トリマーになるには何が必要?仕事内容から給料、資格の全てがわかる完全ガイド

トリマーになるには何が必要?仕事内容から給料、資格の全てがわかる完全ガイド

トリマーを目指す方へ。仕事内容から給料、必要な資格、将来性まで網羅的に解説します。未経験からトリマーになるための方法、就職先、おすすめのスクールも紹介。あなたの「なりたい」を後押しする情報がここにあります。

そもそもトリマーとはどんな職業?

トリマーにバリカンで毛をカットされている犬

トリマーは、犬や猫などのペットの美容と健康を支える専門職です。主な仕事はシャンプーや、飼い主の要望に応じたカット(トリミング)ですが、その役割は多岐にわたります。

具体的には、爪切り、耳掃除、肛門腺絞りといった日常的なケアも行います。肛門腺絞りとは、犬の肛門の脇にある臭い袋に溜まった分泌物を絞り出す、健康維持のためのお手入れです。

トリマーは単にペットを美しくするだけではありません。全身を触ることで、皮膚の異常やしこり、ケガなど、飼い主が気づきにくい健康上の変化を早期に発見する重要な役割も担っています。いわば「ペットの一番身近な健康アドバイザー」とも言える存在です。

飼い主とのコミュニケーションを通じて、その子の性格や体調に合わせたケアを提案し、信頼関係を築いていくことも大切な仕事の一部です。

トリマーになるには?

トリマーに頭部の毛をカットされている犬

トリマーになるための道は一つではありません。自身のライフスタイルや目標に合わせて、最適なルートを選択することが重要です。ここでは代表的な3つの流れを解説します。

専門学校で学ぶ

トリマーになるための最も一般的なルートが、専門学校や養成スクールに通うことです。期間は2年制が主流で、犬の骨格や被毛、病気に関する知識などの座学と、様々な犬種を扱うトリミング実習をバランス良く学びます。

体系的なカリキュラムのもとで基礎から応用まで着実に技術を習得でき、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる環境が魅力です。また、就職サポートが手厚い学校が多い点も大きなメリットと言えるでしょう。

通信講座やスクールで学ぶ

働きながらや、家事・育児と両立しながらトリマーを目指したい方には、通信講座や短期スクールが適しています。自分のペースで学習を進められるのが最大の利点です。

DVDなどの教材で基礎知識を学び、スクーリングと呼ばれる実技講習で直接指導を受ける形式が一般的です。専門学校に比べて費用を抑えられる傾向にありますが、自主的な学習計画とモチベーションの維持が求められます。

見習いとして働きながら学ぶ

ペットサロンや動物病院に「見習い」や「アシスタント」として就職し、現場で技術を学ぶ方法もあります。給与を得ながら実践的なスキルを身につけられる点がメリットです。

しかし、募集している店舗が少ないことや、体系的な教育を受けるのが難しく、技術習得までに時間がかかる可能性がある点は考慮すべきでしょう。まずはシャンプーや犬の保定(安全に作業ができるよう体を支えること)などから始め、少しずつカット技術を学んでいくことになります。

トリマーの給料はどのぐらい?

正面を向いて首を傾げる犬

トリマーの給料は、勤務先の規模や地域、本人の技術力や経験によって変動します。正社員の場合、初任給の月収は18~20万円前後からスタートすることが多く、年収に換算すると約250万円から300万円が一つの目安となります。

経験を積み、指名客が増えたり、店長などの役職に就いたりすることで給料は上昇します。経験豊富なトリマーや人気トリマーになると、月収30万円以上、年収で400万円以上を得ることも可能です。

また、独立開業して成功すれば、それ以上の高収入を目指すこともできますが、経営スキルも求められます。

都市部の方が給与水準は高い傾向にありますが、その分競争も激しくなります。実力や人気が収入に直結しやすい、技術職ならではの給与体系と言えるでしょう。

トリマーに必要な資格

床に広げたノートの上に伏せる犬

トリマーとして働くために必須となる国家資格は存在しません。しかし、自身の技術レベルを証明し、就職や顧客からの信頼獲得に繋がるため、民間の認定資格を取得することが一般的です。

