保護犬とは、どのような状況の犬か
「保護犬」という言葉には、明確な定義はないようですが、一般的には、「飼い主に捨てられたり、迷子になって飼い主が居ない状態であったために、動物愛護センターなどの施設に一時的に保護されている犬」の事です。
また、一般の飼い主からだけでなく、廃業ブリーダーから救出され、動物愛護団体などに保護されて、里親を探している犬の事も「保護犬」と呼ぶ場合があるようです。
動物愛護センターに保護されている場合は、あくまでも「一時的」であり、一定期間が経過しても、新たな飼い主が見つからない場合には、殺処分されるという現実があり、本当の意味での「保護犬」とは言い難いかもしれません。
里親になる方法
毎年、あまりにも多すぎる数の犬達が施設で殺処分されています。
それ以外にも、悪徳ブリーダーや心無い人によって、多くの命が奪われているのです。
その、あまりにも悲惨な状況を、なんとか改善させたいと、強い志を持った人たちが、行き場のない犬たちの里親を探すべく、懸命な活動を続けています。
インターネット上でも、悪徳ブリーダーから救済した犬の情報や、病気を抱えた犬にも、終の棲家を見つけてあげるため、親身になって情報を発信しているサイトが数多く存在します。
ですから、もし、里親になりたい場合には、比較的簡単に情報を集めることができるはずです。
直接メールや電話をして、細かい情報を教えてもらうのもいいですし、また、「譲渡会」など、実際に犬に会うことが可能なイベントが行われていることも多いので、積極的に参加してみると良いでしょう。
里親になる前の準備
里親になる前には、まず、心の準備、つまり相当の覚悟をすることが必要です。過去に何度も、悲しい体験をしてきた犬を、もう二度と辛い目にあわせる訳にはいかないのです。
なかには、悪徳ブリーダーのもとで、何年もケージに閉じ込められていた犬や、人間と心を通わせる方法すら知らない犬もいます。
そのような場合でも、根気よく、諦めることなく、その犬の一生に責任を持つことができるか、その覚悟が必要なのです。
ただ単に、「可愛そう」だけでは、決して務まりません。また、自分と同じ思いを、同居する家族が共有しているかも、重要なポイントです。
一緒に生活するのですから、家族の間に温度差があっては、犬が幸せになれるはずがありません。
さらに、すでに飼っているペットがいる場合は、そのペットと仲良く暮らしていく事が可能なのか、慎重に判断しなくてはなりません。
その他、ハウスの準備や食事についてなど、まだまだたくさんありますが、
それ以前に、里親を紹介してくれる人から、里親になる資格があると認められなくてはなりません。
その条件は様々ですが、中には、非常に細かく条件が設定されている場合もあります。簡単に里親になれる訳ではないのです。
里親になってから気を付ける事
里親になってから気をつけるべきなのは、やはり、その犬の幸せでしょう。慣れない環境で、不安が多い犬は、体調も崩しかねません。焦らず、すこしづつ慣らしていくことが必要です。
もし、それを妨げるような環境があれば(たとえば、小さい子供がいたずらをする場合など)、なんとか防ぐ手立てを考える必要があります。
また、引き取られる前の状態が分からない犬は、どのような病気を持っているか、いつ体調を崩すか、通常の場合より判断が困難なことが多いので、こまめに体調管理をすることが大切です。
かかりつけの獣医を見つけておけば、何かあった時にも安心です。
また、虐待を受けて生きてきた犬は、普段は大人しくても、何かのきっかけで、人間に牙をむく可能性も否定できません。
万が一の時にも冷静に、なおかつ愛情をもって対処できるように、そのことを常に頭に入れておかなければなりません。
特に、散歩中など、第三者と触れ合う機会がある場合には、要注意です。
虐待を受けてきた犬には、ある特定の物や人に対して、異常に反応することがあります。
たとえば、女の人は大丈夫でも、男の人には、恐怖のあまり、かみついてしまう、などです。
このような場合は、特に成犬の場合は、直すことが難しい場合もあります。
ですので、お散歩などは、極力人に会わないように、また、2人で散歩を行って、不測の事態に備える必要もでてくるのです。
でも、たいていの場合は、引き渡してくれた愛護団体の人が、その犬の特徴も把握しているはずですから、事前に注意事項として伝えてくれるはずです。
実際に里親になった時のエピソード
我が家で里親となった時、その犬は、山奥に捨てられていたとのこと、まだ生まれて何日経ったか分からないくらいで、目もはっきり見えていませんでした。
連れて行った動物病院では、便から草の葉っぱや花粉が出てきたといわれ、まだ目もみえず、固形物を食べられないはずの幼い犬が、どれだけお腹が空いていたのだろう、と思うと不憫でなりませんでした。
「山に捨てられていた」、「近くに段ボール箱があった」、というくらいしか、その犬の情報は分からなかったので、病気の可能性も否定できず、すぐに死んでしまうのではないかと思い、しばらくは名前をつけるのをためらったくらいです。
人間の赤ちゃんと一緒で、2、3時間おきにミルクを飲ませる必要があったため、夜も犬のそばで過ごしました。
