犬に水を与えるときの注意点とは?飲み水の適切な温度や進んで飲んでもらうための工夫まで

犬に水を与えるときの注意点とは?飲み水の適切な温度や進んで飲んでもらうための工夫まで

愛犬の健康には、毎日の「飲み水」も影響しています。水の温度は?量は?どんな工夫をすればもっと飲んでくれるの?本記事では、犬に安全でおいしい水を与えるための注意点や、犬が喜んで水分補給できる方法についてご紹介します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬が飲むべき水分量とは?

ボトルの水を飲む犬

犬が1日に飲むべき水の量は、一般的な目安として「体重1kgあたり50~60ml」とされていますが、これはあくまで目安であり、個体差や環境によって異なります。

例えば、活発に運動する犬は、そうでない犬よりも多くの水分を必要としますよね。また、暑い季節や湿度の高い環境では、体温調節のために水分消費量が増えるため、普段よりも多めに水を与える必要があります。

食べているフードの種類も影響し、ドライフードが主食の犬はウェットフードを食べている犬よりも多くの水を飲む傾向にあります。病気の状態や年齢によっても必要な水分量は変わるため、愛犬の様子をよく観察し、適切な量を与えることが大切です。

飲み水の適切な温度

水を飲む小型犬

犬に与える飲み水の温度も、愛犬が喜んで水分補給をする上で重要なポイントです。基本的には常温、または少し冷ためが適切とされています。

人間と同様に、冷たすぎる水は胃腸に負担をかける可能性があるため、特に冷やしすぎた氷水は避けるようにしましょう。一方で、ぬるすぎる水は細菌が繁殖しやすくなるため、衛生的ではありません。

夏場などの暑い時期は、少し冷たい水を用意することで、愛犬がより積極的に水分を摂るのを促すことができます。しかし、冬場は体が冷えすぎないよう、常温の水を用意するのが良いでしょう。季節や愛犬の体調に合わせて、飲み水の温度を調整してあげることが、健康維持につながります。

進んで水を飲んでもらうための工夫

水を飲む犬の口元

水の器の種類と設置場所

犬に水をたくさん飲んでもらうためには、水の器の種類と設置場所を工夫するようにしましょう。まず、器は陶器やステンレス製など、安定感があってひっくり返りにくい素材を選んでください。

プラスチック製は傷がつきやすく、雑菌が繁殖しやすいので注意が必要です。また、洗いやすく清潔を保てるものがいいでしょう。

次に、設置場所ですが、リビングや寝室、庭など、犬が普段過ごす場所の複数箇所に設置するようにしてください。これにより、犬がいつでも気軽に水を飲むことができるようになります。

静かで落ち着ける場所に置くことも、犬が安心して水を飲むためには大切です。様々なタイプの器を試してみて、愛犬が一番好むものを見つけてあげてください。

水の鮮度と交換頻度

犬の飲み水の鮮度は、人間と同様に非常に重要です。毎日、新鮮な水に交換することはもちろん、水の器も毎日丁寧に洗いましょう。

器の底や側面には、ぬめりやピンク色の膜(バイオフィルム)が発生しやすく、これらは雑菌の温床となります。見た目には汚れていなくても、定期的に洗剤で洗い、すすぎをしっかり行うことで、衛生的な状態を保つようにしてください。

特に夏場は水が傷みやすいため、一日に数回交換すると良いかもしれません。常に清潔で新鮮な水が用意されていれば、犬は安心して水を飲むことができ、結果的に飲水量が増えることにもつながります。

ウェットフードの活用

犬の水分補給量を増やす効果的な方法のひとつに、ウェットフードの活用があります。ドライフードは水分含有量が約10%程度と低い一方、ウェットフードは約75%以上の水分を含んでいます。そのため、ウェットフードを食事に取り入れることで、自然と食事からの水分摂取量を増やすことができるでしょう。

ドライフードにウェットフードを混ぜて与えたり、ドライフードだけでは食べムラがある場合にウェットフードをトッピングしたりするのも良いですね。ただし、ウェットフードはドライフードに比べてカロリーが高めの場合もあるため、与えすぎには注意し、適切な量を与えるように心がけてください。