JKC公認トリマー

一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)が認定する資格で、日本で最も知名度が高く、権威のある資格の一つです。C級からB級、A級、そして教士、師範と段階的にレベルが分かれています。

JKCが公認する養成機関(専門学校など)で学ぶことで受験資格を得るのが一般的で、取得していると就職の際に有利に働くことが多いです。

JPSA公認トリマー

一般社団法人日本ペットサロン協会(JPSA)が認定する資格です。より実践的なサロンワークを重視しており、レベルに応じて「トリマー」と、より上位の「マスター・トリマー」があります。

お客様への接客技術や、犬の安全と健康を管理する能力も評価の対象となる、現場志向の資格と言えます。

その他の民間資格

上記以外にも、様々な団体がトリマーの資格を認定しています。例えば、国際ペット総合専門学校などが加盟する協同組合ペット・サービスグループ(PSG)が認定する「PSG公認グルーマーライセンス」など、各教育機関が独自に発行、あるいは提携する資格も数多く存在します。

どの資格を目指すかは、将来どのような場所で、どのように働きたいかを考えながら選ぶと良いでしょう。

トリマーの就職先

トリミングサロンで犬の毛をカットしているトリマー

トリマーの資格や技術を活かせる職場は多岐にわたります。それぞれの職場で求められる役割や働き方が異なるため、自分の適性やキャリアプランに合った就職先を選ぶことが大切です。

ペットサロン

トリマーの最も代表的な就職先が、トリミングを専門に行うペットサロンです。個人経営の小規模な店舗から、全国に展開する大型チェーン店まで様々です。

デザイン性の高いカット技術や、スピーディーで正確な作業が求められます。多くの犬種を扱うため、幅広い経験を積むことができ、将来独立を考えている人にとっては経営ノウハウを学ぶ場にもなります。

動物病院

近年、トリミングサービスを提供する動物病院が増えています。ここでは、美容目的だけでなく、皮膚病の治療の一環としての薬浴シャンプーや、高齢犬、持病のある犬への負担の少ないケアなど、獣医療の知識に基づいたトリミングが求められます。

獣医師や動物看護師と連携しながら働くため、ペットの健康管理に関する専門的な知識を深めることができます。

ペットショップ

生体販売を行っているペットショップも、トリマーの活躍の場の一つです。大型のショッピングモール内に併設されている店舗も多く見られます。

トリミング業務に加えて、子犬や子猫のお世話、ペット用品の販売、接客などを担当することもあります。幅広い業務を通じて、ペット業界全体の知識を得られるのが特徴です。

独立開業

十分な経験と技術、そして顧客を掴んだトリマーは、自身のペットサロンを開業するという選択肢もあります。店舗を構えるだけでなく、出張トリミングや、自宅の一部を改装した小規模サロンなど、形態は様々です。

経営の知識や集客のスキルも必要となりますが、自分の理想とするサービスを追求できる、大きなやりがいのある道です。

トリマーの将来性はある?

犬を抱きかかえながら遠くを見つめるトリマー

結論から言うと、トリマーという職業の将来性は十分にあります。ペットを家族の一員と考える人が増え、ペット業界全体の市場が安定していることが大きな理由です。

高齢化するペットと多様化するニーズ

近年、飼育されている犬の平均寿命は延びており、高齢犬(シニア犬)のケアに対する需要が急速に高まっています。寝たきりの犬の床ずれ防止カットや、体に負担の少ないシャンプーなど、専門的な知識と技術を持つトリマーが求められています。

また、オーガニックシャンプーの使用や、アロママッサージ、デンタルケアといった、より付加価値の高いサービスへの関心も高まっており、トリマーの活躍の場は広がり続けています。

キャリアアップと働き方の選択肢

トリマーのキャリアパスは多様です。一つのサロンで技術を磨き、店長やエリアマネージャーを目指す道もあれば、トップトリマーとして後進の指導にあたる道もあります。また、独立開業して自分の店を持つという夢も実現可能です。

正社員だけでなく、パートタイムやフリーランスとして柔軟な働き方を選びやすいのも、この職業の魅力の一つです。これらの点から、トリマーは安定した需要のもとで、長期的なキャリアを築いていける将来性のある仕事と言えます。

トリマーにはどんな人が向いている?

