「気象病」の症状とは
「気象病」という言葉をご存知でしょうか。これは近年話題になっている、気候や天気の変化が原因となって起こる心身の不調の総称です。雨が降ると頭痛がする、関節が痛い、気持ちが落ち込む、めまいがする、など様々な症状があります。
これらの症状は主に、気圧の激しい変化によって引き起こされることが多いようです。昔からよく言われる「古傷が痛むと雨が降る」などということも気象病の一種だったのでしょう。
そのような痛み以外にも、気圧や気温の変化が自律神経に影響を及ぼす結果、もともと持っている持病やトラブルを悪化させることもあるため、一口に「気象病」といってもその症状は多岐にわたります。歯周病の悪化、じんましんや皮膚炎などの悪化、喘息発作などを招く場合もあるそうです。
この気象病ですが、梅雨の時期や季節の変わり目などで困っている人も多いと言われていますが、気圧や温度変化、湿度変化がかかわっているため、実は人間のみならず、犬も悩まされているといいます。では、犬の気象病とはどんな症状が出るのでしょうか。
犬の気象病
犬も人と同じような哺乳動物です。そのため、気圧や湿度、温度の変化で自律神経が乱されることによって、血圧が変動することがあります。特に、運動もしていないのに息が乱れたり、鼓動が速くなったりすることもあるでしょう。
犬の場合は痛みや体の不調について我慢強いため、人間の様にすぐに寝込むこともあまりないのですが、それでも何となく調子が悪いなというときは、いつもより大人しくなります。
特に気圧の変化に敏感で体調を崩しやすいタイプは、循環器系や脳神経系に疾患がある犬です。また高齢の犬や環境の変化に敏感に反応するタイプの犬は、気象変化にも敏感な反応を見せる場合が多いようです。
さて、主な犬の「気象病」の症状を挙げてみましょう。
- 下痢や便秘による食欲不振
- 咳喘息
- てんかん発作
- 頭痛や関節痛
- 嘔吐
- 肺水腫
主に下痢や便秘といった消化器系に出る子が多いようですが、もともと持病がある犬の場合、その症状がより悪化するようです。
高齢犬は関節を痛めていることも多いため、気圧変動で腰や下肢を痛がることが多くなるかもしれません。また皮膚炎を持っている場合、アレルギー症状が強く出る場合があります。
てんかんの発作は気圧の変動が引き金になる以外にも、大きな音やフラッシュなどの強い光でも引き起こされます。季節の変わり目に雷が鳴り響く場合がありますが、そのような場合は注意してあげると良いでしょう。
心臓に疾患がある犬の場合は、血圧の変動による血流量の増加で、循環器の処理能力を超えて肺水腫などを引き起こすことがあるそうです。
いずれの場合も原因が気象病の場合は、症状を軽減させてあげたり、予防策をとったりすることは難しいと言えます。しかし相手が天気なので、天気予報や天気図で体調を崩しそうなタイミングをあらかじめ把握することは可能です。
「体調が崩れそうだな」というタイミングを把握できれば、事前に動物病院へ相談することもできますし、対処療法ではありますがお薬の量などを調節してもらうことができるでしょう。特に持病がある場合は早めの対策を取ることで、悪化を防いであげられる可能性が高くなります。
まとめ
人間でもずっとどんよりと調子が上がらない気象病ですが、犬たちにとっては何が何だか分からないけれど具合が思わしくない、と不安に感じているかもしれません。その不安がさらに自律神経系に影響し、症状を悪化させてしまうかもしれません。
「もしかして気象病かな?」と思うことがあれば、天気予報と実際の天気、そして犬の症状をよく観察して照らし合わせてみましょう。最近は気象病のための気圧の上下をグラフで確認することができる便利なアプリなどもあります。
そして気圧の変化が激しそうなタイミングで犬に辛そうな症状が見られたら、なるべく早い段階で動物病院の受診をしてくださいね。