保護犬との生活 「あなたは、最後の飼い主になる覚悟はありますか?」

保護犬との生活 「あなたは、最後の飼い主になる覚悟はありますか?」

最近、多くのメディアでも取り上げられている、保護犬という存在。そんな犬たちの心の傷は、人間が思っている以上に深いようで…。

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保護犬を迎える

私たちがフレンチブルドッグの"かんな"と出会ったのがちょうど一年前の事。
里親を募集するwebサイトでみつけた、"水頭症のボストンテリアの子犬"を引き取ろうと決めたのがキッカケでした。

そのサイトで、動物保護のボランティアをされている方と出会い、何度も電話でやり取りをしたんですが、結局その時は他の希望者の方に決まってしまったんです。

後日、別の案件で保護されたフレンチブルドッグの"かんなちゃん"を我が家にお迎えすることが決まりました。

我が家にかんながやって来た

子どもに撫でられている犬

とにかく急ぎの保護だったため、かんなに関する情報は写真だけ。
身長も体重も正確なことは分からず、そんな中、とりあえず用意したのが、お皿、ペットシート、トイレ、簡易ゲージ、毛布、ドッグフード、犬用シャンプー、爪切り、ブラシ、でした。

そしてついに、やって来ましたかんなちゃん!

私は子どもの頃に実家でマルチーズを飼っていたのですが、犬の飼育に関しては、ドがつく素人!!
『犬』とは、自分よりも小さくて、はかなくって、赤ちゃんみたいなものと勝手に思い込んでいたので、かんなを初めてみた見た瞬間、
「でっっか!そして力、強っっよ!ムリムリムリ~こんなの育てられるの~?!」
と、自分の中で数週間で築き上げた、『可愛らしいワンコ像』は、一瞬で打ち砕かれたのでした(笑)

その日から始まった恐怖の試し行動

少し前に最終回を迎えた、養子縁組をテーマにしたドラマ、『はじめまして、愛しています』を、みなさんご覧になられましたか?
このドラマの中で主人公である梅田夫妻が、育ての親になることを決意し、ついに六ヶ月の「試験養育期間」がスタートします。
”はじめ”くんは、梅田家に来て早々、家中にオレンジジュースやケチャップをばらまき、美奈に噛みついたり、様々ないたずらをしていましたね。

これは、”試し行動”と言うんだそうです。

それ、、なんと!ワンコも同じことするんです。

うちの場合は、夜になると、かんなはリビング内のゲージの中で、落ち着かせるよう上から毛布をかけ部屋を暗くし、自分達は二階で就寝していました。
しかし、初めての夜から毎晩毎晩、夜中中吠え続けうんちをし、それを食い散らかし、踏みつけ、体に擦り付け、暴れまわり、オシッコもしまくり、朝になって上から降りてくるとリビングが糞尿の匂いでむせかえり、かんなとゲージがうんちまみれ、周りにまでうんちが飛び散っていました!
(新築なのに…)

トイレの中で怯える犬

計四回のハウス替え(うんちとの戦い)

一週間の間に様々なことを試しました。
どうしたら落ち着いてくれるのか、どうしたら私たちを信じ、夜、スヤスヤ眠ってくれるのか。
きっとかんなにとっては、住み慣れた我が家を離れ(元々が別の家庭で飼われていたワンコでした)、知らない町の知らない人の家に連れてこられ、きっと私たちのことを鬼のように思っていたでしょう。
もともときちんとしつけされていた子ですが、そんなことすべて忘れてしまったかのように、とにかく一からの新生活。

私たちもかんなに対して、一からしつけをすることにしました。

クレートトレーニング

クレートを導入し、まずはクレートは安全な秘密基地だということを教えました。
狭かったゲージをやめて、もともと子供用に使っていたベビーベッドを改造し、新たなハウスを作りました。
それでも狭かったのか、何度もトイレを失敗するので、思い切ってリビングの半分に、1500×1500の大きさのラティスで頑丈なサークルを作りました。

広いラティスのサークル内で笑顔の犬

寂しさを乗り越えたかんな!今では

大きなサークルにしてからは、寝る場所、トイレの位置がはっきりしているため、ほぼ失敗なくそこで出来るようになりました。
また寝る際も、クレートの狭い場所が落ち着くようになって、今では来た当初に毎晩聞いていた遠吠えが、もう一生聞けないんじゃないかと思うほど落ち着いて、グースカ寝息を立てて寝ることができるようになりました。

今でもたまにウンチは食べますが、それは食糞についての別の記事でまた。

保護犬を迎える心構え(改)

私たち家族はかんなと出会う前、どこか保護犬のことを軽く考えていたのだと思います。

『人間の都合に振り回されてきた命を助けてやる』、『救ってやるんだ偉いだろー』と、傲り高ぶっていただけだと思います。
彼ら彼女らの心を知っているようで全然知らなかった。