飼い主と話しながら犬のお手入れをするトリマー

トリマーは、専門的な技術と知識だけでなく、特定の資質が求められる職業です。ここでは、トリマーに向いている人の特徴を解説します。

動物に対する深い愛情と忍耐力

何よりもまず、動物が大好きであることが大前提です。しかし、ただ可愛いがるだけでは仕事は務まりません。トリミングを嫌がったり、時には噛みつこうとしたりする犬もいます。

そうした相手に対しても、恐怖心や苛立ちを見せず、落ち着いて根気強く向き合える忍耐力が不可欠です。動物の気持ちに寄り添い、安心させてあげられる深い愛情が求められます。

体力と集中力

トリマーは一日中立ち仕事であり、大型犬のシャンプーや保定など、体力を使う場面も少なくありません。また、ハサミなどの刃物を扱うため、少しの気の緩みが大きな事故に繋がる可能性もあります。

長時間、高いレベルの集中力を維持し、繊細な作業を正確に続けられる体力と精神力が求められる仕事です。

コミュニケーション能力

トリマーは犬と接するだけでなく、その飼い主と接する時間も非常に長い仕事です。飼い主がどのようなカットを望んでいるのかを正確にヒアリングし、専門家として最適なスタイルを提案する能力が必要です。

また、施術中に気づいたペットの健康状態の変化などを分かりやすく伝え、信頼関係を築くための高いコミュニケーション能力が不可欠です。

美的センスと探求心

犬種ごとのスタンダードなカットスタイルを理解した上で、その子の骨格や毛質に合わせた、より可愛らしく魅力的なスタイルを創り出す美的センスが求められます。

また、トリミングの技術やスタイルは日々進化しています。新しいカット技術やペットケアの知識を積極的に学び続ける、旺盛な探求心と向上心も、一流のトリマーとして活躍し続けるために重要です。

トリマーの資格が取れるおすすめスクール

犬と一緒にパソコン画面を見る女性

トリマーを目指すためのスクールは数多くありますが、ここでは実績や特徴の異なる3つのスクールを紹介します。

ヒューマンアカデミー / 通信講座「たのまな」

全国的に知名度の高いヒューマンアカデミーが提供する通信講座です。最大の魅力は、自分のライフスタイルに合わせて在宅で学習を進められる点です。プロの技術を収録したDVD教材や分かりやすいテキストで基礎を学び、全国に点在する提携の研修施設で実技研修を受けられます。

複数の資格取得を目指せる多彩なコースが用意されており、働きながら学びたい社会人や、近隣に通える専門学校がない方に適しています。

日本ケンネルカレッジ

つくばわんわんランドなどを運営するペット関連企業が母体の通信制スクールです。教材はオリジナルで、実技研修の際にはグループ施設で豊富な犬種と触れ合いながら学べるのが大きな強みです。

長年の業界経験に基づいた実践的なカリキュラムが特徴で、卒業後の就職サポートも期待できます。自宅での学習を基本としながらも、プロの現場に近い環境で実技を学びたい方におすすめです。

SJDドッググルーミングスクール

東京の渋谷や埼玉に校舎を構える、通学制のグルーミングスクールです。少人数制のクラスで、経験豊富な講師から直接、きめ細やかな指導を受けられるのが特徴です。

フリータイム制を導入しており、自分の都合の良い日時に予約して通えるため、働きながらでも本格的な技術を習得したいという方に支持されています。実践的なサロンワークを想定したカリキュラムで、即戦力となる技術が身につきます。

まとめ

犬の足元の毛をカットしようとしているトリマー

トリマーは、ペットの美容と健康を支える、専門性とやりがいに満ちた職業です。必須の国家資格はありませんが、専門学校や通信講座で技術と知識を習得し、民間資格を取得することが成功への近道となります。

給与は経験や技術力によって向上し、ペットサロンや動物病院など多様なキャリアパスが広がっています。何よりも動物への深い愛情と忍耐力が求められますが、安定した需要と多様化するニーズを背景に、将来性は非常に高いと言えるでしょう。

この記事で得た情報を元に、あなたにとって最適な道筋を見つけ、トリマーという夢への第一歩を踏み出してください。

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