犬の譲渡会とは
犬の譲渡会とは、保護犬と引き取りを希望する飼い主との出会いの場であり、新しい縁を結ぶための活動が行われる会です。さまざまな事情で飼い主を失い保護された犬たちが、新しい飼い主の元、過ごしやすい環境の中で生活できるよう、保護犬を一堂に集めて新しい飼い主を探します。
犬の譲渡会は自治体などの行政主体のものや、ボランティア団体が行っているものがあります。双方が協力して開催する場合も多いようです。近年、譲渡会で新しい飼い主に引き取られた保護犬は増加傾向にあります。これは保護犬の命を守るために、行政もボランティア団体も積極的に譲渡会を開催している結果といえるでしょう。
ボランティア団体などで保護されている犬たちは、ある程度のしつけがされていることがほとんどです。共に生活していた団体のスタッフは、譲渡される犬の性格についてもよく把握していますので、飼育上の注意点も事前に説明が受けられます。譲渡後も繋がりを持つことで、しつけの相談などにも応じてくれます。
【全国7都道府県】譲渡会の開催情報
東京
東京都動物愛護相談センターでは定期的な犬の譲渡会は行っていませんが、東京都に登録された非営利団体が行っている譲渡会の情報を掲載しています。譲渡会は毎月どこかの団体が行っていますので、各団体のホームページなどと合わせてチェックしてみてください。
神奈川
横浜市動物愛護センターに登録しているボランティア団体の中には、犬の譲渡会を毎週開催している団体もあります。定期開催しているため予定を立てやすいでしょう。詳しい日程についてはホームページ上で確認してみてください。
埼玉
埼玉県動物指導センターや、さいたま市動物ふれあいセンターに登録しているボランティア団体では、犬の譲渡会の開催情報を掲載しています。定期的に開催している団体もありますが、譲渡会は不定期開催が多く、直接譲渡している団体が多いようです。いくつかの団体が協力して譲渡会を開催することもあるようですので、ホームページ上で確認しましょう。
千葉
千葉県動物愛護センターでは毎月1~2回、2カ所で犬の譲渡会を開催しています。年間のスケジュールがホームページ上に記載されていますので、出かける前に必ず確認しましょう。こちらの譲渡会に参加するには、事前に講習会の受講が必要となります。
名古屋
名古屋市内で定期的に犬の譲渡会を開催しているボランティア団体があります。毎月第2日曜日と決まっているので予定が立てやすいですね。譲渡会に合わせて犬猫グッズのフリーマーケットやハンドメイド作品、野菜などの販売も行っているようです。
大阪
毎月1~2回、譲渡会を開催しているボランティア団体があります。こちらの団体は地方の保健所から保護犬を引き取り、関西の都市部で里親を募集しています。人口の多い都市部で引き受けることで、救える命を一つでも多く救うことを目指しているそうです。
福岡
福岡県内で毎月定期的に譲渡会を開催しているNPO法人もあります。譲渡会以外の日でも、予約制で犬との面会が個別で行えるようです。こちらの保護犬シェルターでは、福岡県動物愛護センターから保護した犬が暮らしています。さらに災害で飼い主不明となった被災犬も保護しているようです。
犬の譲渡会で里親になる方法
犬の里親になる条件
里親になるためには、犬と一生涯添い遂げる覚悟が必要です。譲渡会で出会える犬は、何らかの事情があり保護された犬たちです。飼い主が変わることで、犬たちも多少なりの不安を感じているので、しっかりフォローをするという姿勢が求められます。一緒に暮らす家族全員の同意が得られ、かつ保護犬を飼育する環境が整っていることも重要になります。
犬を飼育するために適した住環境を整える必要もあります。自治体や団体によっては、職員が飼育環境を確認するため、譲渡が決定する前に家庭訪問を実施することもあるようです。飼育環境確認書など書類の提出が必要な場合もあります。
犬の里親になるまでの流れ
犬の譲渡会に参加には、主催者によって条件が設けられています。自治体では講習会の参加を必須としていることろもありますし、ボランティア団体では事前アンケートに答えることを求められる場合もあるようです。譲渡会で犬との面会を経て、迎え入れたい犬が決まったらマッチングを行います。これは飼いたい人と犬との相性を見るテストで、より相性の良い飼い主の元へ引き渡すことを目的としています。
職員による飼育環境の確認が済んだら、1週間~1カ月ほどのトライアル期間が設けられ、実際に犬と一緒に生活をします。問題がなければ契約書を交わし正式譲渡となります。
犬の譲渡費用はどれくらいかかる?
