盲導犬と警察犬に変化が訪れ始めている
働く犬の代表と言えば、盲導犬と警察犬を思い浮かべる人が多いと思います。どちらもとても重要な任務ですが、それゆえにトレーニングには多大な時間と費用がかかります。
そのため、特に盲導犬では助けを必要とする人に行き渡らないという問題もあります。また、働く犬たちへの負担や安全の面も考えなくてはいけない問題です。
これらのことからアメリカでは、犬の代わりに目の不自由な方のガイドとなるロボット盲導犬の研究が進められたり、警察犬の代わりにドローンを導入する警察署が増えて来たりという変化が始まっています。
「アメリカ発、ロボット盲導犬の構築が進行中!」
https://wanchan.jp/column/detail/26730
「ドローンは警察犬の代わりになるか?アメリカでの試み」
https://wanchan.jp/column/detail/35623
そしてこの度、2つの国から盲導犬と警察犬に変わるかもしれないテクノロジーを使った機器が開発されたというニュースが届きました。
盲導犬の役目を果たすベルト
盲導犬に代わるテクノロジーと言うと、犬のイメージはそのままでロボットに置き換えるというのが現在研究されているプロトタイプです。
しかし、韓国のスタートアップ企業AIガイディッド社が発表した視覚障害者のための機器は身につけるベルト型です。
レーザー光を使って離れた場所にある物体の形状や距離を測定するセンサー技術と、AIコンピューターを使って障害物を特定し使用者をナビゲーションします。
ナビゲーションは、ゲーム機のコントローラーやスマートフォンに使用されている振動を体感する技術を使って行われます。
腰にベルトを着けるだけというと盲導犬やロボット犬に比べて少し味気ないと感じる方もいるかもしれませんが、利便性とより多くの方に普及できるという点で大きく期待されています。
警察犬や探知犬のように匂いを識別するロボット
警察犬の代わりにドローンを導入している警察署でも、臭気追跡は犬にしかできない作業として警察犬が活躍しています。
しかしイスラエルのテルアビブ大学の生物医学と神経科学の研究チームは、本物のイナゴの触角をロボットに設置してバイオハイブリッド・ロボットを開発し、匂いの識別に成功したことを発表しました。
このロボットは従来の技術を使った電子センサーの約1万倍の感度で匂いを感知すると発表されています。開発はごく初期の段階で、実用化されるにはまだまだ時間がかかりそうですが、研究者は可能だと信じていると述べています。
将来的にはイナゴの触覚を使わずに、ロボットがその機能を再現することも視野に入れているそうです。
まとめ
盲導犬と警察犬という、人間のために働いている犬に取って変わる可能性のあるテクノロジーを2つご紹介しました。
盲導犬も警察犬も、犬たちはもちろんのこと育成トレーニングや世話をされている方々に頭が下がる思いしかありません。
しかし感情表現や排泄を我慢したり、命の危険がある任務から犬たちが解放されテクノロジーの恩恵に預かる人々が増えるとしたら、それは喜ばしいことだと思います。
《参考URL》
https://www.ai-guided.com
https://techcrunch.com/2023/01/07/ai-guided/
https://www.cnet.com/science/biology/robot-wearing-live-insect-antennae-becomes-sniffing-cyborg/
https://doi.org/10.1016/j.bios.2022.114919