その甲斐あってか、犬は日ごとに大きくなっていきました。
幸い病気もせず、我が家に迎えた当初に、暫定的につけた名前がそのまま本名となりました。(今となっては、もう少し、よく考えた名前にすれば良かったと思っていますが。)実は、その犬を引き取るとき、父は大反対でした。
以前飼っていた犬が死んだとき、そのあまりの悲しさで家族中がペットロスになってしまい、数年経ってはいたものの、まだ立ち直っていなかったからです。
また犬を飼うことで、家族が悲しい思いをする、そう思って父は大反対したのでした。
しかし、行き場のない犬の存在を知ってしまった以上、我が家で面倒をみない限り、その犬の幸せはない、と思い、半ば強引に犬を連れてきたのです。
はじめはカンカンに怒っていた父も、なんの罪もない、無邪気な子犬の様子にすっかり魅了され、次第に許してくれるようになりました。
その犬はすぐに家族の一員になり、そして、父が病気になった時には、毎朝、ベッドまで父の手をなめて起こしに行き、父の心の支えになっていったのです。
最後に
里親になるためには、大変なことも多いのが現実です。
でも、里親になることで得られる喜びは、それ以上であるという事を知っていただきたいのです。犬と家族になるということは、それだけで大きな意味があります。
犬は飼い主を心から慕い、必要としてくれます。
無邪気にじゃれてきたり、時には、計画的犯行でいたずらされることもあったり、犬って、こんなに頭がいいんだ!と驚かされることもしばしばです。犬との暮らしは、新しい発見がたくさんあります。
そして、なにより、その犬は、里親に出会わなければ、幸せを得られなかった犬なのです。
どんなに辛い環境で育ってきた犬でも、里親の力で、その後の人生(犬生)を、幸せなものにできるのです。
我が家も、ペットロスになることを恐れて、犬を飼うことに消極的でした。
でも、もし、犬が天寿を全うしたとしても、「辛く悲しい毎日を、家族と一緒の温かい毎日に変えてあげられたんだ」と考え、その想いを支えにすることで、ペットロスにも立ち向かっていけるのではないでしょうか。
ユーザーのコメント
女性 みずえ
30代 女性 aoki
以前テレビ番組で、保護犬問題を取り扱ったテーマの時に、愛犬家として有名なタレントさんが言っていたのです。もし愛犬を亡くしてペットロスに陥っていたり、もうあんな悲しい思いは出来ないから二度と家に犬を迎えるつもりはないと考えている方に、あなたは犬を終生幸せに出来る能力があるんだから、どうか保護犬との生活を今すぐにでも始めてあげて欲しいと。やけにその言葉に納得しました。
飼育経験のない人に、心や体に傷を負った犬の面倒はハードルが高いでしょうが、1度でも最後まで看取った経験がある愛情深い方ならと。
我が家にはペットショップから迎え入れた小型犬が一頭いますが、いつかその時がきたらそうしたいと考えています。
女性 白川
印象としては、色々な人が同じ期待を込めて保護犬に会いにきていたので、とても明るい雰囲気でした。
事前にスタッフさんとこまめにメールのやり取りをしていたので、希望の子が来ることは知っていましたが、その犬の性格が事前に聞いていたものと全く違っていたのです。やはり何度も会ってみてから慎重に決めなくてはならないと思いました。
譲渡会でスタッフさんから確認されたことは、自宅周りの環境、新しく犬を迎え入れるための準備がどのくらい済んでいるか、自宅の間取り図にゲートの設置が済んでいるかの確認、今後かかる動物病院のこと、治療費がかかるので家族の収入です。とてもたくさんのことを聞かれ、戸惑ってしまいました。しつけに関しては、絶対に手をあげないことが条件でした。
ペットショップや犬を販売、譲渡する所は、引き渡す時に「犬の十戒」だけではなく、「捨て犬の十戒」のことも教えてあげてほしいと思います。
女性 匿名
里親になるには家族構成、先住犬の有無、環境、収入はいくらあるのか、ハードルが高いです。
ですが、迎えるにあたり事前に教育を受け、心構えをしてからというのはショップで買う時も、安易に飼う人が放棄してしまわないように、必要最低限な事だと思います。
正直言うと私達も可愛い子が売れ残っていたので家族に迎えました。勿論歳を取れば病院にかかるし早く旅立つ事も覚悟していたつもりでした。でも甘く浅はかでした。実際に病院にかかるお金は高く、経済的に苦しくなります。高額な治療費は払えそうもありませんが看取りはきちんとします。安易に安楽死は選ばないつもりです。
可愛い我が子を大切に育てて行きます。
女性 福ちゃん
女性 メロンパン
正直、この犬を迎えるまでは保護犬の存在を知りませんでした。保健所の殺処分問題などもまったく知りませんでした。
今飼っている犬はとても手がかかる犬で、先天的な病気があったり、とても神経質だったり。
なので、この犬を最期まで面倒を見ることが出来たら、次は保護犬を迎えようと心に決めています。きっとこの子と過ごした日々が役に立つと思うからです。
女性 ゴン吉
保護犬は病気を持っていたり、心のケアが必要な犬が多いので、ペットショップで買うのとは大きく違います。スタートから苦労も多いので、本当に引き取りたいかどうか時間をかけて考えてから受け入れてほしいと思います。
女性 くるみ