすい

屋外飼育では、犬と接する機会が給餌や散歩といった必要最低限のお世話に限られがちで、コミュニケーション不足になりやすいです。

コミュニケーションの時間が少ないと、犬のストレスになるだけでなく、飼い主との信頼関係を築きにくくなります。また、褒めるタイミングや叱るタイミングを逃しやすいため、しつけも難しくなります。

このように、屋外飼育によるコミュニケーション不足はさまざまな弊害を生むため、室内飼育が望ましいのです。

2.近隣トラブルにつながりやすい

外で飼われている犬は、周囲の物音や通行人などの外部の刺激に常にさらされているため、警戒心や不安から吠えやすい傾向があります。また、孤独感やコミュニケーション不足のストレスが、無駄吠えにつながることも少なくありません。

犬の吠え声は近隣住民にとっては迷惑な騒音となるため、苦情などのトラブルにつながりやすいです。円満なご近所付き合いを続けていくためにも、犬を外で飼うのは避けるべきでしょう。

3.脱走や連れ去りのリスクが高い

屋外飼育の犬は、脱走や連れ去りのリスクが高いです。

犬を係留していても、何かの拍子で首輪が抜けたり、雷や花火の音などに驚いてパニックを起こし、鎖やワイヤーを引きちぎったりして脱走することがあります。犬が脱走した場合、交通事故に遭ったり迷子になったりして、飼い主と再会できなくなるかもしれません。

また、人目につきやすい場所で飼われている犬は、第三者に犬を連れ去られてしまう可能性が高くなります。犬の命と安全を守ることを考えると、外で飼うのは避けるべきです。

まとめ

犬小屋から顔を出す白い小型犬

犬を外で飼うことには、熱中症や低体温症など、寿命を縮める多くのリスクが伴います。さらに、コミュニケーション不足や近隣トラブル、脱走や連れ去りといった問題も起こりやすいため、犬を外で飼うのは避けるべきです。

愛犬の心と体の健康を守り、できる限り長く幸せな時間を共に過ごすためには、室内飼育が最も望ましいと言えるでしょう。

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