犬がしていたら危険な『正常では無い呼吸』とは? いつもと違うパンティングは病気の可能性も

犬がしていたら危険な『正常では無い呼吸』とは? いつもと違うパンティングは病気の可能性も

ふと気が付くと、愛犬の呼吸がちょっといつもと違うのでは、と気になってしまうことがあります。ちょっとした違和感なので見落としがちではありますが、放っておいてはいけない病気である可能性も。注目すべきポイントは何でしょうか。

お気に入り登録
SupervisorImage

記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

飼い主が知っておくべき犬の正常な呼吸

長い舌を出す犬

犬の健康状態を知るための指標は、「体温」と「心拍数」、そして「呼吸数」です。

これらは体の大きさで若干の違いがありますが、健康状態に問題がない場合の犬の体温は小型犬で38℃~39℃、大型犬で38℃前後となります。心拍数は小型犬で70回前後/分、大型犬で40~50回程度/分です。

これらは体温計が必要であったり、脈拍を取れる部位で正確に測れるかなどテクニックが必要になったりすることもありますが、呼吸に関しては飼い主さんが犬の胸の動きを目視することで確認できます。正常な場合、小型犬で20~30回/分、大型犬で15回前後/分です。これらは鼻呼吸で行われます。

犬がしていたら危険な「正常では無い呼吸」とは

レントゲンを撮られる犬

犬の正常な呼吸を理解できたところで、反対に、犬がしていたら危険な「正常ではない呼吸」とはどのような状態を指すのか把握しておきましょう。

上記でも書いているように、目視で違いが分かるようにしておく必要があります。

体温調節のパンティング

走ったり暑かったりした場合はハアハアと口で速い呼吸を行いますが、これは「パンティング」といって体温の調節のために行うもので、基本的には異常なものではありません。犬には体表面に汗腺がないため、舌や口の中の粘膜から水分を蒸発させてその気化熱で体温を下げようとしているのです。

パンティングの場合、体温が低くなったり運動直後の興奮が収まったりすると普通の呼吸に戻っていきます。室温が高い場合はしばらくパンティングを続けるので、エアコンなどで室温を下げてあげると良いでしょう。

なお、しばらくパンティングをしていても一向に体温が下がらず、ずっと荒い呼吸を繰り返していたり、よだれが出っぱなしになっていたり、ぐったりしてしまったりしている場合は熱中症の可能性があるので、至急動物病院を受診します。

2.体温調節以外のパンティング

犬の荒く早い呼吸は、体温の調節を行っている時以外にもみられることがあります。鼻が詰まっていたり、気管支や肺に炎症が起こっていたりする時などは、鼻から十分な酸素を取り込むことが出来ず「ハアハア」と荒い呼吸になります。

暑くもなく、特に運動をしているわけでもないのにいつまでもパンティングをしている場合は、呼吸器に何らかの異常がある場合が考えられます。その場合は、次のような異常の可能性を考えましょう。

  • 鼻粘膜や気管支の炎症による呼吸困難
  • 短頭種の犬に多い外鼻腔狭窄症や気管虚脱
  • 僧帽弁閉鎖不全症やフィラリアの寄生による肺水腫
  • ケガや炎症などによる疼痛

これらの異常の場合、パンティング以外に通常とは異なる呼吸音がしたり咳を繰り返したりするので音をよく聞いてみてください。

「ずーずー」と鼻の中から濁った音がする場合、鼻の奥の鼻腔や喉の一部が狭くなって空気が通りにくくなっている状態です。鼻炎や気管支の炎症などが考えられるでしょう。

また、「ガーガー」というアヒルやガチョウの鳴き声のような呼吸音がしたり、寝ている時に大きないびきを続けていたりする場合、短頭種がかかりやすい外鼻腔狭窄症や軟口蓋過長症、あるいは気管虚脱などの病気の可能性があります。

さらに、安静時やちょっとした歩行しかしていないにもかかわらず、パンティングをしたり息切れや咳を繰り返したりする場合は、心臓の異常による肺水腫や胸水の可能性もあります。

また、呼吸の音や咳などの異常はないけれど、いつまでもパンティングが収まらないという場合は、ケガなどによる痛みを一生懸命こらえているという可能性もあります。パンティングに加えて、うずくまって動かない、体の一部を触ろうとすると拒否する、というような場合は体のどこかに痛みがあるのかもしれません。

まとめ

舌を出して伏せる犬

犬の呼吸が荒くなったり早くなったり、音がおかしくなったりする病気は多岐にわたります。いつもと違うなと感じた場合は、耳や内ももを触って体温を確認したり、元気や飲水量を観察したりしてください。

緊急性が高くない病気の場合の治療は様子を見ながら獣医さんと相談となりますが、頻繁に咳をしていたりぐったりしていたりする場合は早急に動物病院を受診しましょう。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。