犬の平均睡眠時間は?
人の睡眠の約8割は深い眠りのノンレム睡眠ですが、犬の睡眠の約8割は浅い眠りのレム睡眠と言われています。
犬は睡眠のほとんどが浅い眠りということになりますが、その分、睡眠時間が人よりも長いです。飼い主の就寝に合わせてある程度まとめて眠り、こまめに短い睡眠も取っています。犬は眠りが浅い分たくさん眠って、体力を回復しているのです。
犬の平均睡眠時間はどのくらいかというと、以下のようになります。
1.子犬(1歳未満)
活発に動き回り、いろいろなことを学習する子犬は、たくさんのエネルギーを消費するため、1日に18〜19時間ほど眠ります。
健やかな成長のためにも、子犬に十分な睡眠を取らせてあげるのは大切なことです。かわいい子犬とたくさん触れ合いたくなるかもしれませんが、寝ているときは起こさないようにしましょう。
2.成犬(1歳〜6歳頃)
成犬になると、1日の平均睡眠時間は12〜15時間になります。子犬期に比べると短くなりますが、それでも人より長い睡眠時間です。
小型犬よりも大型犬のほうが長く眠る傾向があります。これは大型犬は体が大きい分、活動に必要なエネルギーの消費量が多く、それを回復するのに多くの睡眠が必要になるためと考えられています。
3.老犬(7歳頃〜)
老犬の1日の平均睡眠時間は、18〜19時間です。老犬になると子犬と同じくらい眠るようになりますが、老犬の場合は体力の低下から睡眠時間が長くなります。
愛犬が老犬の仲間入りをして寝床で過ごすことが多くなってきたら、睡眠中の体への負担を軽減するために、体圧を分散させる低反発や高反発のベッドの使用を検討するといいでしょう。
寝てばかりの犬が病気になっている場合のサインは?
犬の睡眠時間には個体差があり、またその日の活動量や体調などによっても睡眠時間は変動します。
そのため、愛犬が平均睡眠時間より多少長く眠っていても問題ないことが多いですが、明らかに寝すぎな場合は注意が必要です。病気が原因で睡眠時間が異常に長くなることがあるからです。
その代表的な病気として、甲状腺機能低下症とクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)が挙げられます。
どちらも内分泌疾患(ホルモンの病気)であり、甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が減少すること、クッシング症候群はコルチゾールというホルモンの分泌が過剰になることが原因でさまざまな症状が表れます。
睡眠時間が長すぎるほかに、以下のような症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
1.食欲の変化
クッシング症候群になると食欲が増進します。食欲があるのは元気な証拠とよく言われますが、食欲旺盛になることが病気のサインであることもあるので注意しましょう。
甲状腺機能低下症の場合、個体によって異なりますが食欲の減退もみられます。しかし、この病気になると基礎代謝が低下するため、あまり食べてなくても太る傾向にあります。
2.多飲多尿
水をたくさん飲み尿量が増える多飲多尿は、クッシング症候群の最も気づきやすい症状です。多飲は1日の飲水量が体重1kg当たり100ml以上、多尿は1日当たりの尿量が体重1kg当たり50ml以上が目安になります。
犬は夏場や運動後などに一時的に飲水量が増えることがありますが、日常的に多飲多尿である場合は病気を疑うべきです。多飲多尿の症状はクッシング症候群のほかに、子宮蓄膿症、糖尿病、腎臓病、尿崩症などでも見られます。
3.脱毛
甲状腺機能低下症でもクッシング症候群でも、脱毛が起こります。かゆみは伴わず、左右対称に脱毛するのが特徴です。甲状腺機能低下症では、尻尾が全て抜けてネズミの尻尾のようになるラットテイルが見られることもあります。
また甲状腺機能低下症は皮膚の肥厚(皮膚が厚くなる)、クッシング症候群は皮膚の菲薄(皮膚が薄くなる)が見られます。
4.強い刺激を与えないと起きない
甲状腺機能低下症やクッシング症候群になると、嗜眠(しみん)傾向が見られることがあります。嗜眠とは、放っておくと眠り続けて強い刺激を与えないと起きない状態であり、起きてもまたすぐに眠ってしまいます。
まとめ
犬は人よりも眠りが浅く長く眠るため、愛犬の睡眠時間が長くても問題ないことがほとんどです。しかしながら、1日中寝ているなど睡眠時間が長すぎる場合は、甲状腺機能低下症やクッシング症候群といった病気が隠れているかもしれません。
愛犬の睡眠時間が異常に長く、ご紹介したような症状も見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。