かんなを迎えた最初の一週間は、私たちにとってまさに地獄でした。軽く考え、傲り高ぶっていた自分を心から反省しました。
毎日の掃除と犬用毛布の洗濯、世話に手もカッサカサになったころ、かんなに対して心から可愛いと、娘のようだと思うようになったのです。

芝生でねっころがる犬

おわりに

私たちは、かんながどんな生活をしてきたのかは知りません。
ただ、たまにとても怯えたようなそぶりをします。
もしかすると、かんなにはなにかとてつもなく恐ろしい記憶がトラウマとなって残っているのかもしれません。
一年間彼女と一緒に暮らして、我が家ではもう、辛かったことよりも楽しい思い出がグググーン!と超えました。
すぐには信じてもらえなかったけど、楽しいことや辛いこと、なんでもあって家族なんだということがわかりました。

犬の人生を"犬生"と言うのだそうですが、
かんなの”犬生”の中で私たちが最後の飼い主になる!
その覚悟がやっとできたのでした。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 高林

    かんなちゃん幸せですよ 素敵な家族に出会えたんですもの 読んでいても涙が出てきます。オシッコやうんこの片付けでストレスMAXに私もなりましたが 今ではそれも可愛く思えます(笑)
    この子たちには、私達しかいないんですよね!最後の飼主、一生の飼主になる!
    我が家のわんこたちも4歳 まだまだ元気です。暴れん坊です(笑) かんなちゃんも飼主様も幸せでありますように!
  • 投稿者

    女性 匿名

    犬にも試し行為があるとは知りませんでした。
    我が家のワンコも県立動物保護管理センターから、子犬の時にもらってきた子です。
    子犬からだったからか、試し行為はなかったですね。お漏らしはありましたが。
    子犬を選択したのは、子犬信仰もありましたが、子犬のうちに処分されたくなかったからです。1年も生きてないのに夢箱行きはあんまりですから。
    今は2歳半になりました。夫という頼りになるリーダーと私という召使いを得て、立派な暴君ワンコになりました。
    毎日お犬様ライフを送ってますよ。
  • 投稿者

    女性 匿名

    スイスに住んでいます。最近スロバキアからドイツを経由して里親探しをしていた「健康優良児」というドイツの獣医さんお墨付きの六歳の男の子インギーを引き取りました。
    家に来てから数日して念のためチェックに連れて行った獣医さんで歯槽膿漏が酷く、菌が顎の骨まで達しているかもしれないという診断を受け、先週14本抜歯しました。
    仲介者に連絡をして結局犬を引き取った時に払ったお金は返してもらったのですが、色々と調べたらこの子は我が家に来る前にブリーディングに使われていたことが判明(良い家族に飼われていたけど経済事情でやむ無く手離すことになったと説明されていました)。
    6歳になってブリーディングに適さなくなったのでブリーダーはいらなくなったんでしょう。
    スロバキアのブリーダーは「犬を返してもらっても良い」と言い出したのですが、返したところで十分な治療も受けさせてもらえず歯は悪くなるばかり、最悪殺処分ということにもなりかねないので、腹立たしく思ったものの人間の身勝手な都合でスイスに連れてこられた全く罪の無いこの子を我が家で可愛がることにしました。
    きちんとしたケアがされていなかったので歯の状態が非常に悪く、今後も治療や手術が必要なのですが飼うと決めたからにはしっかり愛情を注いで最後まで責任を持ちたいです。
    最近やっと心を許してくれたのか、しっぽを振る回数が増えましたよ❤
  • 投稿者

    女性 匿名

    我が家のフレブルもブリーダー引退犬です。繁殖に使えなくなったからペットショップで売りに出されいました。人と目を合わせることもせず、物音に怯えるワンコをほっとけず、買い取ってきました。
    それから7ヶ月、家にきた当初はケージから出てきませんでした。
    しばらくするとケージから出てくるようになりましたが、お客さんや宅配便の人について行ってしまったり人であれば誰にでもいい感じでした。
    そして、家族が認識できるようになると、始まりました。試し行動。私達が仕事でいない日中、家中破壊される勢いで散らかされ、うんち、おしっこをところかまわず撒き散らす。今も、まだ、真っ最中です。もう、三ヶ月くらい続いていて、一時は常に一緒にいてくれる里親さんに託した方がいいのではとも考えてましたが、ワンコのこれまでの寂しさを思うとそれもできないです。
    家族と一緒だと本当にいい子です。
    きっと、試し行動もそのうちおさまると信じてワンコと暮らしていきます!
  • 投稿者

    女性 匿名

    うちの子のも、元保護犬です。産まれたときから左足の一部がなく、売り物にならないとされていた犬です。ブリーダーさんから保護団体に預けられ、我が家に来ました。
    最初は全てを怖がり、トイレも3日間せず、ゲージからも出て来ませんでした。お散歩もできるまで2ヶ月かかりました。 でも今では愛らしい顔を見せてくれるようになり、我が家の天使です。保護犬だからとレッテルを貼る意味がわかりません。人間は本当にエゴイストだと心底おもいます。
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