譲渡会で保護犬を譲り受けるに当たって、犬自体に費用はかかりません。しかしボランティア団体によっては、譲渡までにかかった飼育費や、ワクチン代や去勢手術代など医療費の一部を里親に負担してもらうこともあります。必要な費用については各団体によって異なりますが、3~6万円が相場のようです。請求の内訳がはっきりとしている団体を選びましょう。
自治体から譲渡を受ける場合は、飼育費用等の請求はほとんどありませんが、市区町村への犬の登録料が必要となります。費用が必要な場合でも数千円~1万円のことが多いようです。各自治体によって費用も異なりますので、事前に確認すると良いでしょう。
犬の譲渡会におけるマナーや注意点
犬に精神的な負担をかけない
犬によっては知らない人に会うことで、興奮したり怯えたりすることもあります。譲渡会の会場内では、大きな声で騒がないようにしましょう。人にあまり慣れていない犬もいますので、必ずスタッフに声をかけ、許可なく触らないようにしてください。
犬をジロジロ見ることもやめましょう。つい犬の様子を観察するためにじっと見てしまいがちですが、見つめられることに不安や嫌悪を感じる犬もいます。犬の気持ちに寄り添った行動を心がけましょう。
保護犬の健康状態を把握する
譲渡対象の犬には持病があったり、寄生虫検査がされていなかったりということもあり得ます。また元の飼い主からどのように飼われていたのか、なぜ譲渡会に持ち込まれたのかなどの経緯が不明な場合、何らかの心のキズを負っている可能性があります。
譲渡会や主催者についての情報を把握することはもちろんのこと、犬の心と体の状態についてもしっかりと確認してから、覚悟を持って譲り受けるようにしましょう。
まとめ
犬を譲渡会で譲り受けることは、一つでも多くの命を救うことに繋がります。保護犬はさまざまな事情から飼い主の元を離れたため、里親になるには厳しい条件が求められるます。保護犬たちに、二度と悲しい思いをさせないよう覚悟が必要となるでしょう。
新たに犬を家族として迎え入れようと考えている人は、譲渡会をしている団体やスケジュールなどをしっかり確認し、積極的に出かけてみてください。素敵な出会いがあるかもしれませんよ。
ユーザーのコメント
40代 女性 匿名
親戚が先日保護猫を迎えましたが、猫でも審査がかなり厳しくて、飼い主の年齢が猫の寿命を責任持って飼えるかをチェックされるそうです。
確かに、再び飼い主が亡くなって飼えなくなって保健所などに行く運命になっては可哀想ですよね。そして、亡くなるという理由以外にも、また保健所行きになってしまう例が、飼ってみて初めて「大きな病気を持っていて世話が見切れない」「実は家族が犬アレルギーだった」などの勝手な理由もあるようです。保護犬を迎えるという事には、様々な予測や覚悟が必要なのだと思います。それ故、迎える前には慎重にその子のリサーチやトライアルでの相性チェックなどをしっかりとしてから迎えてほしいと思いました。
40代 女性 SUSU
何度かお邪魔させて頂いたことがありますが、保護犬と一口にいってもそのワンコの置かれた状況や年齢、性格によっても全く違うものなのだなという印象を持っています。
パピーや比較的若い年齢で保護されたワンコはわりと屈託がなくフレンドリーな子が多く、シニアやブリーダー崩壊のために保護された子はわりと控えめで、中には感情表現というものを諦めてしまったの?と悲しくなってしまう程、無表情で凍りついたような顔の子もいたように思います。
でもどのワンコも預かりボランティアさんからとても大切にケアされており、何度か譲渡会に出席する毎に目が生き生きとしてきて尻尾を振ったり興味を持って匂いを嗅ぎに来てくれるようになります。どうやってしつけたのですか?と預かりの方に伺ったことがありますが、「しつけは何もしてないんですよ。ただ、我が家の愛犬と同じように愛情を持って接していただけなんです。」と話して下さいました。
こんなに変わるのか・・・と愛情を持って日々接することがどれほど意味があることなのか、改めて教わりました。
保護団体は譲渡条件が厳しいところが多いようですね。賃貸か持ち家か、一戸建てかマンションか、マンションの場合にはペット可物件であることを証明する書類を提出すること、更には収入証明を求めるところもあるそうです。家族構成や毎日のお留守番時間も報告するようで、審査の段階で気分を害されて辞退ということもあるようです。一度、悲しい経験をしたワンコ達のため、ある程度のことは仕方がないのかもしれないですね。
また、保護犬というと無料で譲渡してもらえると思っている方も多いそうですが、団体によって料金は異なりますが、一定の費用はかかります。医療費や食費、運搬費などの諸経費として一律決まった費用の支払いをお願いしているようです。
「捨て犬をもらってやるのに金を取るのか!」といった言葉を投げ掛けれることもあるそうで、本当に・・・聞いたときは言葉がありませんでした。
我が家の周りでもお散歩中にワンコ同士が挨拶をしていると飼い主さんから「保護犬なんです。」と紹介されることも増えてきました。愛犬と同じダックスの子に「お家が見つかって良かったね。」と声をかけると鼻でツンと挨拶してくれたことがあり、とっても可愛かったです。どのワンコも他の子と何ら変わりなく、言われなければ全く分からない程、飼い主さんになついています。パピーのうちからでないとなつかない、しつけが入らないというのは迷信というか人間の勝手な考えで、実際は全く違うんだと教えられた気がしています。
30代 男性 てとめる
20代 女性 Chanko
譲渡会については、最近、私自身のまわりでも譲渡会で愛犬・愛猫に出会ったという方が増えました。
「譲渡会は条件が厳しい」そんな声をよく耳にします。確かに、まずは講習を受けなければならなかったり、独身・単身世帯や高齢者、お留守番が多い人はNGなど、飼い主にもそれなりの条件が求められると、ハードルが高いように感じるでしょう。
これは、ペットを飼う「責任」の概念だと思いますが、ペット先進国のドイツではすべての飼い主は事前講習の上、シェルターからの引取が基本で、ペットショップが存在しないことも有名ですよね。
まだまだ子犬史上主義の強い日本のペット市場ですが、こういった活動により、幸せになるわんちゃん・ねこちゃんとオーナーさんが増えていくことを願っています。