犬に負担をかける飼い主の『愛情表現』7つ
愛犬にたっぷりの愛情を注ぐことは、飼い主にとって自然なことです。しかし、犬への愛情のかけすぎや過保護な接し方は、知らず知らずのうちに犬の心や体に悪影響を与えてしまうことも。
この記事では、犬に対して愛情が過剰になりがちな飼い主の特徴を7つ紹介し、それぞれがもたらすデメリットについて具体的に解説します。
1.常に構いすぎる
「寂しがっていないか」と心配になり、常に話しかけたり目を合わせたりする接し方を続けていませんか?なるべく留守番をさせず、ずっと一緒にいようという方も多いかもしれません。
しかし、犬に一人で過ごす時間を与えないことは、自立心を育てる妨げになることも。結果として、分離不安や留守番中の問題行動(吠え・破壊など)が起こる原因になります。
2.抱っこや膝の上が当たり前になっている
散歩中でもずっと抱っこ、家でもずっと膝の上に乗せたまま……という接し方をしていませんか?
このように犬の自由な行動を制限する過保護な扱いは、犬の社会性を育てる機会を奪います。また、足腰の筋力が十分に発達せず、将来的な関節トラブルにつながることもあるのです。
3.犬の要求にすぐ反応してしまう
吠えたり鳴いたりしたときに、おやつをあげたり、すぐ構ってしまうことはありませんか?
こうした反応を続けると、犬は「吠えれば思い通りになる」と学習し、要求吠えや問題行動が増える可能性があります。犬のしつけに一貫性を持たせることが重要です。
4.おやつに頼りすぎている
「静かにしていてほしいから」「気をそらしたいから」と、ついおやつを与えてしまうことはありませんか?
おやつの多用は肥満や栄養バランスの乱れを引き起こすだけでなく、しつけの目的がブレやすくなる原因にもなります。ご褒美として使う場合は、タイミングや回数に注意しましょう。
5.叱らない or 褒めすぎる偏ったしつけ
その日によってルールが変わったり、家族によって対応がバラバラだったりすると、犬はどう行動すればいいのか分からず混乱します。
叱らないしつけ・褒めすぎるしつけのように極端になりすぎると、犬が誤ったルールを覚えてしまい、問題行動が定着するリスクが高まります。
6.犬の「嫌がるサイン」を無視してスキンシップ
犬が体を硬くする・目をそらす・あくびをするなどの「いや」のサインを出しているのに、気づかずにスキンシップを続けていませんか?
このような接し方を続けると、人との接触が「嫌なもの」になり、将来的に唸り・咬みなどの防衛行動につながる恐れがあります。犬のボディランゲージを理解することが大切です。
7. 「嫌がるから」とケアを避けてしまう
歯みがき、耳掃除、爪切りなどを「嫌がるから」と避けていると、犬の健康を維持するために必要なケアが不十分になります。
結果として、口腔疾患や皮膚トラブル、耳の病気などの原因になり、犬に慢性的な痛みや不快感を与えてしまいます。
今日から始める!犬との関係を改善する方法
犬への過剰な愛情や依存的な接し方を少しずつ見直すことで、愛犬にとっても飼い主にとっても心地よい関係が築けるようになります。
ここでは、今日からできる具体的な改善方法をご紹介します。いずれも特別な道具や技術は不要なので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
「ひとりで落ち着く練習」を習慣にする
犬の自立心を育てる第一歩としておすすめなのが、「マットトレーニング」。マットを「ここにいると安心できる場所」と覚えさせることで、犬は自然と落ち着いて休めるようになります。
また、クレートも「自分の安心スペース」として使えるよう、少しずつ慣らしていくと◎。
分離不安の予防にもつながる大切な習慣です。
接し方に“メリハリ”をつける
なんとなく構うのではなく、「合図 → 行動 → 褒める」の順番を守ることで、犬も安心して行動できます。
例えば、飛びついたときは無視し、「おすわり」など望ましい行動に置き換えて教えると、犬はより正しい行動を学びやすくなります。こうした一貫性のあるしつけは、犬との信頼関係を深める上で非常に効果的です。
散歩では“におい嗅ぎタイム”をしっかり確保
ただ歩かせるだけでなく、においを嗅いで自由に探索する時間を作ることで、犬の本能が満たされ、ストレス発散や精神的な満足感につながります。
また、室内でも知育トイ(知育玩具)やフードパズルを取り入れることで、頭を使う遊びができ、毎日の生活がより充実したものになるでしょう。
スキンシップは“犬のタイミング”に合わせる
犬が自分から寄ってきたときに軽く撫でる、短時間で終える、嫌がるサイン(体を固くする・目をそらす・あくびなど)が出たらすぐやめる――。
こうした犬の気持ちを尊重したスキンシップを心がけることで、触れ合いの時間が安心感や信頼につながっていきます。
ケアは段階的に進め、ご褒美で“好き”に変える
歯みがきや耳掃除、爪切りなどを嫌がる犬は多いですが、いきなり完璧を目指す必要はありません。最初は「歯ブラシに触れるだけ」「耳に指を近づけるだけ」など、小さなステップから始めて褒めることが大切です。
「今日はここまでできた」で終わらせることで、ケアへの抵抗感が減り、徐々にポジティブな印象に変わっていきます。
まとめ
犬の幸せを考えるとき、「たくさん構えばいい」というわけではありません。少し距離をとったり、自立を促したりすることも、実は大切な愛情のかたちです。「犬の気持ちを尊重した接し方」に少しずつ切り替えることで、より信頼し合える関係に近づいていけるはずです。