犬に言うことを聞かそうとするのではなくお願いしよう
まず私たち人間は犬に言うことを聞かそうとすること自体、そもそもずれているということを認識する必要があります。
犬を自分の思うようにコントロールするというのは支配的な考えに繋がるリスクがあり、それは犬を尊重することを疎かにしてしまいかねないのです。
私たち人間が犬に対してすることはそうした支配ではなく、よろしければお願いできないでしょうか?という姿勢で接することです。
犬と争うのではなくお願いして平和的解決をしよう
と言われても犬に言うことを聞いてほしいと感じる場面はたくさんあるため、こんなことを言われてもまるで好き勝手させてもいいかのように受け取ってしまう人もいるでしょう。
しかし決してそういうことではなく、あくまでもお願いする立場だからこそこちらの要求に応えてくれたら報酬を提示し、Win-Winであるようにするということ。
例えば犬が何か物を咥えているとしましょう。
ほとんどの飼い主さんはその咥えているものを飲み込んでしまったり破壊されてしまっては困るため、驚きながら急いで犬から取り上げようとします。
しかし、それは犬からしてみれば自分の所有物を奪おうとする無礼な行為なので、急いで飲み込んだり唸ったり噛んだりして守ろうとします。
ですがこれは奪われる側からすると当然の反応であり、決して犬に問題があるわけではありませんしむしろ正常な反応です。
とはいえこんな状態だとその咥えている物を返してもらうことができず、飼い主さんとしては困ってしまいますよね。
だったら犬がその咥えている物を手放してもいいと思えるような物と交換をすればよいのです。
何かを咥えているときというのはその物に対して強い魅力を感じている状態なことが多いため、こちらも通常のフードではなくさらにランクの高いおやつを用意するとうまくいきやすいです。
「これをあげるからその所有権を手放してほしい」というのがこちらの提案ですから、それを受け入れてもらえるだけの物を用意しましょう。
最初のうちは多めに交換物資となるおやつを用意し、犬の近くにばら撒いてみるといいですね。すると今咥えているものよりもそちらのほうが魅力的だと感じてもらえたら、おやつの方に向かって咥えていたものも手放してくれるはずです。
そうしたらその所有権を手放してくれたと判断し、人間はそれを回収し完了です。
犬を支配する考え方を頭から捨ててしまおう
こうした方法であれば犬から資源を奪うようなことをしなくて済むため、犬とも無駄に争う必要もなくなります。
また、こうしたことを繰り返していると犬が万が一咥えられたら困るものを口にしていたとしても、お願いするとすぐに手放してくれるようにもなりスムーズに交換できるようにもなるのです。
もちろん本来は犬が口にしたら困るものはしっかりと片付けてそもそもそうした事態にならないようにするべきですが、万が一のときに焦って争いを起こす必要のないようお願いと協力の関係を築いておくようにしましょう。
この方法は犬をコントロールし支配するような考え方だと甘やかしだ、舐められる、といったように感じると思います。
しかし犬を迎えるということは動物福祉に沿ってポジティブな経験の積み重ねから幸福を提供していくことですから、そうした支配的な考え方自体必要ないのです。
支配しようとすれば必ず争いが生まれます。
そんなことは犬も臨んでいるわけではありませんし、飼い主さん自身も臨んでいるわけではないのですから、平和的解決のために支配論は頭から捨ててしまいましょう。
まとめ
犬が言うことを聞いてくれないのではなく、単純にどうしてほしいのかが伝わっていないことと、望む反応をすることで得られるメリットがないためにただそれをしないだけです。
そもそも言うことを聞かそうとするのではなく、こちらが望む反応を返してもらえるようお願いをし、そのお願いに対して報酬を提供するWin-Winの関係を築くことを考えなければなりません。
支配しているつもりがなかったとしても、自分が考えていることややっていることは犬にとってどうなのか?それは動物福祉に沿っているのかを見つめ直すと気づくことがたくさんあるため、ぜひ犬と人の幸せのためによい関係を築いていきましょう。