自宅の庭で負傷し放置された犬を保護
犬同士の喧嘩
オースリラリアのある家で飼われていた、スタッフォードシャー・ブルテリア・ミックスの「アイビー」。ある時、アイビーの飼い主が友人の犬を預かることになり、狭い裏庭で2匹のわんちゃんが一緒に生活することになりました。
そしてある日、犬同士の激しい喧嘩が起こり、友人の犬は軽症でしたが、アイビーは重傷を負いました。一刻を争う怪我なのにも関わらず、飼い主は獣医に連れて行くこともなく放置したのです。
悲惨な状態のアイビーを見かけた心ある近隣の人が、RSPCA (英国王立動物虐待防止協会) 南オーストラリアに通報してくれ、インスペクターのナタリーさんがすぐに向かいました。
そして、想像以上に衝撃的なアイビーを見たナタリーさんは「アイビーはとてもおとなしく無気力で、何にも反応しませんでした。喧嘩から何日も経っているにも関わらず、まだショックを受けているようでした。あまりの痛みに圧倒され、感覚が麻痺していたのかもしれません」と語っています。
24時間以内にもう1匹の犬を獣医に見せるよう指示書を残した後、ナタリーさんはアイビーを“押収” し、施設の動物病院に急行しました。
アイビーは病院の集中治療室で1週間を過ごすことになりました。アイビーは点滴を受け、抗生物質、駆虫薬、鎮痛剤など多くの薬を投与されました。
複雑な症状を抱える
日が経つにつれて、アイビーの体中の噛み跡は治り始めましたが、健康問題は非常に複雑で、広範なケアが必要であることが明らかになりました。
重度の低体重に加え複数の感染症があり、それは外耳道の奥深くまで及んでいることがわかりました。
獣医チームは、詳しい検査を行いできる限りの治療を施しました。
もうひとつ心配だったのは、アイビーの足でした。足を引きずることが多くなり、レントゲンの結果、手首に相当する手根骨の過伸展損傷であることがわかりました。
この種の怪我は通常、衝撃によって起こるそうなので、喧嘩が原因なのかもしれません。アイビーは前右足で体重を支えるのに苦労していました。
専門医の判断は...
- この怪我は時間とともに悪化し、アイビーに長期的な苦痛を与えるだけ
- 関節を癒合させる手術が必要、プレートとネジを挿入することで、関節が正しい角度で治るようになる
- 回復には時間がかかるが、まだ3歳のアイビーには、この先何年も痛みなく走り、遊ぶチャンスが与えられてしかるべき
そして、手術を受けることになりました。
こちらの写真は、インスペクターのナタリーさんと回復しつつあるアイビー。
お外に出られるようになってよかったですね。
まとめ
飼い主は「ひどい状態であることは分かっていたが、獣医に連れて行く時間もお金もなかった」と言い訳したとのこと。
RSPCAは「動物を苦痛の中に放置していい理由など一切ありません」と訴えています。まったくその通りですね。動物は言葉で伝えられないのですから、人間がサポートしなければなりません。
通報してくださった方をはじめ、RSPCAのスタッフの皆さんにも感謝すると共に、アイビーが新しいお家で幸せな時間を過ごせる日が早く来ることを願います。
- アイビーの様子はこちら
※こちらの記事は動画配信をしているYouTubeチャンネルより許可を得て掲載しております。
掲載YouTubeチャンネル:RSPCA 南オーストラリア
RSPCA South Australia
▼ 公式サイトはこちら
https://www.rspcasa.org.au/