運動後に積極的に水を飲ませる

犬は運動をすると体温が上昇し、汗をかくことで(犬は足の裏からしか汗をかきませんが、主にパンティングで体温を調節します)多くの水分を失います。そのため、散歩や遊びなどの運動後には、積極的に水を飲ませることが非常に重要です。

運動を始める前と後、そして運動中にも休憩を挟んでこまめに水分補給を促しましょう。出かけるときは、携帯用の水筒と器を必ず持参し、いつでも清潔な水を与えられるように準備してください。

また、運動後だけでなく、興奮した時や緊張した後なども、普段より水分を欲しがることがあるので、そのようなサインを見逃さないようにしましょう。

嗜好性を高める工夫

犬が水をなかなか飲んでくれない場合、水の嗜好性を高める工夫を試してみるのも効果的です。例えば、鶏むね肉を茹でた汁を冷まして少量混ぜるといった方法があります。鶏むね肉の茹で汁は、犬にとって魅力的な香りや風味があり、普段の水の味に変化を与えることで、興味を引きやすくなります。

ただし、与えすぎると主食の栄養バランスが崩れたり、太りやすくなったりする可能性があるため、ごく少量に留めることが大切です。また、犬によっては氷を舐めるのが好きな場合もありますので、少量与えてみるのも良いでしょう。

さまざまな方法を試してみて、愛犬が一番喜んで水分を摂ってくれる工夫を見つけてあげてください。

与えてはいけない水の種類

ミネラルウォーター

人間用のミネラルウォーター

人間用のミネラルウォーター、特に硬水は犬に与えるべきではありません。ミネラルウォーターには、カルシウムやマグネシウムといったミネラル分が豊富に含まれています。これらのミネラルは、犬の体内で過剰になると、尿路結石のリスクを高める可能性があります。

犬の腎臓は人間とは異なり、ミネラルの処理能力が限られているため、硬水を日常的に与えることは、健康上の問題を引き起こす原因となります。犬には、水道水をろ過した水や、犬用に調整された軟水を与えるのが最も安全です。

井戸水や生水

井戸水や、消毒されていない生水を犬に与えることは避けましょう。これらの水には、目には見えない細菌、ウイルス、寄生虫の卵などが含まれている可能性があり、犬がそれらを摂取すると、消化器系の疾患(下痢、嘔吐など)や深刻な感染症を引き起こすリスクがあります。

犬の健康を守るためには、煮沸消毒された水や、日本の水道水のように塩素消毒された安全な水を与えるようにしましょう。旅行先などで水源が不明な場合は、必ず安全な飲用水を用意してください。

塩素濃度の高い水

日本の水道水は衛生のために塩素消毒されていますが、地域によっては塩素濃度が高い場合があり、犬によっては刺激となり、飲みにくく感じることがあります。塩素の匂いを嫌がって水を飲まなくなる犬もいるため、結果的に水分不足に陥る可能性も。

また、過剰な塩素は、長期的に見ると犬の健康に何らかの影響を与える可能性も指摘されています。もし水道水の塩素濃度が気になる場合は、浄水器を使用したり、水をしばらく汲み置きして塩素を抜いたりする工夫をすると良いでしょう。

賞味期限切れの保存水

人間用の保存水や、開封後時間が経った賞味期限切れの水を犬に与えるのは避けてください。保存水であっても、賞味期限を過ぎると水の品質が劣化したり、ボトル内部で細菌が繁殖したりする可能性があります。

特に、一度開封した水は空気に触れることで雑菌が混入しやすく、時間の経過とともに急速に衛生状態が悪化します。このような水は、犬の消化器に負担をかけ、下痢や嘔吐などの体調不良の原因となることがあるでしょう。

常に新鮮で清潔な水を与えることが、愛犬の健康維持の基本です。非常用の保存水も、人間用と同様に期限を確認し、定期的に交換するようにしてください。

まとめ

水を飲むトイプードル

私たち人間と同じく、犬にとっても水は生きるために欠かせないものです。

しかし、水であればなんでもいいというわけではありません。鮮度はもちろん、人間用のミネラルウォーターや井戸水など与えると危険な水があることを理解しておきましょう。

愛犬の健康を守るためにも、犬の体に合った新鮮な水をいつでも飲めるように準備してあげるようにしてくださいね。

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