飼い主の善意が愛犬を不幸にすることも…
虐待と聞くと「愛犬を愛さず意図的に酷い仕打ちをする人」を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実は飼い主が良かれと思ってやっている行為が愛犬を苦しめているケースも多く、これを『優しい虐待』と呼ぶことがあります。
飼い主としては愛犬のためを思い、愛おしさのあまりとってしまっている行動が、結果として愛犬を苦しめたり、その後の関係性を壊してしまう行為になりかねません。
自分が善意で行っている接し方が本当に愛犬のためになっているのか、飼い主と飼い犬という関係性を正しく認識して考え直してみましょう。
犬を苦しめる『優しい虐待』5選
どのような飼い主の善意が愛犬を苦しめてしまうのでしょうか。ここでは犬を苦しめる『優しい虐待』の事例を紹介します。
1.要求に応えすぎてルールを明確にしない
可愛い愛犬からの要求には、できる限り応えてあげたいという方も多いでしょう。しかし、要求に応えすぎてしまうと愛犬のわがままをエスカレートさせてしまい、結果として問題行動につながるパターンは珍しくありません。
また、犬にとって明確に指示を出してくれる頼もしい存在がいない環境は、あまり居心地の良いものではありません。「自分がしっかりしなければ」「この人を守らなければ」と気を張ってしまうため、常にストレスがかかっている状態に陥る犬もいます。
したがって、愛犬からの要求には応えすぎず、「ダメなことはダメ」「これは良いこと」としっかりルールを明確に示してあげてください。ルールを決めることで、犬は「これを守れば大丈夫」と安心感につながります。
2.求められるままおやつや食べ物を与えてしまう
食いしん坊な犬はとても多くいます。飼い主が食べているものを欲しがったり、自分用のおやつを「ちょうだい」とおねだりしてきたりすることもあるでしょう。
しかし、求められるままおやつや食べ物を与えてしまうと、肥満になってしまいます。肥満は怪我や病気の原因となる健康トラブルの1つです。
結果的に愛犬を苦しめたり、不幸にするリスクが高まるので、求められるままおやつや食べ物を与えることは避けてください。
3.愛犬から離れず常に一緒にいようとする
寂しがる愛犬の様子を見て「常に一緒にいてあげよう」「家にいる間は一緒に行動してあげよう」と考える人も多いでしょう。しかし、常に愛犬から離れず一緒にいようとする行為は、かえって愛犬を苦しめてしまうことも……。
犬によってはひとり時間を有効に使い、しっかり休息を取りたいと考える犬もいます。こうした犬にとって、飼い主が四六時中、そばにいようとする行為はストレスです。
また、寂しがりな犬であっても、常に一緒にいると飼い主が一緒にいる環境が当たり前になってしまい、分離不安を引き起こす恐れがあります。強いストレスによって自傷行為に走る犬もいるので、ひとり時間をストレスなく過ごせるよう適度な距離感を大切にしてください。
4.他の人や犬と交流させない
「他の人や犬と交流させると怪我をさせられたり、怪我を負わせてしまったりする危険があるから、なるべく避けるようにしている」という声を耳にすることがあります。しかし、犬にとって他の犬との交流は、慣れると充実感につながる重要な社交の場です。
少しずつ他の犬や人と交流することに慣れなければ、飼い主や家族以外の人や犬を見かけるたびに警戒心が働き、ストレスを蓄積してしまいます。
したがって、無理強いすべきではありませんが、少しずつ愛犬のペースに合わせて社交性を養ってあげましょう。
5.刺激になる要素を徹底的に排除する
愛犬を怖がらせないために、ストレスを与えないためにと不安や恐怖を感じる対象を排除することは決して悪いことではありません。しかし、全く刺激となる要素に慣れさせないと、結果として愛犬がストレスを感じやすい性質に育ってしまいます。
例えば、刺激に慣れていないと、散歩に行くたびにちょっとした物音や存在に怯えるようになるでしょう。これは犬にとって強いストレス要因となります。
どの犬も最初は不安や警戒心を抱きがちです。しかし、少しずつ「新しいこと」に慣れさせることで、日々の中でストレスを感じにくくなります。
まとめ
いかがでしたか。飼い主が良かれと思って愛犬にやっている行為が、実は結果として愛犬を不幸にするケースは存在します。今回紹介したような育て方に心当たりのある方は、少しずつ改善していきましょう。